マンション経営のことを調べていると、必ず出てくるのが「利回り」です。マンション経営の利益に関した数字で大切だということはわかっていても、ハッキリと内容を理解している人は少ないのではないでしょうか。

「マンション経営 利回り」マンション経営の利回りを決める8大要素と良い利回り経営の3大条件
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「マンション経営の利回りってなんだろう」
「チラシに出ている数字は、信用していいのだろうか」
「どのくらいの数値なら、マンション経営に乗り出していいのかな」

など、数値だけを見ても、よくわからないことも多いと思います。そこで今回は、マンション経営と利回りについて

1.マンション経営の利回りとは
2.マンション経営の利回りを決める8大要素
3.利回りの良いマンション経営が出来る3大条件

をまとめました。最後までお読みいただければ、マンション経営の利回りについて総合的に理解が進み、どのような物件を選んでいけばよいのかもわかります。

1.マンション経営の利回りとは

「マンション経営 利回り」マンション経営の利回りを決める8大要素と良い利回り経営の3大条件
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本章では、マンション経営(賃貸経営)における利回りに関してまとめてあります。マンション経営のことを勉強していくと、必ず出てくる用語に「利回り」があります。

利回りとは、投資全般で使われる言葉で、投資した金額に対して、年間で何%の収益が得られるかを表す数値です。さまざまな投資で使われる利回り計算方法は以下の通りです。

基本の利回り計算方法   利回り%=年間収入÷取得価格×100

例えば、100万円を何かに投資した結果、年間20万円の収入を得ていたら、20%の利回りになります。

例) 利回り20%= 年間収入(20万円)÷ 取得価格(100万円)× 100

このような利回りの値は投資判断の目安になり、利回りが悪ければ投資先としては適しておらず、利回りが良ければ投資先として適しているという判断材料になります。マンション経営も投資のひとつですので、利回りが投資先を判断する1つの重要な要素になりますが、不動産での利回りは

  • 表面利回り
  • 実質利回り

と、大きく2種類あり、基本的に計算方法は同じですが、中身に少し違いがあります。

1-1.表面利回り

表面利回りの計算方法は以下の通りです。

表面利回りの計算方法 : 利回り%= 年間の合計家賃収入 ÷ 購入価格 × 100

例)月額家賃収入10万円のマンション 購入価格3,000万円 の場合

  • 年間家賃収入=10万円×12カ月=120万円

表面利回り例   利回り4%= 年間の合計家賃収入120万円 ÷ 購入価格3,000万円 × 100

表面利回りは、物件を買った時にかかる諸経費や、マンションの経営や管理にかかってくる税金やさまざまなコストなどを一切含めない計算方法です。そのため、表面利回りの値は、実際に手元に入ってくる収入を正確に表しているものではありません。

正確に利益を表していない数値なのになぜ頻繁に使われているかというと、細かい正確な数字が不要で、計算がとてもカンタンだからです。つまり、表面利回りとは「細かいことは省いて、この物件はざっとこんな感じ」という判断をしたいとき使う値です。不動産資料や広告などで書かれている利回りのほとんどは、この表面利回りを表しています。

1-2.実質利回り

実質利回りは、表面利回りと違い、経費や税金などのコストが反映されており、より現実的な利回りの数字です。実質利回りは必ず、表面利回りよりも低くなります。計算式は以下の通りです。

実質利回りの計算方法 : 実質利回り%=(年間の家賃収入-運営コスト)÷(購入価格)×100

ここで出てくる「運営コスト」とは、マンション経営に必要な管理費や税金、保険なども含むコストのことです。実際にかかる一般的なコストの内訳を表にしました。

運営にかかるコスト購入時にかかるコスト
管理費・賃貸管理委託費不動産仲介手数料(総額の3~5%程度)
固定資産税・都市計画税印紙税(収入印紙代)
エレベーター管理費司法書士報酬
共用部分電気・清掃などの代金・修繕コスト不動産取得税
火災保険・地震保険登録免許税

このように、年間の家賃収入から必要なコストを差し引いたもので計算したうえで、どのくらいの利益が出るかを計算したものが、実質利回りの値になります。

1-3.「理想の利回り」はあるのか

表面利回り、実質利回りとも、その建物にとっての理想的な数値と言っても良いでしょう。

しかし、実際には空室が出る、想定以上の修繕が必要になるなど、理想通りにはならないケースも想定しておく必要がありますので、例え実質利回りといえども、数字を鵜呑みにするのは危険です。

利回りには経営年度・エリア・部屋タイプ・設備・築年以外にも、その年に起きる経済トレンや自然災害など、多くの要素と条件がクロスしてきますので、全てのマンション経営をひとくくりにして「この利回り数値が理想である!」とまとめるのは、マンション経営上、あまり意味のないことです。

ただし、広く浅く物件を探している状態での「理想の利回り」は、金融機関や行政などが行う調査結果によってある程度の状況判断が出来ます。今回は、毎年行われている不動産投資家調査を一つの指標にして見てみましょう。

