毎月、新たに発売されるビジネス書は約500冊。いったいどの本を読めばいいのか、迷ってしまう方も多くいるかと思われます。

本稿では、読書家が集まる本の要約サイト「flier(フライヤー)」で、11月にアクセスの多かった書籍ベスト5を業界ごとにご紹介。金融業界を銀行関連・証券関連・保険関連の3つに分け、それぞれのユーザーがどのような本を多く読んでいるのかを解説いたします。

ストック型,フロー型,ビジネス,副業
(画像=drobot-dean/stock.adobe.com)

目次

  1. 金融業界ユーザー別ランキング(五十音順)
    1. 銀行業界ランキング
    2. 証券業界ランキング
    3. 保険業界ランキング
  2. 仕事術や習慣に関する本が上位独占
  3. 銀行業界:「能力」に関する本が多く読まれる
  4. 証券業界:「業界」に関する本が多く読まれる
  5. 保険業界:「働き方」に関する本が多く読まれる
  6. 編集後記

金融業界ユーザー別ランキング(五十音順)

銀行業界ランキング

第1位:『マッキンゼーで学んだ速い仕事術』(大嶋祥誉著、学研プラス)
第2位:『AI分析でわかった トップ5%社員の習慣』(越川慎司著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)
第3位:『やめたいのにやめられない 悪い習慣をやめる技術』(小早川明子著、平井愼二監修、フォレスト出版)
第4位:『「バカ」の研究』(ジャン゠フランソワ・マルミオン編、田中裕子訳、亜紀書房)
第5位:『超効率 すごい記憶術』(青木健著、総合法令出版)

証券業界ランキング

第1位:『AI分析でわかった トップ5%社員の習慣』(越川慎司著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)
第2位:『マッキンゼーで学んだ速い仕事術』(大嶋祥誉著、学研プラス)
第3位:『世界のお金持ちが実践するお金の増やし方』(高橋ダン著、かんき出版)
第4位:『やめたいのにやめられない 悪い習慣をやめる技術』(小早川明子著、平井愼二監修、フォレスト出版)
第5位:『ゴールドマン・サックス流 女性社員の育て方、教えます』(キャシー松井著、中央公論新社)

保険業界ランキング

第1位:『マッキンゼーで学んだ速い仕事術』(大嶋祥誉著、学研プラス)
第2位:『AI分析でわかった トップ5%社員の習慣』(越川慎司著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)
第3位:『やめたいのにやめられない 悪い習慣をやめる技術』(小早川明子著、平井愼二監修、フォレスト出版)
第4位:『楽しくなければ成果は出ない』(田中マイミ著、すばる舎)
第5位:『藁を手に旅に出よう』(荒木博行著、文藝春秋)

※本の要約サイト「flier(フライヤー)」の有料会員を対象にした、2020年11月の閲覧数ランキング

仕事術や習慣に関する本が上位独占

今月の金融3業界(銀行、証券、保険)では、仕事術や習慣に関する本が上位を独占しました。なかでも、『マッキンゼーで学んだ速い仕事術』、『AI分析でわかった トップ5%社員の習慣』、『やめたいのにやめられない 悪い習慣をやめる技術』は、いずれの業界でもトップ5に入っており、多くの人の注目を集めたと言えます。

まずご紹介したいのが、銀行業界と保険業界で第1位となった『マッキンゼーで学んだ速い仕事術』。著者の大嶋祥誉氏がマッキンゼーで働く中で学んだ、仕事の質とスピードを上げるためのノウハウが紹介された一冊です。「デキるビジネスパーソン」は、仕事のさまざまな場面で使える“型”をたくさん持っています。本書で紹介されている“型”を身に着ければ、生産性は間違いなく上がります。

マッキンゼーで学んだ速い仕事術
マッキンゼーで学んだ速い仕事術
大嶋祥誉
出版社:学研プラス
発売日:2020年09月08日
ジャンル:スキルアップ・キャリア、生産性・時間管理

