2020年最大級のイベントであった米大統領選挙の開票が大詰めとなりました。米株式市場ではおおむね強い動きになっており、市場参加者はすでに、米大統領選挙終了以降の投資環境を織り込みつつあると考えられます。そうした中、11/6(金)の日経平均株価は約29年ぶりの高値を回復してきました。日経平均株価は2018年以降の過去3回、このラインに到達してきましたが、これまではすべてここで跳ね返されてきました。

決算発表についても、トヨタ自動車(7203)の発表が11/6(金)に終わり、大きなヤマ場を越してきました。世界的な低金利は当面続くと予想され、日経平均株価は25,000円を目指す可能性もありそうです。そうした中、日本株投資戦略では、当面の物色対象として有望視される好決算銘柄を抽出すべく、スクリーニングを行ってみました。

日経平均が29年ぶり高値~「好決算」も追い風に

日本株投資戦略,上方修正期待銘柄
(画像=PIXTA)

2020年最大級のイベントであった米大統領選挙の開票が大詰めとなりました。バイデン候補が優勢と見られる中、一時激しい追い込みをみせたトランプ大統領でしたが、日本時間11/6(金)の時点では、再びバイデン候補の勝利目前と報道されています。

両候補の激しい接戦にもかかわらず、株式市場はおおむね強い動きになっており、市場参加者はすでに、米大統領選挙終了以降の投資環境を織り込みつつあると考えられます。

そうした中、11/6(金)の日経平均株価は取引時間中の高値が2018/10/2(火)終値の24,270円62銭を上回り、引け値ではバブル崩壊直後の1991/11/13(水)に付けた24,416円23銭以来の高値を、約29年ぶりに回復しました。日経平均株価は2018年初頭と秋、2019年末~2020年初頭の過去3回、このラインに到達してきましたが、これまではすべてここで跳ね返されてきました。今回はこの重要な上値抵抗ラインを突破し、次の節目である25,000円台に向けて上昇できるかどうか、株式市場で強弱感が分かれる環境になりそうです。

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大加速は気になる所ですが、引き続き、海外に比べて我が国の感染拡大は抑えられているようにみえます。むしろ、金融緩和状態がより長く続き、株式相場の好需給も長期化しやすくなると考えられます。現在多くの企業で行われている決算発表も、直前の市場予想を上回る所が多いようです。

日本株式市場は当面、海外株式市場に比べても強さが目立つ展開になる可能性があり、年末までに日経平均株価が25,000円を付ける可能性も出てきたとみられます。

表1と表2は決算発表で四半期営業利益額や営業赤字額の大きかった各10銘柄について、決算および業績予想の概要をみたものです。新型コロナウイルスの世界的な感染再拡大や、それに伴う景気・企業業績の悪化傾向もあり、四半期決算についても厳しい数字を予想するアナリストが多かったように思われますが、実際の決算数字はそれらの予想を上回るケースが多く、会社予想利益を上方修正する銘柄も目立ちました。

営業赤字額の多い企業は、インバウンド需要の喪失が痛手になりやすい業種が多かったようです。それでも、さらに業績予想を下方修正するような企業は少なく、これらの企業でも悪材料は織り込み済みになっているように思われます。

決算発表では、いつの場合においても、市場コンセンサスを上回るか、下回るかが、当面の株価動向に大きな影響を与える傾向にあります。市場コンセンサスに対して上振れる銘柄が多い今回の決算発表は、東京株式市場全般にとっても、追い風になっていると考えられます。

四半期営業利益額の多い10銘柄の決算動向
(画像=SBI証券)

表1 【ご参考】四半期営業利益額の多い10銘柄の決算動向
  / 銘柄名 / 四半期累計営業利益 当四半期 / 四半期累計営業利益 前年同期比 / 今期予想営業利益 金額 / 今期予想営業利益 前期比 / 今期予想営業利益 修正額
<9434> / ソフトバンク / 589,605 / 6.8% / 920,000 / 0.9% / -
<9433> / KDDI / 588,763 / 6.4% / 1,030,000 / 0.8% / -
<9437> / NTTドコモ / 563,601 / 4.3% / 880,000 / 3.0% / -
<6758> / ソニー / 546,159 / 7.1% / 700,000 / -17.2% / 80,000
<7203> / トヨタ自動車 / 519,981 / -62.8% / 1,300,000 / -45.8% / 800,000
<2914> / 日本たばこ産業(12) / 390,181 / -11.4% / 464,000 / -6.7% / 42,000
<4519> / 中外製薬(12) / 231,881 / 84.3% / 275,000 / 22.3% / -
<4502> / 武田薬品工業 / 215,588 / 97.7% / 434,000 / 332.2% / 39,000
<8001> / 伊藤忠商事※ / 190,936 / -14.2% / ※361,175 / -8.2% / -
<4063> / 信越化学工業 / 184,317 / -12.5% / 377,000 / -7.2% / -

※会社公表データをもとにSBI証券が作成。銘柄名の横に(12)とある銘柄は12月期決算で、四半期累計営業利益の対象は2020/1~9期。銘柄名の横が無印の銘柄は3月期決算で、四半期累計営業利益の対象は2020/4~9期。金額の単位は100万円。中外製薬の予想営業利益は「Core営業利益」。伊藤忠商事は予想営業利益を発表していないので、市場コンセンサスを掲載しています。

四半期営業赤字額の多い10銘柄の決算動向
(画像=SBI証券)

