コロナ禍で多くの金融資産が大きく価値を減じる中、金は最高値を更新したとして注目を集めています。以前より金はリスク時に強い資産として有名でしたが、それがさらに裏付けられた格好となりました。
また、金以外の代表的なコモディティ投資に「プラチナ」がありますが、このプラチナは金とは対照的に1月以降下落しており、7月時点でもまだ昨年末の水準に戻っていません。

両者の違いはどこにあるのでしょうか。コロナ禍での値動きとその理由、そして今後の予測について、金、プラチナの投資商品としてのおもしろさを中心に、解説していきます。

目次
同じ貴金属でも、投資対象の特徴は大きく異なる「金」と「プラチナ」
コロナ禍で対照的な動きを見せた金とプラチナの価格をデータから確認
金とプラチナ、今後の動きを予想する
金とプラチナ、実際に投資するならどんな方法がある?
まとめ:コロナ禍の経済状況に大きく影響される金とプラチナの現況を知ろう

同じ貴金属でも、投資対象の特徴は大きく異なる「金」と「プラチナ」

金,プラチナ
(画像=handmadepictures/stock.adobe.com)

プラチナは白金とも呼ばれ、銀に似た光沢のある見た目をしています。ですが、金や銀の融点が1,000℃前後であるのに対して、プラチナの融点は1,700℃以上と、耐熱性に優れています。

こうした特徴を持つプラチナは、金以上に希少性の高い貴金属であり、価格も希少性を反映し高値がついていると思うのではないでしょうか。しかし、実際に価格推移のグラフを確認してみると、プラチナは2011年に最高値を付けて以降は一転下落を続け、ついに金とプラチナの価格は逆転し、現在も価格差は拡大し続けているのがわかります。

▽図1:金とプラチナの価格推移

図1:金とプラチナの価格推移
(LBMA Platinum Prke, LBMA Gold Priceのデータより著者作成)

このような値動きになった理由として、プラチナの使用用途が金と比べて偏っている点があげられます。プラチナは宝飾品や投資用よりも、工場やディーゼル車の排気ガス浄化触媒といった工業用需要が大きいという特徴があります。

この工業用需要は、景気後退時は自動車の生産台数や工場の稼働が減少するので、好況時ほど必要とされなくなります。このため、需要に占める工業用途の割合が高いほど、不況時に価格が下落しやすくなります。

金は投資・宝飾だけでなく、歯科や美容製品、果ては食用まで幅広く使用されいます。対してプラチナは工業用需要が約60%を占めるうえに、希少性の高さによる市場規模が小さいことから価格が動きやすくなります。

実際に2009年のリーマンショックの際には、金が順調に価格を上げていったのに対し、プラチナは価格が急落してから値を戻す、といった経済状況の変化をより受けやすい側面も持っています。

コロナ禍で対照的な動きを見せた金とプラチナの価格をデータから確認

今回の新型コロナウイルスの影響による金とプラチナ価格への影響を把握するため、2020年1月から7月31日までの金・プラチナの日々の価格をグラフ化しました。そうすると、金とプラチナではそれぞれ対照的といってもよいほどの異なる値動きを見せているのがわかりました。このような値動きになった理由について解説していきます。

▽図2:コロナ禍での金・プラチナ価格の推移

図2:コロナ禍での金・プラチナ価格の推移
(LBMA Platinum Prke, LBMA Gold Priceのデータより著者作成)

コロナ禍での金とプラチナの価格の動きを比較

新型コロナウイルス(COVID-19)の流行は2020年の年初から少しずつ流行り始めていましたが、当初は深刻なウイルスとは見なされておらず、経済にも影響はなかったため、アメリカ経済は好調に推移していました。これが2月の下旬に差し掛かると、感染力の強さなどが徐々に判明し、世界経済に影響し始めました。2月24日には世界同時株安も発生し、3月11日にWHOがパンデミックを宣言したことで、世界経済や人々の動きは一変しました。

リスク資産として期待されていた金やプラチナは、コロナ禍の当初こそ堅調な値動きを見せていました。ですが、3月16日に景気後退局面に入ることは避けられないとして再び株価が大暴落し、その穴埋めのためにリスク資産である金、プラチナも売却された模様で、価格が下落しています。

しかし、その後は、金は順調に価格を回復し、ついには史上最高値をつけました。一方、プラチナは上値が重い展開が続いています。

なぜこのような動きになったのか?

WHOがパンデミックを宣言した3月中旬ごろは金とプラチナのどちらも価格が下がっています。その後、感染者数の急拡大を受けて、アメリカやヨーロッパなどでロックダウンが実施されました。それによって、人々の移動・経済活動に制限が生じ始めます。このようにコロナ禍によるリスクが鮮明化し、金はリスク資産として投資家の資金の逃げ場として利用されるようになります。あわせて経済対策として各国で金融緩和が実施されました。これにより通貨価値が下落するのではないかとの危機感がつのり、金は大量に購入されはじめ、その価格をグングンと高めていく結果となりました。

その反面、プラチナは当初の大規模な下落からは立ち直ったものの、実需依存が大きいため回復は鈍く、金との価格差は広がる一方となった、と見られているのです。

金とプラチナ、今後の動きを予想する

現在はコロナ禍に加えて、各国の金融緩和や米中関係の悪化といった、さまざまなファクターが金の価格を支えています。そのため、良くも悪くもリスク材料次第と予想されます。

