コロナ禍で多くの企業が業績悪化に沈み、苦境にあえいでいる。だが、そうした中でも気を吐くベンチャー企業が存在する。そこで今回では3回にわたって特集「コロナ禍で成功するベンチャー企業研究」を掲載、その秘密に迫る。第1回は激安ネットワークカメラで大躍進を遂げているベンチャー企業だ。
(文・フリーライター 根本直樹)
コロナ禍で急増した意外な需要
今、「ネットワークカメラ」が人気を呼んでいる。アマゾンなどのショッピングサイトを覗くと、廉価なものから高価格帯のものまでさまざまな商品があふれ、そのコメント欄を見ると購買者の大半が一般の個人であることが伺える。いったい何が起きているのか。
あるテック系サイトのディレクターは言う。
「コロナ以前から、ペットや子ども、高齢の親の“見守り”用として一部で人気が出始めていたのですが、コロナの拡大によって売り上げが急増。特にこの夏以降、数千円台の安価なカメラが売れています」
コロナ禍で実家に帰れず、ひとり暮らしをする高齢の親を心配する人も多いだろう。そうした高齢の親の見守り用としてネットワークカメラを購入する人が続出したのだという。
「これまで、監視や防犯目的のネットワークカメラというと高価なイメージがあったと思いますが、最近は数千円で買うことができ、しかも数万円の商品と比べても遜色のないレベルの商品が出てきたことによって、需要拡大を後押ししています。また日本人は監視カメラの類にアレルギーが強いと思われてきましたが、少子高齢化とコロナ禍の自粛生活がそうした意識を変え始めているのでしょう」
2500円カメラの衝撃
そうした中での今年5月、2500円というあり得ない低価格で登場し、注目を集めた製品がある。前出のディレクターは言う。