世界の株式相場は「環境」というテーマを旗印として動き出した。すでに、日本だけでなく世界の主要市場では、環境に絡む銘柄の一部に買いが入り始めている。ここで思い起こされるのは、リーマンショックの年、2008年にオバマ前大統領が打ち出した「グリーン・ニューディール政策」。この政策を受け、一時は環境関連銘柄の株価が上昇したが、本格的な上昇相場を生み出すには至らなかった。はたして、今回は「環境バブル」と呼ばれる相場につながるのか。

年明け後のIPO銘柄の値動きに注目

本編に入る前に、少しだけ前回のコラムの後追いをさせていただく。11月11日に配信したコラム( https://zuuonline.com/archives/223214 )で、「人気業種や公開株数が少ないIPO(株式の新規公開)銘柄の初値高騰は、法則性が崩れるまでは続く。また、初値上昇率が二桁台前半あるいは公開価格割れとなった銘柄は、上場後に積極的に狙っていい」と書いた。このコラムを書いた時点では、まだ12月のIPO銘柄数が確定しておらず、12月15日以降に26社という密な状況になることまでは読めなかったが、12月24日時点ではほぼ予想した通りの動きになっている。

同日に複数の新規上場銘柄が行われれば、当然、投資家の資金は分散される。それもあって、今年の9月29日に上場し、公開価格に対する初値上昇率が1000%を超えたヘッドウォータースのようなケースは見られない。もっとも、指摘した「初値上昇率が二桁台前半あるいは公開価格割れ」の条件を満たすIPO銘柄については、1社を除いて上場後に株価が上昇している。その1社とは、12月18日上場のインバウンドテック。「インバウンド」という嵐のような逆風を受けているセクターがそのまま社名に入っているので、上場後も投資家の人気が集まらなかったのは納得できる。

例年1月はIPOがないため、おそらく年明け以降は12月IPOの中から引き続き買いを集める銘柄が出てきそうだ。その際には、これまでの経験則として一度株価が調整した後に反発し、再び高値を取ってきた銘柄が狙い目か。IPO銘柄は値動きが荒いためやはり短期トレードが前提になるが、お年玉で軽くなった財布をあたため直すチャンスかもしれない。

政権委譲が株価押し上げの要因のひとつに

さて、ここから本題に入りたい。最近になって、太陽光発電などの再生エネルギー、電気自動車など環境関連と呼ばれる銘柄の一部で株価が急騰する銘柄が散見される。この背景には、日、米、欧、中などの政府が環境を意識した政策を次々と打ち出していることがある。

以前から、「環境」という相場テーマは世界中の投資家たちが意識するところではあった。ここ数年、ESG(環境、社会、ガバナンス)投資が全盛となっており、企業経営者たちは会社に資金を呼び込むため、それを意識した施策を打ち出さざるを得ないという事情もある。ただ、その施策は投資信託を始めとしたファンドに組み入れられる理由にこそなっているものの、個人投資家の買いが集中する理由までには至っていないのが実情だ。

しかし、今後は「環境」が本格的なテーマとして株価を大きく押し上げる相場が到来しそうだ。それも、息の長い相場になりそうである。一時的なバブル相場を形成する可能性すらあるだろう。その理由となる3つのポイントについて、以下に述べていきたい。