このたび、不動産流通システム(REDS)のイメージキャラクターにお笑いコンビ「パックンマックン」メンバーでパックンの愛称で知られるパトリック・ハーランさんを起用させていただきました。REDSウェブサイト各所にパックンが登場していますし、今後、ネット媒体にCM動画を流す予定です。

2020年12月18日に撮影が都内スタジオで行われ、同時に、パックンとREDS代表の深谷十三が記念対談を行いました。日米の不動産事情の比較から日本の不動産取引の問題点や優れているところについて語り合っています。パックンはもともと金融や投資、不動産の世界に精通しているのですが、今回、深谷との対談で改めて日本の不動産についての知識が豊富で、不動産を通じて日本の将来について考えていただけていることがわかりました。

対談の様子を5回にわたってお届けします。

目次

  1. 豪邸暮らしのパックン子供時代
  2. 「ローン」という言葉は子供の頃から知っていた
  3. 「愛着を持って住んでくれる人に売りたい」というパックンママ
  4. アメリカではメンテナンスで建物価値がアップする

豪邸暮らしのパックン子供時代

不動産流通システム
(画像=パックン(右)とREDS代表 深谷(REDSより転載))

深谷:今日は、改めましてよろしくお願いいたします。今日のこの日をずっと待っていたんですよ。

パックン:ありがとうございます。

深谷:パックンは不動産の世界にもご興味をお持ちで、詳しいそうですね。不動産とのかかわりを通じていろいろとお考えをうかがえればと思います。まず、昔アメリカで住んでいた住宅について教えてもらえますか。

パックン:初対面でいきなりディープな話になりますが、すみません。当時、父は空軍の中佐ぐらいの司令官でした。仕事柄、転勤が多くて、生まれたのはモンタナ州、その後はアラバマ州やイリノイ州を経由してコロラド州に赴き、僕はそこで育ちました。

その家は一軒家で、日本でいう大豪邸ですね。220㎡くらいで、東京ではなかなか建てられないような大きな家でしたね。エリア的には「ちょうどいい田舎」という言葉がぴったりなイメージです。

深谷:東京では新築の戸建てで100㎡が標準的ですから、とても大きいことが分かります。

パックン:都内の中流階級ではなかなか住めないような家に暮らしていました。400坪の敷地があって、裏庭はネットを張って普通にバレーボールのコートが一面できるぐらいの広さでした。リンゴの木が植えられていて、ブランコが置いてあって。前庭は友達と野球やアメフトとかできるくらいでしたね。

深谷:東京では考えられない暮らしですね。

「ローン」という言葉は子供の頃から知っていた

パックン:母は僕が7、8歳のときに離婚しました。家を借りて住むという選択肢もあったのですが、「何があってもこの家を手放さない」と言うんです。「家を借りて住むより安いから、この家に住み続けたい」と。「ほかの支出の何を削っても、この家のローンは確実に返すよ」という話を7、8歳のときから聞かされていました。

深谷:「家のローン」という語彙(ごい)は7、8歳の子供にはなかなかないですよね。ちなみに金額はどれくらいですか?

パックン:毎月の支払いは250ドル、2万5,000円ぐらいでした。

深谷:400坪の敷地で、220㎡の建物の住宅ローンが35年でその価格ですか。さすがアメリカですね。

パックン:買ったのは1976年で、当時は築10年くらいでしたから、今はもう築55年くらいですね。今3,000万円ぐらいで売りに出しています。

深谷:東京の住宅事情から考えて、3,000万円ですと一戸建てはまず無理ですよね。マンションでも築30年ぐらいで50㎡、駅まで徒歩はちょっとキツいくらいですね。それはうらやましいですね。

「愛着を持って住んでくれる人に売りたい」というパックンママ

パックン:母には「僕が家を買いますよ」と申し出たんですが、売ってくれないんです。なぜかというと、母はその家が大好きなので、「家に愛着を持って、大事に住んでくれる家族に売りたい。あなたに売っても住まないでしょう」と言います。

