日本株が“歴史的な上昇局面”となっています。

日経平均株価は11/2(月)~11/12(木)に8営業日連続高となり、1991年6月以来となる高値水準(25,520円88銭)を回復してきました。

新型コロナウイルスの感染拡大が再加速し、11/13(金)の東京株式市場は利益確定売りが優勢となりました。しかし、そのことでむしろ金融緩和状態が長期化するとの見方も根強くなっています。2020年最大級のイベントであった米大統領選挙が終わったことに加え、新型コロナウイルス向けワクチンが実現に近づき、投資家がリスクを取りやすく、依然として上値を追いやすい状態になっています。

そうした中、2020/7~9期の決算発表は、発表社数が11/12(木)378社、11/13(金)543社と続きましたが、11/13(金)をもってほぼ一巡しました。決算にて発表された数字が事前予想を上回り、見通しを上方修正する銘柄も少なくなく、株式市場に強い追い風になりました。なお、11月第3週以降は、発表された決算数字をベースに、銘柄間比較が本格化してくると予想されます。今回の日本株投資戦略では、今後、物色の中心となるような、業績的に“強い銘柄”を抽出すべく、スクリーニングを行いました。

日経平均が29年ぶり高値~「好決算」も追い風に

日本株投資戦略,上方修正期待銘柄
(画像=PIXTA)

冒頭で触れましたように、日本株は“歴史的な上昇局面”に入っていると考えられます。新型コロナウイルスの感染拡大が再び加速する中、金融緩和状態が長期化するとの観測が強まり、「リスクオン」の状態になっています。一方、米大統領選挙も終わり、市場の関心は再び景気・企業業績に向かいやすくなっています。

そうした中、東京株式市場は10月下旬以降、決算発表シーズンとなりました。東証に上場する銘柄のうち、3月決算銘柄の比率は58%程度ですが、6月決算銘柄、9月決算銘柄、12月決算銘柄までも含めると、全体のおよそ4分の3にあたる数の企業が、この時期に2020/7~9期決算の発表を実施しました。

昨年との比較という観点では、新型コロナウイルス感染拡大の影響が続いており、企業業績は減益傾向の厳しい状態になっています。しかし、市場予想との比較では、それを上回る企業も多くなっているようです。

もともと業績予想を発表している3月決算企業については、その3分の1弱が通期業績予想を上方修正しており、決算発表直後の株価の反応については、市場予想との比較が大きな決め手になる傾向にあります。表1は事前の市場予想を大きく上回った東証上場企業の例ですが、決算発表後に株価が上昇する企業が多い傾向にあることがわかります。その意味で、今回の決算発表は“強い”内容であり、株価にも追い風になったと見受けられます。

株式市場では、決算発表シーズン中に「企業業績の発表」という材料が提供されますが、決算発表シーズンが終わると材料の提供はなくなり、手掛かり材料難から市場ボリュームが縮小することがあり、決算発表が一巡した11/16(月)以降は、様子見気分が強まる反面、更新された業績データをベースにした銘柄間比較が行いやすくなると考えられます。

こうした背景から、市場の銘柄間比較に耐えられるような好業績をあげている銘柄に投資することは、当パフォーマンスをあげる上で重要であると日本株投資戦略では考えています。

事前の市場予想を上回った主力銘柄の値動き
(画像=SBI証券)

表1 【ご参考】事前の市場予想を上回った主力銘柄の値動き
銘柄名 / 四半期累計営業利益 当四半期 / 四半期累計営業利益 前年同期比 / 今期予想営業利益 金額 / 今期予想営業利益 前期比 / 今期予想営業利益 修正額 / 決算発表後騰落率
<7974> / 任天堂 / 291,424 / 209.3% / 450,000 / 27.7% / 150,000 / 13.8%
<9508> / 九州電力 / 91,038 / 202.1% / 70,000 / 9.7% / - / 11.1%
<9502> / 中部電力 / 104,479 / 21.0% / - / - / - / 14.9%
<6758> / ソニー / 546,159 / 7.1% / 700,000 / -16.3% / 80,000 / 9.8%
<9432> / 日本電信電話 / 1,008,580 / 2.6% / 1,590,000 / 1.8% / - / 10.1%
<1925> / 大和ハウス工業 / 156,024 / -25.5% / 258,000 / -32.3% / 88,000 / -6.9%
<6752> / パナソニック / 96,627 / -31.1% / 150,000 / -48.9% / - / 9.0%
<7269> / スズキ / 74,901 / -36.8% / 160,000 / -25.6% / - / 1.9%
<6201> / 豊田自動織機 / 30,201 / -57.8% / 85,000 / -33.7% / 25,000 / 4.6%
<7267> / 本田技研工業 / 169,265 / -64.2% / 420,000 / -33.7% / 220,000 / 9.9%