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一方で、証券業界で第1位となったのは『AI分析でわかった トップ5%社員の習慣』でした。どんな会社でも、常に成績がトップクラスの「デキる社員」はいるものです。本書は25の企業の協力のもと、5%のデキる社員と95%の一般社員、合計約1万8000人の働き方をリサーチし、収集したデータをAIと専門家で分析。「デキる社員」と「一般社員」のどこに違いがあるのかを明らかにしています。ぜひ読み進めながら、今の自分にできていること、できていないことを一つずつチェックしてみてはいかがでしょうか。

AI分析でわかった トップ5%社員の習慣
AI分析でわかった トップ5%社員の習慣
越川慎司
出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
発売日:2020年09月25日
ジャンル:自己啓発・マインド

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また、『やめたいのにやめられない 悪い習慣をやめる技術』も、それぞれの業界で安定して読まれました。どんなに意気込んでみても、ときには「悪い習慣」をしてしまうのが人間です。本書には、酒・タバコといった嗜好品から、スマホいじりやうっかりミスなどにいたるまで、「わかっちゃいるけどやめられない」ものをやめるための原則が書かれています。新しくなにかを始めたくても、すでにあるなにかをやめなければ、時間の余裕は一向に生まれません。自分の行動習慣を変えければ、まずは「やめる」ことから始めましょう。

やめたいのにやめられない 悪い習慣をやめる技術
やめたいのにやめられない 悪い習慣をやめる技術
小早川明子、平井愼二(監修)
出版社:フォレスト出版
発売日:2020年07月23日
ジャンル:サイエンス、健康・フィットネス

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ここからは、それぞれの業界の読書傾向について、今月のランキングから分析していきます。

銀行業界:「能力」に関する本が多く読まれる

銀行業界では、「能力」に関する本が多く読まれるという結果になりました。第4位『バカの研究』は、24人もの科学者や心理学者が、自らの専門知識を動員して、多角的な視点から「バカ」についてバカ真面目に考察したというユニークな一冊。一般的に「バカ」とは知能が低いことを指すように思われていますが、人には誰でも「バカ」になる瞬間、人を「馬鹿」だと思ってしまう瞬間があります。

「こういうバカな人、いるいる!」と読んでもいいですし、「自分ってこういうバカなところあるよな……」と自戒を込めて読むのもいいでしょう。いずれにせよ、人間であることはバカであることと同義なのですから、本書を読んで「バカ」について深く考えてみると、「バカ」に対する印象も変わるかもしれません。

「バカ」の研究
「バカ」の研究
ジャン゠フランソワ・マルミオン(編)、田中裕子(訳)
出版社:亜紀書房
発売日:2020年07月15日
ジャンル:自己啓発・マインド、リベラルアーツ

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一方で第5位の『超効率 すごい記憶術』は、メモリースポーツという記憶力を競う大会で、記憶力日本チャンピオンに輝いたこともある青木健氏の著作。世界トップレベルの選手だと、ランダムに並べられた数字の羅列を5分間で600桁近く覚えられるといいますが、私たちでもしっかり訓練すれば、記憶力はかなり鍛えられると言います。

「名刺交換をした覚えはあるけど、名前が出てこない」「効率的に勉強をしたい」「英単語がなかなか覚えられない」という方は、ぜひ本書をお読みいただければと思います。

超効率 すごい記憶術
超効率 すごい記憶術
青木健
出版社:総合法令出版
発売日:2020年07月26日
ジャンル:自己啓発・マインド、リベラルアーツ

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証券業界:「業界」に関する本が多く読まれる

証券業界では、金融業界そのものに関連した書籍が注目を集めており、他の業界と比べてもユニークな結果となっております。

第3位『世界のお金持ちが実践するお金の増やし方』は、投資系YouTuberとして知られる高橋ダン氏の話題作。少し煽り気味のタイトルのように映るかもしれませんが、書かれている内容はいたって真っ当で、投資へのマインドセットや長期・短期投資の戦略、コモディティや不動産などの具体的な投資アドバイスが紹介されています。

