株式市場は「師走相場」を迎えました。日経平均株価は11月に1994/1以来の高い上昇率となった他、2018年以降抜けそうで抜けなかった2万4千円台前半の上値抵抗ラインを突破し、上昇に勢いが付いた状態になっています。年末にかけての上昇を期待する投資家もいらっしゃるのではないでしょうか。

一方、配当や株主優待などの株主還元を享受しながら、じっくりと株式投資を楽しみたいと考える投資家にとっても、株主権利確定銘柄の多い12月は重要な月であると考えられます。そこで今回の日本株投資戦略では、12月に株主の権利が確定する株主優待銘柄についてご紹介したいと思います。

20万円以下・有配・好業績の12月株主優待銘柄

日本株投資戦略,上方修正期待銘柄
(画像=PIXTA)

株式市場は「師走相場」を迎えました。日経平均株価は11月に15.0%と、1ヵ月の上昇率としては1994/1以来の大きさとなった他、2018年以降抜けそうで抜けなかった2万4千円台前半の上値抵抗ラインを突破し、上昇に勢いが付いた状態になっています。もともと月間騰落率の過去30年(1990~2019年)の平均は4月+1.8%に次ぎ、12月は+1.1%の2番目の好成績になっており、年末にかけての上昇を期待する投資家もいらっしゃるのではないでしょうか。

一方、株価の短期的な騰落で一喜一憂するのではなく、配当や株主優待などの株主還元を享受しながら、じっくりと株式投資を楽しみたいと考える投資家にとっても、12月は重要な月であると考えられます。「3月本決算・9月中間決算」に次ぎ、「12月本決算・6月中間決算」の企業が多いため、12月に配当や株主優待の権利が確定する銘柄も多いためです。そこで、今回の日本株投資戦略では、12月に株主の権利が確定する株主優待銘柄についてご紹介したいと思います。

近年、「株主優待」は投資家の高い関心を集めており、雑誌などメディアで幅広く紹介されるケースも増えています。値上がり益など売買益の獲得を狙うだけでなく、配当や株主優待などの獲得を取り入れることにより、投資家は株式投資の総合的なリターンをより高めることが可能になると考えられます。「つなぎ売り」など、信用取引の活用により、リスクを回避しながら配当や株主優待を享受できるテクニックも普及してきたと考えられ、「株主優待」のすそ野はかなり広がってきました。

しかし、「つなぎ売り」を可能とする「信用取引口座」はすべての人が開設できる訳ではなく、実際の活用には一定の知識や経験も必要になると思います。そこで、株主優待の獲得を主要な目的とした投資であっても、対象企業の業績や財務体質に配慮する必要があると考えられます。

今回の日本株投資戦略では、これらの点を踏まえ、以下の条件で抽出しました。

(1)東証に上場し、当社Webサイトの株主優待検索ページで株主優待の内容が紹介されている銘柄であること。
(2)12月(権利付最終日は12/28)に株主優待及び配当の権利が確定する銘柄であること。
(3)12月末株主に対し配当を実施する予定の銘柄であること。
(4)最低投資単位(100株)の投資に必要な金額が20万円未満(諸コストを除く・12/3時点)の銘柄であること。
(5)「一般信用」または「制度信用」で信用取引が使える銘柄であること。
(6)12月決算銘柄の場合、第3四半期累計(2020/1~9期)の営業利益が黒字となっていること。さらに、同四半期累計の営業増益率が、通期(2020/12)会社予想営業増益率を上回っている銘柄であること。または、同四半期累計の進捗率が75%以上であること。

上記のすべての条件を満たす銘柄について、2020/12/3時点で当社Webサイト株主優待検索ページで閲覧数の多い順に並べたものが下表となります。なお、結果的にすべての銘柄が12月決算銘柄であり、6月決算銘柄の存在を前提とした記述は省略しました。

ここでの「好業績」の捉え方は、業績予想下方修正リスクの小さいことを示しており、(6)において、必ずしも増益予想であることを条件とせず、さらに、同四半期累計の営業利益について、通期予想営業利益に対する進捗率が75%超の銘柄についても、好業績として取り扱いました。なお、キッツ(6498)については今期が9ヵ月決算であり、進捗率の標準は66.7%を上回ることとしました。

20万円以下・有配・好業績の12月株主優待銘柄
(画像=SBI証券)

表1 20万円以下・有配・好業績の12月株主優待銘柄
コード / 銘柄 / 株価(12/3) / 優待確保最低投資単位での株主優待内容の概要
<7613> / シークス / 1,669 / ギフトカード1,000円相当。
<3001> / 片倉工業 / 1,432 / 自社製品1,000円相当。複数から選択。
<6077> / N・フィールド / 792 / クオカード2,000円相当。
<3964> / オークネット / 1,456 / クオカード1,000円相当。
<4248> / 竹本容器 / 1,008 / 自社オリジナル容器入り商品。
<6546> / フルテック / 1,456 / クオカード1,000円相当。
<3688> / CARTA HOLDINGS / 1,335 / ギフトコード1,000円相当。
<4286> / レッグス / 1,742 / クオカード1,000円相当。
<9384> / 内外トランスライン / 1,370 / 商品1,500円相当。カタログより選択。
<6498> / キッツ / 576 / グループ会社優待券。
<7172> / ジャパンインベストメントアドバイザー / 1,515 / クオカード1,000円相当。日証新聞講読券。

