注目女性アナリストの2人が注目企業のトップを直撃する「三井・馬渕のwhat’s next」。連載第2回目は三井智映子さんが、輸入車販売を中心に車輌整備、自動車保険販売等のストックビジネスを展開するウイルプラスホールディングス代表取締役社長の成瀬隆章さんを取材します。ウイルプラスホールディングスは2007年の創業から12期連続で増収を達成するなど成長を続ける注目企業。成瀬さんに創業のきっかけや会社の現状、今後の戦略や展望などを聞いていきます。
北海道小樽市出身。NHK教育「イタリア語会話」でデビュー。2011年東京にはモーターショーにてMCデビューを果たす。2014年1月に「五木ひろし特別公演」で八重次役を務めたほか、数々の番組に出演。2012年10月からフィスコリサーチレポーターとしてYahoo!ファイナンスで株価予想などを行うほか、テレビ、雑誌、Webなど活動の場を広げた。2013年に『最強アナリスト軍団に学ぶ ゼロからはじめる株式投資入門 』(講談社)を出版。2020年に独立し、解説投資の記事執筆やセミナー講師、動画配信( https://www.youtube.com/c/EventsIR/videos )などに従事。わかりやすい初心者向けの投資解説が武器。ツイッター@chiekomitsui、ブログ https://ameblo.jp/mitsui-chieko/
登山はまだ道半ば・・・学び続ける姿勢を大切に
三井 大学在学中に自動車売買の会社を起業されたそうですね。
成瀬 起業というほど立派なものではないかもしれませんが、そこで売り買いの基本と商売の難しさ、楽しさを学ぶことができました。
三井 大学生で商売を始めるというのは早いですよね。
成瀬 将来的に自分で何かをしたいと言う気持ちがあったんです。もともと自動車業界には憧れがあって、お客さんも大勢いるだろうと思ったわけです。
三井 この業界で創業した理由もやはり同じ思いから来ているのですか?
成瀬 ホールディングス自体の創業は2007年なのですが、当時の輸入車マーケットはだいたい1兆円程度の規模で、ほぼヤナセさんが一強の状態でした。地方にも有力企業はありましたが、うまくロールアップをしていけば、業界のトップを目指せると考えたのです。また、色々な業界を分析したなかで、参入障壁がある程度高く、業界の変化が少なめで、ブレイクスルーを起こせる可能性がある業界を考え、結果としてこの業種になりました。
三井 かなり戦略的に選ばれたのですね。
成瀬 あとは、やっぱり楽しいからですね(笑) 企業理念にもありますが、やはり車に乗って楽しい、喜びと言うものを強くお伝えしたいという気持ちがあります。
三井 ウイルプラスという社名には、「WILL=喜び」という思いが込められているのですよね。
成瀬 はい。「未来に、PLUSアルファの喜びを」というのはよくお話しているところですが、歴史あるブランドを取り扱わせていただいているので、その伝統や歴史に付加価値を加え、顧客にご提供することが重要だと考えています。実は、ほかの思いもあるのですが。
三井 他にも意味があるのですか?
成瀬 社内的には別の意味があるんです。WILL、つまり「意思」や「思い」を持ってアクションをおこし、結果を出すということが我々の目指す「ウイルプラス」なんです。
三井 なるほど。その、「気持ちプラス実行」というマインドが成長を支えてきたということですね。何か成功の秘訣はありますか?
成瀬 そうですね・・・まだ成功を掴んだとは全く思っていないんです。成功というのは過去の記憶で、振り返ったときに感じられるものだと思うんですよ。私は、経営者というのは山登りと一緒で、ずっと山を登っているようなものだと考えています。仲間と高みを目指していけることが経営者としての喜びで、まだまだみなと高みを目指している途中かなと思っているのです。
三井 イメージ的には今何合目くらいなんですか?
成瀬 今はまだ4合目くらいでしょうか。
三井 まだ半ば前ということなのですね! 2016年に東京証券取引所JASDAQ市場に上場し、2017年には東証二部、2018年に東証一部と、かなり順調に山を登っていらっしゃるように見えます。鞍替え上場によって何か変化はありましたか?
成瀬 社員の仲間にとっては、自覚を促せたし、士気も上がったと考えます。
三井 成瀬社長ご自身にとってはいかがでしょう。
成瀬 もちろん身は引き締まりますけれども、それ以上に、「慢心したくない」という気持ちが強いですね。謙虚に学び続けて成長を続けないと、この立場にいる資格がないと考えています。これからも気を引き締めて、謙虚でい続けたいと思います。
ストック型ビジネスの積み上げに注力
三井 常に前を向いていらっしゃるという印象を強く受けたんですが、2008年のリーマンショックのように、危機や前を向くのが辛くなるようなことはありましたか? また、それを乗り越えた原動力のようなものはあるのでしょうか。