(本記事は、佐藤 秀氏の著書『格差は子ども社会において現れる!ああ格差社会』の中から一部を抜粋・編集しています)
不動産屋
地方の子
ほとんど縁がない
都市部の子
たまに会う油断のならない人
都心の子
お父さんの友人
「地方の子」の親は、家を買う時にしか不動産屋と会わないため、子どものほうは不動産屋と会うことなどなく、ほとんど縁がない。
これは「都市部の子」も同様であり、「地方の子」と同様に、ほとんど縁がない。
けれども、「都市部の子」の親には、ワンルームマンション投資などの不動産投資話を持ってくる不動産屋がおり、なかには詐欺まがいの者も存在するため、親からは「騙されないようにすること」と語り継がれている。そのため、「都市部の子」は、不動産屋のことを「油断のならない人物である」と考えるようになる。
これに対して、「都心の子」の親は、実際、投資用の不動産を数多く扱っている。当然のことながら、付き合いのある不動産屋も多い。
都心に住んでいる人と付き合いのある不動産屋と、それ以外の不動産屋との大きな違いは、前者は都心の住人を「今後も付き合いを継続する相手」と思っていることである。
普通の不動産屋は、「家を売ったら終わり」といわんばかりに、お客との付き合いを一度きりと思っていることが多い。たとえば、「地方の子」の親や「都市部の子」の親に接する不動産屋は、基本的に彼ら彼女らを「一度きりの付き合い」の相手としか見ていない。
継続的に付き合おうなどと思ってはいないので、どうしても、「お得なものは勧めない」ということになってしまう。お買い得品は、今後も付き合いがある方に回すのである。
こうしたことから、「今後も付き合いを継続する相手」と不動産屋から思われている「都心の子」の親のもとには、お買い得品の物件が集まり、不動産投資は益々好調になる。
「都心の子」から見れば、不動産屋は「お父さんの友人」のように映る。どうやら、都心とそれ以外の格差というのは広がるばかりで、埋まりそうもない。
- ああ格差社会[不動産屋]
- 「都心の子」の親は、不動産屋との付き合いが長い