1997年7月よりタイを中心に始まった、アジア各国の急激な通貨下落(減価)減少のこと。米国のヘッジファンドを主とした機関投資家による通貨の空売りが原因となって生じ、東アジア、東南アジアの各国経済に大きな悪影響を及ぼした。狭義にはアジア各国通貨の暴落のみを指すが、広義にはこれによって起こった金融危機(アジア金融危機)を含む経済危機を指す。タイ、インドネシア、韓国は経済に大きな打撃を受け、IMFの管理を要請する事態となった。マレーシア、フィリピン、香港は限定的な影響を受けるにとどまった。中国と台湾は直接の影響はなかったものの、前述の国々と関連して影響を受けた。日本に関しては融資の焦げ付きが多発し、緊縮財政とタイミングが重なった結果、1997年と1998年における金融危機を引き起こす一端となった。また1998年9月の政策金利引き下げ、10月7-8日の円急騰(2日間で20円の急騰)、10月23日の長銀国有化、12月13日の日債銀国有化へと繋がる一連の金融不安の遠因となった。加えて、新興国における通貨不安はアジア地域に留まらず、1998年8月17日からのロシア財政危機、1999年1月ブラジル通貨危機など同様の混乱を招いた。