米国の住宅担保ローンで、優良顧客(プライム層prime)向けではない、信用度の低い、低所得者層向けのローン。審査が緩い代わりに金利は高いので、住宅ローン全体の中では目立たない存在だったが、2000年ごろから住宅価格が上昇するにつれて利用者が増え、それまでは住宅ローン市場全体の10%以下だったのが、06年から07年にかけては13〜15%を占めるまでに成長した。当初の金利は低めに設定し、数年後からは高金利になる仕組みがないので、住宅価格の上昇で住宅の担保価値が上がれば、より低い金利のローンに切り替えることができたのがその成長の要因である。 しかし、利上げや住宅ブームの沈静化によって住宅価格が05年をピークに急速に値下がりを始めると、主に低所得者層からの返済延滞や債務不履行の問題が浮上した。金融機関はハイリスクながら高い収益を狙えるので、1990年代以降に大手も相次いでこの市場に参入していたため、住宅ローンの焦げ付きが増えるにつれて、金融問題に発展した。 さらに、米国では、こうした住宅債権を証券化して、金融機関やヘッジファンドなどに販売する動きが広がり、それを世界各国の投資会社や銀行などが購入して運用していたため、ヘッジファンドの破綻や欧州の銀行の経営危機、米国銀行大手の巨額の損失やトップの辞任、株価の急落などが次々に起きた。 サブプライムの焦げ付きは、今のところサブプライム全体1兆3000億ドルの15%程度と見られているが、今後、設定された金利が上昇期に入る人たちが増えることから、不良債権は更に増えると見られる。また、住宅価格の下落が原因であることから、サブプライムだけでなく、より有利な金利で借りている人たちの焦げ付きも増えている。当初、サブプライム問題は限定的との見方も多かったが、07年後半からは、世界の金融市場を揺るがす深刻な問題との認識が深まってきた。 米国では住宅の資産価値が上昇するにつれて高まっていた信用力を利用して個人消費も拡大していたが、住宅価格の下落による逆資産効果で、個人消費も鈍ってきた。このため、米国の経済成長そのものも減速するとの見方が広まっている。