今後予想される悪材料とすれば、コロナ禍によって生じた世界経済へのダメージが徐々に明らかになってきており、主要国のGDPが年率換算数十%下落するという未曾有の状況です。この経済的ダメージからの回復の遅れや追加経済対策の内容によっては、金の価格はさらに高値を狙える可能性があるでしょう。

しかし、ワクチンの開発成功などでリスクが後退したと市場が判断すれば、史上最高値圏にある金は売られ、場合によっては暴落に巻き込まれる恐れもあります。

また、プラチナもおおよそは金と類似の値動きをすると思われます。ただし、経済環境の変化に敏感なため、市況には金以上に注意を払う必要があります。そのほかにも、プラチナの価格はコロナ禍以前から下落傾向にあり、ディーゼル車の需要が減少していること相まって、価格の上昇を期待できる材料が乏しいことも懸念されます。

金とプラチナ、実際に投資するならどんな方法がある?

貴金属投資はコロナ禍によって、価格の動きが読みにくい状況となっています。ですから、投資をする際は、流動性やリスクをよく考えて行う必要があります。たとえば、金・プラチナのコインなどを購入し自宅で保管するといった地金を利用した投資方法の場合は、保管手数料こそ不要です。ですが、盗難や紛失のリスクがあり、また小口での購入のため、購入時の手数料がかさみやすいといった特徴があります。

ここでは、金投資やプラチナ投資の代表的な方法として、金・プラチナ積立、ETF及び投資信託、ETN(上場投資証券)の3種類について解説します。特徴・リスクを把握し、自身のニーズに合った投資方法を選択してみてはいかがでしょうか。

金・プラチナの投資方法1:金・プラチナ積立

毎月一定額の拠出を行い、金やプラチナを直接購入する方法です。自分で金額を設定して始めることができるメリットがあります。これにより、いつも一定額で投資し続けることで購入価格を平準化でき、価格の変動リスクを抑えることが可能です。

ただ、購入時に手数料が掛かり、場合によっては保管料も必要となる場合があります。また、貴金属の保管方法が「消費寄託」の場合は注意が必要です。

消費寄託とは、貴金属の所有権は持たず、購入した貴金属と同額の債権を所有することをいいます。このため、積立先の会社が倒産した場合は返却されない、減額されてしまう場合がありますので、不況時には注意が必要です。

金・プラチナの投資方法2:ETF及び投資信託

投資信託は複数の投資家が資金を出し合い、ファンドマネージャーに特定の資産・条件で資金を運用してもらう金融商品です。投資信託を通じて金を購入することもできます。

投資信託は、価格の算出が1日ごとのため、保有・売却時の価格を即座に把握することができないといったデメリットがありますが、株式市場に上場している投資信託であるETF(上場投資信託)は、取引時間中はリアルタイムで価格が算出されるといった特徴があります。

ETF及び投資信託は、銀行や証券会社などを通じて購入することができますが、保有時は信託報酬という手数料が発生し続けます。そのため、金・プラチナ価格に対して価格が下方乖離(かいり)します。また、取引量が少ない場合は売値・買値に価格差が生じる場合があるため、できるだけ純資産額や出来高の多い銘柄を選ぶことが大切です。

金・プラチナの投資方法3:ETN(上場投資証券)

ETNは、証券会社などを通じて株式市場から購入することができ、信用力の高い金融機関が金・プラチナなどの資産と価格が連動するように設計された債券です。

ETNでは金やプラチナなど、実際には裏付けとなる資産を購入しません。そのため保管にかかる手数料が発生しないというメリットがあります。ただし、ETNの価値は発行体の金融機関の信用力に完全に依存するため、倒産や債務不履行などにより価格が急落するクレジットリスクが存在します。

金・プラチナを含むコモディティ投資は、売買手数料や運用時手数料に保管手数料など多く経費が必要となります。投資による収益は未確定のものですが経費は確実に生じるため、投資の成果を低下させてしまいます。投資の際はなるべく各種手数料が低いものを選ぶとよいでしょう。

まとめ:コロナ禍の経済状況に大きく影響される金とプラチナの現況を知ろう

金やプラチナなどの貴金属投資は、投資対象そのものが価値を生み出すわけではなく、経済状況によって価格が大きく左右されるといった特徴があります。

現状の市場を考えると、金とプラチナについては、短期的な受給の予想は極めて難しく、今回のコロナ禍でも発生が予想されるリスクを織り込んで価格が決定されているため、経済状況が好転すると見込まれた段階で価格が下落する恐れもあります。そのため、リスク下であればリスク資産を買っておけば大丈夫というような、単純な図式にはなっていないと考えましょう。

ただし、金・プラチナへの投資は物価に連動して価格が上がるため、インフレ対策として有効であり、また、株価下落時に値を上げるため不況に強いといったそもそもの特徴があります。リスク資産として、投資の分散効果を活かしていくことが大切です。(提供:JPRIME

著者 菊原浩司


【オススメ記事 JPRIME】
超富裕層が絶対にしない5つの投資ミス
「プライベートバンク」の真の価値とは?
30代スタートもあり?早くはじめるほど有利な「生前贈与」という相続
富裕層入門!富裕層の定義とは?
世界のビリオネア5人が語る「成功」の定義