表2 【ご参考】四半期営業赤字額の多い10銘柄の決算動向
  / 銘柄名 / 四半期累計営業利益 前年同期 / 四半期累計営業利益 当四半期 / 今期予想営業利益 前期 / 今期予想営業利益 今期予想 / 今期予想営業利益 修正額
<9020> / 東日本旅客鉄道 / 296,568 / -295,288 / 380,841 / -500,000 / ->
<9202> / ANAホールディングス / 78,880 / -280,950 / 60,806 / -505,000 / -
<9201> / 日本航空 / 81,316 / -219,329 / ※100,632 / -278,351 / -
<9021> / 西日本旅客鉄道 / 128,873 / -144,731 / 160,628 / -290,000 / -
<9022> / 東海旅客鉄道 / 406,873 / -113,573 / 656,163 / -185,000 / -
<7211> / 三菱自動車工業 / 10,234 / -82,626 / 12,788 / -140,000 / ->
<4661> / オリエンタルランド / 60,939 / -24,178 / 96,862 / -51,400 / -
<9142> / 九州旅客鉄道 / 30,217 / -20,571 / 49,406 / -32,300 / -
<9007> / 小田急電鉄 / 25,657 / -19,193 / 41,103 / -28,400 / -
<6472> / NTN / 4,486 / -12,323 / 7,056 / -14,000 / 6,000

※会社公表データをもとにSBI証券が作成。掲載された全銘柄が3月期決算で、四半期累計営業利益の対象は2020/4~9期。金額の単位は100万円。日本航空(9201)は業績予想を公表していないため、市場コンセンサスを掲載しています。

2020/7~9月期が強かった銘柄は?

前項でも触れましたが、日経平均株価が約29年ぶりの高値水準を回復する中、決算発表は大きなヤマ場を越してきました。世界的な低金利は当面続くと予想され、日経平均株価は25,000円を目指す可能性もありそうです。

そうした中、「日本株投資戦略」では、当面の物色対象として有望視される好決算銘柄を抽出すべく、以下のようなスクリーニングを行ってみました。

(1)東証上場銘柄(広義の金融を除く)であること。
(2)時価総額1千億円以上の銘柄であること。
(3)業績予想を行っているアナリストが3社以上の銘柄であること。
(4)3月決算または12月決算の銘柄であること。
(5)決算発表が11/5(木)までに終わっている銘柄であること。
(6)発表された直近四半期(2020/7~9期)の営業利益が以下のすべての条件を満たしていること。
   ・事前の市場コンセンサスを上回った銘柄であること。
   ・黒字で、前年同期比10%以上増益となった銘柄であること。
   ・前四半期(2020/4~6期)に対しても増益の銘柄であること。
(7)来期の市場予想営業利益が10%以上増益の銘柄であること。
(8)過去4週の予想EPS変化率が下がっていない銘柄であること。

上記、すべての条件を満たした銘柄を、直近四半期(2020/7~9期)の営業増益率(前年同期比)が大きい順に並べたものが表3となっています。日本株投資戦略では、これらの銘柄は、当面の東京株式市場で良好なパフォーマンスをあげる可能性が大きい銘柄であると期待しています。

決算が好調で今後の好パフォーマンスに期待したい主力銘柄
(画像=SBI証券)

表3 決算が好調で今後の好パフォーマンスに期待したい主力銘柄
コード / 銘柄(決算発表予定月日) / 株価11/5(木) / 営業増益率(前年同期比)2020/7~9期 / 営業増益率(前年同期比)今期市場予想 / 営業増益率(前年同期比)来期市場予想
<9508> / 九州電力 / 896 / +405.3% / +48.3% / +22.2%
<4062> / イビデン / 4,490 / +176.2% / +44.5% / +31.6%
<6586> / マキタ / 5,120 / +50.2% / -6.4% / +18.7%
<8803> / 平和不動産 / 3,250 / +46.1% / -11.4% / +15.9%
<9064> / ヤマトホールディングス / 2,597 / +37.8% / +55.8% / +16.0%
<3064> / MonotaRO(12) / 6,030 / +36.3% / +20.0% / +19.2%
<6981> / 村田製作所 / 7,459 / +36.3% / -9.1% / +30.5%
<7269> / スズキ / 4,894 / +31.6% / -41.2% / +68.9%
<1973> / NECネッツエスアイ / 1,915 / +25.9% / +18.1% / +10.1%
<6370> / 栗田工業 / 3,365 / +24.2% / -6.0% / +15.2%
<2810 / ハウス食品グループ本社 / 3,670 / +22.2% / -12.8% / +28.1%
<2326> / デジタルアーツ / 8,950 / +20.7% / +53.9% / +21.6%
<6594> / 日本電産 / 11,165 / +20.2% / +26.0% / +35.8%
<9672> / 東京都競馬(12) / 5,110 / +19.7% / +29.1% / +28.9%
<4290> / プレステージ・インターナショナル / 905 / +16.5% / +4.1% / +18.5%
<6758> / ソニー / 9,229 / +14.9% / -21.1% / +28.2%
<7575> / 日本ライフライン / 1,394 / +14.1% / -1.9% / +10.5%
<6806> / ヒロセ電機 / 14,340 / +12.9% / +0.0% / +10.3%
<6752> / パナソニック / 999.0 / +12.5% / -49.8% / +83.2%
<3401> / 帝人 / 1,656 / +10.1% / -27.1% / +15.9%

※Bloombergデータおよび会社公表データを用いてSBI証券が作成。銘柄名横に(12)とあるのは12月決算銘柄で、他は3月決算銘柄。ここで「今期」は3月決算銘柄の場合は2021/3期(12月決算銘柄は2020/12期)、「来期」は3月決算銘柄の場合は2022/3期(12月決算銘柄は2021/12期)を指しています。

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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鈴木英之
SBI証券 投資調査部

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