僕がその家に住まないのは確かにそのとおりで、家賃収入を得ることを考えていました。僕は大家さんになっても大事にするつもりでしたが、東京にいながら管理するのは現実的には難しい。ですから、母がすごく大事にここまで育てた家を、同じように大事にしてくれる家族に引き渡したいという意見も分からなくはないです。

深谷:日本では1970年以前に建てられた家は20~30年以上は使うことってあまりなくて、壊して建て直すのがふつうです。当時のままで55年間も立派に残っているのはすごいことですよね。

パックン:リフォームに増築もしますので、ぜんぶ丈夫です。

深谷:日本は建て直しすぎかもしれませんね。最近の新築戸建ては性能がとてもいいので、10年おきにちゃんとリフォームして、屋根を張り替えれば、100年はもつはずなんです。あまりメンテナンスをしない日本人と違って、アメリカではお父さんが日曜日に屋根にペンキ塗ってみたり壁紙を張り替えてみたりとかする姿をテレビなどでよく見かけますよね。日本のお父さんは仕事に疲れちゃって週末はもう寝てばかりなんですかね。

パックン:僕も疲れたお父さんの1人として、日本人の仕事のスタイルを理解しているので、そうなるのも理解はできますけどね。

アメリカではメンテナンスで建物価値がアップする

深谷:でもなぜこれほど違うのでしょうか。日本では上物(建物)の価値がどんどん下がっていってしまうので、お金をかけて直しても仕方ないということがあるかもしれません。日本の住宅の場合、築年数が15年ぐらいすると建物の価値がゼロになるわけです。

土地は腐らないので価値は保たれます。しかし、建物については15~20年もすると銀行が価値を見てくれないので、この建物分のローンの借り入れができないんですよ。やっぱりアメリカでは、建物もしっかりとメンテナンスしていれば銀行もその価値を認めてくれるわけでしょうね。

パックン:そのとおりです。上物の価値が上がっていくんです。僕は祖母の家を持っているんですよ。木造平屋で土地が1200坪です。祖母の家にもすごく思い入れがあり、ほしくて買ったんですけど、古いところは壊れます。

でも壊れても直し、増築して、屋根も丈夫なものを張り直せば価値が上がる。ほかにもジャグジーをつけたり、ベランダにサンデッキを設置したりするだけで価値が上がるんですよ。

上物は結局、「投資」なんですよね。日本の場合は「税金対策」としか考えていない。もったいないです!

【プロフィール】

Patrick Harlan(パトリック・ハーラン)
タレント。1970年生まれ、米国コロラド州出身。1993年にハーバード大学比較宗教学部卒業後に来日。97年、お笑いコンビ「パックンマックン」を結成。「爆笑オンエアバトル」(NHK総合)でブレイク。2003年にラスベガス、07年はハリウッドで英語漫才を披露。「英語でしゃべらナイト」(NHK総合)をはじめ、「ニュースモーニングサテライト」(テレビ東京)、「報道1930」(BS-TBS)など、多くのテレビ・ラジオ番組に出演。12年からは東工大非常勤講師を務める。著書に「パックンの『伝え方・話し方』の教科書 世界に通じる子を育てる」(2017年、大和書房)、「大統領の演説」(2016年、角川書店)、「逆境力」(2021年2月発売予定、SB新書)など多数。
深谷十三(ふかや・じゅうぞう)
不動産流通システム(REDS)代表取締役。1964年生まれ。家電店の営業マンから1988年に不動産業界に転ずる。1994年に株式会社第一住創を設立。21世紀に相応しい不動産仲介モデルを目指して2008年に不動産流通システム(REDS)を設立。REDSでは、インターネットやスマートフォンでの集客に特化しながら、業務の無駄を徹底して排し、不動産業界では珍しい在宅勤務制度を導入するなど革新的な経営を進める。「囲い込み」という不動産仲介の悪しき商慣習の根絶を訴え、仲介手数料を割引から無料にするなど、不動産業界の慣行にとらわれず、お客様の実になるサービスを追求する経営を行う。