※当社Webサイト株主優待検索ページを参考にSBI証券が作成。株主優待の内容は、最低投資単位(100株)で当該銘柄に投資したときの株主優待内容の概要を示すもので、必ずしもそのすべてを示すものではありません。また、保有株式数や保有期間により、株主優待の内容が異なる場合もあります。また、上表の株主優待の内容は当レポート作成時のもので、今後変更される可能性もあります。なお、権利付最終日はすべての銘柄において12/28(月)になっています。株主優待の制度や内容については、各社Webサイトにてご確認をお願い申し上げます。

掲載銘柄の投資ポイントは?

表1および表2の掲載順は「当社Webサイト株主優待検索ページで閲覧数の多い順」となっております。ただ、この順位は常に変動しますので、これによって示される投資家の関心度の強弱も、常に変動すると考えられます。

シークス(7613)は電子・機械部品商社を営んでいます。12/28(月)に100株以上保有する株主にギフトカード1,000円相当が贈呈されます。500株以上保有では2,000円相当、1,000株以上保有では3,000円相当が贈呈されます。なお、1年以上継続保有した株主を対象に抽選で10名を旅行(自社海外工場視察を含む)に招待する計画です。

※新型コロナウイルスの影響に鑑み、旅行内容等に変更が生じている可能性があるのでご注意ください。

不動産経営や医薬品など多角化経営の片倉工業(3001)は、12/28(月)に100株以上保有する株主に自社製品(肌着・蜂蜜・「コクーンシティ」買物券・富岡製糸場への寄付等より1品選択。3年以上継続保有の場合2品選択)1,000円相当が贈呈されます。1,000株以上保有では2,000円相当、3,000株以上保有では4,000円相当が贈呈されます。また、100株以上保有で別途、自社オンラインショップ「片倉の国産はちみつ専門店」10%割引券が贈呈されます。

フィンテック関連企業のオークネット(3964)は、12/28(月)に100株以上保有する株主に1,000円相当のクオカードを贈呈されます。なお、1年以上継続保有の場合1,000円増しとなります。

化粧品や食品向けを中心に容器を製造する竹本容器(4248)は、12/28(月)に100株以上保有する株主に自社オリジナル容器入り商品を贈呈され、2019年はおこし・飴が贈呈されました。

紹介銘柄の業績および配当
(画像=SBI証券)

表2 紹介銘柄の業績および配当
コード / 銘柄 / 株価(12/3) / 営業増益率(前年比)3Q累計 / 営業増益率(前年比)通期予想 / 1株当たり配当および予想配当利回り 上期(円) / 下期予想(円) / 配当利回り
<7613> / シークス / 1,669 / -36.5% / -52.8% / 14.0 / 15.0 / 1.74%
<3001> / 片倉工業 / 1,432 / 36.7% / 16.8% / 0.0 / 16.0 / 1.12%
<6077> / N・フィールド / 792 / 68.5% / 25.5% / 0.0 / 5.0 / 0.63%
<3964> / オークネット / 1,456 / 50.7% / 37.8% / 10.0 / 10.0 / 1.37%
<4248> / 竹本容器 / 1,008 / 17.1% / 7.3% / 9.5 / 9.5 / 1.88%
<6546> / フルテック / 1,456 / -35.1% / -54.6% / 10.0 / 15.0 / 1.72%
<3688> / CARTA HOLDINGS / 1,335 / 進捗率79% / 決算期変更 / 8.0 / 8.0 / 1.20%
<4286> / レッグス / 1,742 / -25.5% / -38.2% / 0.0 / 23.0 / 1.32%
<9384> / 内外トランスライン / 1,370 / -19.0% / -20.8% / 19.0 / 17.0 / 2.63%
<6498> / キッツ / 576 / 進捗率82% / 決算期変更 / 5.0 / 3.0 / 1.39%
<7172> / ジャパンインベストメントアドバイザー / 1,515 / 39.1% / -6.0% / 16.0 / 16.0 / 2.11%

※会社公表データをもとにSBI証券が作成。配当利回りは上期実績および下期予想(会社予想)の1株配当を株価で割った数値(予想)です。銘柄の掲載順は表1と同じにしました。

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
※NISA口座で上場株式等の配当金を非課税で受け取るためには、配当金の受領方法を「株式数比例配分方式」に事前にご登録いただく必要があります。

鈴木英之
SBI証券 投資調査部

【関連記事 SBI証券より】
≪日経平均は3万円目指す展開か≫そこで買われる銘柄は?
"いま"だからこそ注目したい主要テーマ株~新型コロナ感染再拡大で気になる銘柄とは~
≪真の優良銘柄はコチラ!?≫決算を終えて最高益・連続増益の強い銘柄を探す
≪米大統領選からファンダメンタルズへ≫"好業績"で"好評価"期待の主力銘柄は?
≪「バイデン大統領」ならさらに?≫「国策化」で再注目の「環境・EV」関連銘柄はコチラ!?