部下をケアしない上司は、管理職手当を返上すべき
――もし自分がリーダーとして適切なマネジメントができているか不安であれば、メンバーとフィードバックし合う場を作ることが有効な解決策になる。
「『うちの上司は筋の通らない指示を出したり、理不尽なダメ出しをする』と感じている部下は多いものですが、それは上司と部下では見ている視野の広さや時間軸が異なるからです。
その溝を埋めるには、部下と落ち着いて話せる場を作り、自分の意図や部下に期待することを丁寧に説明するしかありません。そうしない限り、部下は『どうせ何を言っても注意されるから、指示があるまで何もやらないでおこう』と考える。
そして指示待ち人間ばかりになり、チームのすべての動作が遅くなって、組織は停滞します。でも、上司が積極的に自分の考えをフィードバックし、さらに『自分がやりたいことをどんどんやっていい』とメッセージを発信すれば、チームは活性化します。
部下の裁量で仕事をさせると、上がってくる情報や仕事のパフォーマンスは一時的に不安定になります。でも、それを頭ごなしに叱ったら、次からチャレンジしなくなる。やったことは評価したうえで、『どうすればもっと良くなるか』を話し合うことが上司の務めです。
このように、リーダーとは非常に忍耐がいる仕事です。その分、高い給料をもらえるのですから、手間ひまをかけて部下をケアしないリーダーは、管理職手当を返上すべきです」
――そして日本のミドルリーダーには、こんなメッセージを送る。
「仕事が忙しい世代だからこそ、『仕事ばかりするな』と伝えたいですね。目の前の仕事ばかり追いかけていると、視野が狭くなる。だからリーダーこそ、どんどん遊ぶべきです。
私も若い頃は仕事ばかりでしたが、40代に入ってからは遊びの時間を大事にするようになりました。例えば、男性はあまり馴染みのない酵素風呂やアーユルヴェーダを試してみたり、おいしいと評判のレストランに出かけてみたり。
こうして仕事から離れる時間を過ごすと、頭がすっきりとリフレッシュして新しい発想も生まれるし、会社の中にはない意外な気づきを得られたりします。ぜひ皆さんも、仕事以外のことを楽しむ時間を意識的に作って欲しいと思います」
柴田励司(Indigo Blue代表取締役会長)
(『THE21オンライン』2020年10月17日 公開)
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