(本記事は、佐藤 秀氏の著書『格差は子ども社会において現れる!ああ格差社会』の中から一部を抜粋・編集しています)
ビジネス
地方の子
どこかに勤めること。パートに行くこと。アルバイトをすること
都市部の子
世の中に必要な物やサービスを提供すること
都心の子
人が好きなこと、他人がやらないことをやって大きく儲けること
「人間というものは、ブレーキとアクセルが逆についている」と述べた斉藤一人氏曰く、「このことを理解していない者は、商売で成功することはできない」という。
彼が例示していたのは、「医療費負担が少しでも増えると怒るくせに、高価なバッグを平気で買ったりする」ということである。
つまり、人の命に関わるとても大切なもの(=医療費)の方がないがしろにされて、自分の命とはまったく関係のない高価なバッグのほうに走る。これが人間というものだということである。これがわからないと、「世の中で必要とされるもの」を安く作るビジネスを立ち上げては、失敗する。
逆に、「世の中に必須ではないが、人が好むもの」を高く売るビジネスを立ち上げた人が、成功することになる。
そう、実際に「食費を削って、趣味のものを買う」という人は、そこら中にいる。
繰り返しになるが、「人間とは、命に関わるはずの食費を削って、命とはまったく無関係の趣味のものを買う性分だ」という事実を理解していなければ、商売や事業で成功することはできない。
けれども多くの人は、この“人間の逆の原理”を知らず、あるいは、知ってはいてもそれに従わず、相変わらず「世の中に必要なもの」をひたすらに探求し、それを事業にして儲けることだけを考えている。そのため、最終的には失敗する。
「地方の子」は、「どこかに勤めること」や「パートに行くこと」、「アルバイトをすること」がビジネスであると考える。それらは単に「労働する」というだけのことで、ビジネスでもなんでもないのに、そう考える。
なぜなら、その子の親がそう考えているからであり、彼らにとっては、「生活の糧を得んがために働くこと」がビジネスなのだ。
けれども、「都市部の子」の親ともなれば、ビジネスというのは、単に生活の糧を稼ぐためのものではなく、世の中に対して何かプラスになるようなことをしなければビジネスをする意義がないと考えている。
したがって、「世の中に必要な物やサービスを提供すること」を考えるが、そのための事業を始める一歩が踏み出せない。しかしながら、その一歩を踏み出さないのは、実は、正解である。先に述べたように、“人間の逆の原理”があるがゆえに、そういった事業は、ほぼ100%、失敗してしまうからである。
ところが、そのうちの何人かは、その一歩を踏み出してしまい、最終的には都市部に住めなくなってしまうことになる。
一方、「都心の子」の親は、“人間の逆の原理”をよく知っている。
言ってみれば、なぜ、宝くじの胴元が大儲けできるのかをよく知っているのだ。したがって、「人が好きなこと」や「他人がやらないこと」をやって大きく儲けることを考えるし、実際に実行する。
そうして得たお金を使って社会貢献し、多くの人に感謝される。これこそが彼らのビジネスである。
- ああ格差社会[ビジネス]
- 人間は、命に関わるものをないがしろにし、そうでないものには欲を示す