コロナ禍をはねのけ、連日の上昇となっている株式相場。日経平均株価は、11月に入って連日のようにバブル後の最高値を更新している。その裏で、青天井とも呼べる好調さが続いているのがIPO(株式の新規公開)市場だ。2020年のIPOは、コロナショックの影響で4月7日から6月23日までの2カ月半にわたって0件となるなど異常な年だったが、それ以降は非常に強い流れが続いている。はたして、この好調なIPO相場はいつまで続くのだろうか。

初値上昇率1090%の銘柄も!IPOの青天井相場はいつまで続く?
(画像=moomsabuy/Shutterstock.com)

日経平均株価の“不気味な”上昇

11月10日現在、日経平均株価は不気味なほど好調だ。通常、米国の大統領選挙という世界最大のイベントの結果が出るまでは、投資家は大きな投資行動に打って出ないとされる。相場解説欄でよく使われる「様子見」というやつだ。

たとえば、トランプ大統領が大逆転で大統領の席を射止めた2016年11月3日。多くのエコノミストやアナリストたちは、ドナルド・トランプが大統領になれば世界は混乱に陥り、株価が急落すると予想していた。そのため、大統領選直前になってトランプ優勢の報道が流れると日経平均は下落。しかし、その後は大方の予想に反して株式相場は急反発に転じた。もっとも、11月3日以前の出来高や売買代金は低調で、やはり投資家は様子見ムードとなっていたと言える。

さらに遡ること4年、2012年の大統領選挙では、日本の株式相場の低空飛行が続いていたこともあって、大統領選前後でも株価は反応薄の状態となっていた。大統領選後の日経平均は9000円台から8600円台に落ち込んだが、ここが「アベノミクス相場」を向かえる最後の調整となった。2020年に話を戻すと、日経平均株価は大統領選挙が行われる11月3日(日本時間では4日)より前、2日から、まるで大統領選の結果を待つのがガマンできないかのように上昇を開始している。これが、冒頭の「不気味なほど」という表現につながったわけだ。

すでに米国の次の大統領はジョー・バイデン候補に決定し、株式市場は投資家が最も嫌がる「不確実性」から解放された。まだ現職のトランプ大統領は諦めていないようだが、一説にはイバンカ夫人や娘婿のクシュナー上級顧問がトランプ大統領に負けを認めるように説得し、それによってトランプ大統領がしょんぼりしていたなどと言われている。いずれにしても、金融市場の目線はバイデン新大統領に向かっているのは間違いない。

株価が実体経済と乖離するのは当たり前

SNSやネット掲示板などを除くと、現在の株式相場が「実体経済と乖離している」といった書き込みをよく見かけるが、そもそも株価は足元の経済や企業業績を反映するものではない。株価は半年あるいは1年程度先を見越して動くものであり、実体経済(それもGDPであれば1カ月から数カ月以上前)を反映して動くものではないのだ。

また、現在の株式相場には、実体経済との乖離をさらに加速させる「世界的な金融緩和」と「日銀によるETF(上場投資信託)買い」という応援団の存在がある。ここに、「米国大統領選の通過」「バイデン新大統領による追加の経済対策への期待」「ファイザー製薬による新型コロナウイルスのワクチン開発の進展」が加わり、相場を押し上げているわけだ。

その一方で、新興企業の株価の指標となる東証マザーズ指数は、10月14日以降、調整気味に推移している。投資家たちはある程度この先の相場下落のリスクを意識しつつ、全体相場の上昇に乗り遅れないように日経平均先物や大型株を買っているということだろう。

日本市場に大きな影響力を持つと言われる外国人投資家は、2018年、2019年と続けて日本株を売り越しており、今年も10月の第4週までで5兆4000億円近い売り越しとなっている。ちなみに、日銀は2020年の年初から11月9日までに合計6兆7429億円(日銀ホームページより抜粋)のETFを購入。日銀は外国人投資家の売りを吸収して余りあるほど日本株を購入しているわけだ。

年末の新規上場銘柄は例年に比べてかなり少ない

さて、ここからは本題のIPO市場について述べていきたい。