信用保証サービスを展開するイー・ギャランティ。今回は、金融アナリストの三井智映子さんが同社の江藤公則社長を直撃取材。前編では、同社のビジネスモデルや市場規模、ここまでの成長の軌跡などについて聞いてきました。後編では、さらなる成長への戦略を中心に聞いていきます。どうやら、撒いた種が育ち、そろそろ実を結ぶ段階になってきている様子。同社の秘策とはいったいなんなのでしょうか。(※取材では、撮影時以外のマスク装着やソーシャルディスタンスの確保など新型コロナウイルスの感染防止に対する配慮を行っています)

江藤公則 MASANORI ETOH
イー・ギャランティ代表取締役社長
1998年、伊藤忠商事に入社。入社2年目に社内ベンチャー制度を活用し、金融債権の保証ビジネスを立ち上げる。2000年にイー・ギャランティを設立。2007年にジャスダック市場に上場し、ジャスダック上場企業の社長としては最年少記録(当時)を打ち立てた。2011年には東証2部、翌2012年には東証1部への鞍替え上場を果たしたほか、信用リスクに関するファンドの組成、ベンチャー出資を保証するサービスの販売、新型コロナウイルスの感染拡大にあわせた商品開発をするなど順調に業容を拡大させている。
三井智映子 CHIEKO MITSUI
金融アナリスト
北海道小樽市出身。NHK教育「イタリア語会話」でデビュー。2011年東京にはモーターショーにてMCデビューを果たす。2014年1月に「五木ひろし特別公演」で八重次役を務めたほか、数々の番組に出演。2012年10月からフィスコリサーチレポーターとしてYahoo!ファイナンスで株価予想などを行うほか、テレビ、雑誌、Webなど活動の場を広げた。2013年に『最強アナリスト軍団に学ぶ ゼロからはじめる株式投資入門 』(講談社)を出版。2020年に独立し、解説投資の記事執筆やセミナー講師、動画配信( https://www.youtube.com/c/EventsIR/videos )などに従事。わかりやすい初心者向けの投資解説が武器。ツイッター@chiekomitsui、ブログ https://ameblo.jp/mitsui-chieko/

リスク管理を外注する企業が増加

イーギャランティ
(画像=撮影=末松正義、画像=ZUU online)

三井 2021年3月期の第1四半期決算は、2ケタの増収増益で着地しました。通期ベースでは計画通りに進んでいますか? 増収増益の要因やコロナの影響についてもお話し下さい。

江藤 おおむね計画通りですね。コロナ禍についても、現状では業績にマイナスに働いてはいません。 三井 コロナ禍でリスクについて考える企業や、この先のリスクに備える企業が増えたということはありませんか?

江藤 そういう部分はあると思います。これまで倒産する企業が少ない時期が長かったので、コロナによって改めてリスクが認識されたことで、新規の問い合わせが増えています。ほかにも、遠方の取引先に直接赴くことが難しいので、少額案件であればリスク管理を私たちにアウトソーシングしてしまおうとか、テレワークの普及で社内コミュニケーションが取りづらくなっているなかで、やはりリスク管理を外注してしまった方がいいと考える企業が多いようです。そのような状況で私たちのサービスが適しているという印象を持たれているのだと思います。

三井 信用保証というビジネスモデルは不況に強いイメージがあります。2008年のリーマンショックの時も追い風が吹いていたのではないですか?

江藤 確かに、リーマンショック時は大きく成長できた時期ですね。9割ほどのお客様に契約を更新していただいていますが、当社のサービスを一度活用していただければ、その価値を理解いただけるということだと思っています。不況時に顧客が増えることで、会社自体のギアチェンジにもつながっているようです。

三井 今回のコロナ禍でも新規顧客は増えていますか?

江藤 そうですね。また、リーマンショックの時よりも大企業の顧客が増えていますから、当社への利益寄与という面でも今回の方が以前より大きくなっています。リーマンショック時には、単純に企業の資金繰りが悪化して信用リスクをヘッジしたいというニーズが高まり、それが追い風になりました。その一方で、現在はリスクに備えるというより、企業の意識自体が「リスク管理は外注したほうがいい」という方向に変わりつつあることが大きいです。信用保証サービスに関してリスクヘッジ以外の使い方が生まれているというのは、私たちにとって影響が大きいと思いますね。

さらに、企業側にとって多様なリスクに備えるために何をしなければならないかが議論になっていますので、今後は「リスクの多様性」の影響も受けそうです。

三井 なるほど。リスク管理は自社ではなく外注したほうがいいと考える企業が増えていけば、御社にとっては追い風になりますね。

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(撮影=末松正義)

コロナを受けたリスク資産の洗い出しは完了

三井 新型コロナウイルスによって、保証先のリスク評価の見直しや新規顧客の保証料率の引上げなど、以前と変わった部分がありますね。

江藤 今までの単純な統計が使いにくくなったのは事実です。ただ、倒産確率の序列は変わりません。全体の倒産確率は上がってますが、これまで倒産確率が高かった企業はコロナ禍でも高いですし、倒産確率が低かった企業はコロナ禍でも低いです。

三井 リスクの序列自体は変わらないということですね。

江藤 おっしゃる通りです。この序列を前提にしながら、リーマンショックの時にはどのような変化が起きたのかを考慮し、それを現在に適応しています。それと同時に、産業によっても変化の度合いにかなり差が出ています。それらを含めて保証料率を計算していますね。

三井 保証料の引き上げが、今後の業績にどう影響してきそうですか?