近年は社会不安からか、個人の「お金」に対する意識が高まってきていることが指摘されています。人々がお金のどのようなところに不安を感じており、何を望んでいるのかを知るという意味でも、金融業界に関わる者であれば参考になる点は多いでしょう。

世界のお金持ちが実践するお金の増やし方
世界のお金持ちが実践するお金の増やし方
高橋ダン
出版社:かんき出版
発売日:2020年09月14日
ジャンル:自己啓発・マインド、政治・経済、ファイナンス、トレンド

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第5位『ゴールドマン・サックス流 女性社員の育て方、教えます』は、証券業界の雄として知られるゴールドマン・サックスが、どのように優秀な女性社員を育成し、会社に対して愛着をもってもらう戦略をとっているのかを綴ったもの。実際に行われている女性活躍推進のための施策の数々は、あなたが働いている職場の人材活用を考えるうえでも参考になるでしょう。

消費者のニーズが多様化した現代において、企業が生き抜いていくために必要なのは「既存のプロセスを効率化する力」ではなく、「顧客が求めるものを新たに創り出す」力です。女性をはじめとした多様な視点や能力の活動が、企業の成長のためにも強く求められます。

ゴールドマン・サックス流 女性社員の育て方、教えます
ゴールドマン・サックス流 女性社員の育て方、教えます
キャシー松井
出版社:中央公論新社
発売日:2020年07月10日
ジャンル:リーダーシップ・マネジメント、人事

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保険業界:「働き方」に関する本が多く読まれる

保険業界の今月のランキングでは、『楽しくなければ成果は出ない』(第4位)や『藁を手に旅に出よう』(第5位)のような、働き方に関する書籍が上位に入りました。

『楽しくなければ成果は出ない』の著者は、総合ディスカウントストア「ドン・キホーテ」の黎明期にアルバイトとして入社し、その後正社員となった後に会社の急成長を支え、1万人の部下をマネジメントしてきたという伝説の人物。本書では、そんな著者が見出した「成果を出す人の共通点」が語られています。

「仕事が楽しくない」と感じるなら、まずすべきことは転職でも、プライベートの充実でもありません。自分が何にワクワクするかを知り、それを仕事に生かすことです。本書は、「どんな仕事にも楽しめる要素はある! 楽しまなければ成果は出ない!」と力強く背中を押してくれるでしょう。

楽しくなければ成果は出ない
楽しくなければ成果は出ない
田中マイミ
出版社:すばる舎
発売日:2020年06月27日
ジャンル:スキルアップ・キャリア、自己啓発・マインド、リーダーシップ・マネジメント

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『藁を手に旅に出よう』は、これからのキャリア形成について、物語形式で語った話題作。キャリア形成というと、転職する人や起業する人を思い浮かべがちですが、じつは組織に属して働く人にこそ重要な視点だといいます。

社会に出て日の浅い新人はもちろんのこと、日々の仕事に疑問を持ち始めた中堅やベテラン社員も、ぜひ少し立ち止まり、本書のストーリーと自分を重ねてみてはいかがでしょうか。抱えているモヤモヤを解決するヒントが得られるはずです。

藁を手に旅に出よう
藁を手に旅に出よう
荒木博行
出版社:文藝春秋
発売日:2020年09月20日
ジャンル:スキルアップ・キャリア、自己啓発・マインド

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編集後記

今月の金融業界ランキングでは、それぞれの業界の特徴が色濃く出る結果となりました。来月はどのような傾向が見られるでしょうか。引き続き注目してまいりたいと思います。

本の要約サイト「flier(フライヤー)」は、「書店に並ぶ本の数が多すぎて、何を読めば良いか分からない」「立ち読みをしたり、書評を読んだりしただけでは、どんな内容の本なのか十分につかめない」というビジネスパーソンの悩みに答え、ビジネス書の新刊や話題のベストセラー、名著の要約を1冊10分で読める形で提供しているサービスです。通勤時や休憩時間といったスキマ時間を有効活用し、効率良くビジネスのヒントやスキル、教養を身につけたいビジネスパーソンに利用されているほか、社員教育の一環として法人契約する企業も増えています。

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