※会社公表データをもとにSBI証券が作成。四半期累計営業利益の対象は2020/4~9期。金額の単位は100万円。「決算発表後騰落率」は決算発表日(取引時間中に発表の銘柄はその前日終値)から11/12(木)までの株価騰落率を示しています。

最高益・連続増益の「強い銘柄」はコチラ!?

前項でも触れましたが、決算発表が一巡した11/16(月)以降は、更新された業績データをベースにした銘柄間比較が行いやすい傾向になると考えられます。こうした背景から、市場の銘柄間比較に耐えられるような好業績をあげている銘柄に投資することは、当パフォーマンスをあげる上で重要であると日本株投資戦略では考えています。

そうした中、日本株投資戦略では、当面の物色対象として有望視される好決算銘柄を抽出すべく、以下のスクリーニングを行いました。

(1)東証上場銘柄(広義の金融を除く)であること。
(2)時価総額1千億円以上の銘柄であること。
(3)業績予想を行っているアナリストが3社以上の銘柄であること。
(4)3月決算または12月決算の銘柄であること。
(5)決算発表が11/12(木)までに終わっている銘柄であること。
(6)発表された直近四半期(2020/7~9期)の営業利益が以下のすべての条件を満たしていること。
   ・事前の市場コンセンサスを上回った銘柄であること。
   ・黒字で、前年同期比10%以上増益となった銘柄であること。
   ・前四半期(2020/4~6期)に対しても増益の銘柄であること。
(8)過去3期(通期)の営業利益について増益を確保していること。
(7)今期および来期の市場予想営業利益が10%以上増益の銘柄であること。
(8)今期に純利益ベースで過去最高益更新が予想(市場予想)される銘柄であること。
(9)予想PER(市場予想)が100倍を超えていないこと。
(10)会社側が今期予想営業利益を下方修正していないこと。

上記、すべての条件を満たした銘柄を、直近四半期(2020/7~9期)の営業増益率(前年同期比)が大きい順に並べたものが表2になります。日本株投資戦略では、これらの銘柄は、当面の東京株式市場で良好なパフォーマンスをあげる可能性が大きい銘柄であると期待しています。

連続増益・最高益更新が見込め、直近の四半期決算も好調だった好業績銘柄
(画像=SBI証券)

表2 連続増益・最高益更新が見込め、直近の四半期決算も好調だった好業績銘柄
コード / 銘柄(決算発表予定月日) / 株価11/12(木) / 営業増益率(前年同期比)2020/7~9期 / 営業増益率(前年同期比)今期市場予想 / 営業増益率(前年同期比)来期市場予想
<4974> / タカラバイオ / 2,945 / +288.1% / +11.6% / +23.6%
<3635> / コーエーテクモホールディングス / 5,020 / +63.5% / +52.6% / +20.5%
<4519> / 中外製薬(12月) / 4,622 / +31.7% / +35.4% / +16.9%
<2491> / バリューコマース(12月) / 3,240 / +29.6% / +20.7% / +13.0%
<1973> / NECネッツエスアイ / 1,883 / +25.9% / +18.1% / +10.1%
<6754> / アンリツ / 2,286 / +20.0% / +14.6% / +12.4%
<9672> / 東京都競馬(12月) / 4,860 / +19.7% / +29.1% / +28.9%
<9090> / 丸和運輸機関 / 4,420 / +19.3% / +18.6% / +15.3%
<9697> / カプコン / 5,180 / +13.7% / +32.0% / +17.7%

※Bloombergデータおよび会社公表データを用いてSBI証券が作成。銘柄名横に(12)とあるのは12月決算銘柄で、他は3月決算銘柄。ここで「今期」は3月決算銘柄の場合は2021/3期(12月決算銘柄は2020/12期)、「来期」は3月決算銘柄の場合は2022/3期(12月決算銘柄は2021/12期)を指しています。

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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鈴木英之
SBI証券 投資調査部

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