(本記事は、佐藤 秀氏の著書『格差は子ども社会において現れる!ああ格差社会』の中から一部を抜粋・編集しています)

格差は子ども社会において現れる!ああ格差社
(画像=naka/stock.adobe.com)

地方の子
一戸建て

都市部の子
一戸建てかマンション。一戸建てに住めない人が、マンションに住む

都心の子
マンション以外に考えられない。タワマンで、入り口に受付があるのが、当たり前

最近では地方にもマンションが建つようになったが、「地方の子」の親の頭には、「団地」ないしは「集合住宅」のイメージが強力にこびりついており、マンションに対するイメージはマイナスである。なんとなく、アパート(すなわち、集合住宅の一種)の延長線上と考えている向きもある。

つまり、当然のことながら「建物」という括りの中では、一戸建てがトップにあり、「買えるなら戸建」というのがほぼ常識となっている。要は、今いるアパートを抜け出して、何とか戸建に住みたいというのが願望なわけである。

逆に言えば、都心のマンションが数億円などと聞くと、「たかが集合住宅にそんなバカ高いカネを……」と呆れてしまうのである。

これに対して都市部では、アパートの延長ではない高級マンションも見ることができるので、都市部に住む人達は、マンションというものが戸建以上の価値を持つ場合があることも知っている。

けれどもやはり、一戸建て信仰は強く、おそらく「同じ値段」であれば、ほぼ完全に、マンションよりも一戸建てのほうが選ばれることになる。実際、映画『天空の城ラピュタ』には、「人間は、地上を離れて生活することはできない」といったフレーズがあるが、都市部に住む人達は、これに大いに共感している。

しかし、都心となれば、価格が一億円以上のマンション(億ション)に住んでいるのが当たり前である。そしてまた、そういった億ションはほとんどがタワマン(タワー型マンション)である。

都心の住人が一戸建てではなく、あえてそうしたタワー型の億ションに住む理由は、セキュリティがしっかりとしているうえに、プライバシーも守られているからである。

実際、都心のタワマンには、それなりの社会的地位を有していたり、有名であったりという人が住んでいることが多い。そうした人が一戸建てに住んでいると、泥棒や強盗にあったりすることも多く、用心すればするほど、マンションが選択されることになる。

各階ごとのセキュリティや24時間ゴミ捨てなどの設備がきちんと備えられているのは超高級といわれるマンションか、妥協しても高級マンションということになり、そうしたマンションにはダブルオートロックはもちろんのこと、きちんとした受付もあって、しっかりと教育されたコンシェルジュが常駐している。

そこに住む子ども達は、出かけるときにはコンシェルジュに挨拶をして出かけ、帰って来たときにもコンシェルジュとひと言交わしてから帰宅する。

生まれてからずっとこれが習慣となり、この生活スタイルに慣れてしまっているため、当然のことだと思ってしまっている。

実際、うちの子ども達が普通のマンションに遊びに行き、入り口を素通りしてその人の部屋に行こうとしたときに、「パパ、勝手に入って大丈夫なの!? 僕達、泥棒さんみたいだね……」と怯えたような顔で言ったことがある。

「都心の子」からすれば、マンションというものはオートロックを通った後に、ちゃんとした受付があって、そこの許可を得てから入るのが当たり前となっており、マンションの入り口を無断で通ることには罪悪感すら覚えるのである。

ああ格差社会[家]
「地方の子」「都市部の子」の親は一戸建て信仰が強いが、「都心の子」の親はそれが全く無い
格差は子ども社会において現れる!ああ格差社会
佐藤 秀(さとう すぐる)
千葉県の農村部出身。現在、東京都千代田区永田町周辺に在住。
某士業に就き、実績は国内外1000件以上。
東京の一等地にオフィスを構え、業界屈指の雄としても知られている。
家族は妻、長女、長男、ふたりの子どもは都心の某有名中学校、小学校に通学していた。

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