この調査結果よれば、2020年度の東京都と主な政令指定都市の「ワンルームタイプの賃貸住宅1棟」の期待利回りは以下の表のとおりです。期待利回りとは「購入後に期待される家賃年収÷不動産価格×100」で求められる数値ですので、上記の満室経営を想定した時の、表面利回りとほぼ同等の数字ということになります。

東京都城南地区城東地区
2020年4月4.2%4.5%
主な政令指定都市の期待利回り
札幌仙台横浜名古屋京都大阪神戸広島福岡
2020年5.5%5.5%4.9%5.0%5.2%4.8%5.2%5.7%5.0

【参照:日本不動産研究所 第43回不動産投資家調査

都心より政令指定都市の利回りが良いのは、物件価格に差があるためです。全く同じ竣工・仕様のワンルーム1棟物件でも、東京都渋谷区にある物件と政令指定都市の物件では、販売価格に差が出てくるため、このような開きが出ます。

上記の期待利回り数値を元に考えると、理想的な表面利回りは4~5%前後ということになりますが、期待利回りが表面利回りとほぼ同等であることを考えれば、実質的な利回りとしては3~3.5%程度もあれば、問題がないと言えるでしょう。

上記の期待利回り相場の範囲を大きくかけ離れない数値の範囲で、できるだけ高い利回りであれば理想の利回りだと言えます。

1-4.表面利回り・実質利回りの具体的な使い方

マンション経営のために物件探しをするときに、物件本来の価値を見るためには、実質利回りを見る必要がありますが、広く浅く探している段階では、表面利回りも役に立ちます。

表面利回りは計算もカンタンなので、物件の比較もしやすく、自分でリストにして取捨選択をする際の目安として使えます。

少し物件を絞り込んできたら、実質利回りを確認します。実質利回りは、そのままマンション経営の結果にもつながりますので、担当者に細かい点まで確認し精査しましょう。

2.マンション経営の利回りを決める8大要素

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本章では、マンション経営の利回りに影響する8つの要素をまとめました。以下の要素が複雑に絡み合って、その年ごと、時代のトレンドごとに利回りは少しずつ変わっていきます。

2-1.要素1:エリア

エリアとは、どこの都道府県を選ぶという意味ではなく、購入予定の物件がその周辺エリアの需要に合った物件であるかどうかを見ます。

例えば、大学や専門学校・ビル街などが集中するエリアであれば、学生や独身の社会人が集まる可能性が高いため、ワンルーム・1DKなど単身者用の物件であれば需要があると想定できます。

物件があるエリアによって入居者が求める部屋が違うので、その部屋や建物の需要自体があるかどうかをチェックしましょう。

また、そのエリアに将来、大規模な開発などが控えている場合は、エリアを利用する人のセグメントが大きく変わる可能性がありますので、そのセグメントに合わせた建物を購入出来れば、長期スパンで見たときには安定した経営が可能です。開発計画などは、希望エリアの自治体や役所で確認が出来ます。

2-2.要素2:物件の使いみち

住居のみに限定するのか、オフィスやテナントなども受け入れるかという、物件の用途(使いみち)を総合的に考えます。2-1のエリアとも大きく関係してきますが、周辺環境や将来性も含めて物件用途を選ぶと、マンション経営の利回りはある程度コントロールできます。

区分所有のマンション経営をお考えの方でオフィス需要も検討している場合は、その建物全体にオフィス利用が許可されているかも確認します。ただし、オフィスやテナント利用をする場合は、住居のみの利用と比べて、室内と建物全体の傷みが大きくなる傾向がありますので、修繕費が多くかかる可能性もあります。建物全体の管理状態にもよりますので、総合的に見て判断をしてください。

2-3.要素3:購入タイミング

利回りが良くなる購入タイミングは2つあります。

ひとつ目は、物件価格が下がっている時です。マンション経営は物件がお得に買えるほど利回りが良くなります。過去の例であれば、バブル崩壊後などは優良なマンションが塩漬け同然となり、二束三文で投げ売りされることもありました。

このようなタイミングで安く手に入った高利回り物件は、将来は、買った時より高値で売却することが出来るため、はじめから好条件の出口戦略が備わったマンション経営となります。

ふたつ目は、ローン金利が低い時です。毎月支払っていく利息が少なければ、その分、返済額を増やして返済計画を短縮させることもできます。

2-4.要素4:築年の新しさ

築年の新しいマンションは、修繕トラブルが発生する可能性が低いため、運営費が低く抑えられ、実質利回りが良くなる傾向があります。また、日本人はよりキレイで新しい物件を好む傾向がありますので、入居率を高くするのであれば、新築か築年のごく浅い物件から選択した方が良いでしょう。

マンションは築10年~15年程度経過すると、大規模修繕が必要な時期に差し掛かります。新築物件であるほうが、修繕費用の心配をしなくて済みます。

新築マンション購入にかかった様々なコストと減価償却費は、必要経費として確定申告をし、赤字で損益通算をすれば節税になります。特に、高所得者の方々にとってはマンション経営は節税対策として使えます。
【参考:国税庁 賃貸の用に供するマンションの修繕積立金の取扱い
【参照:国税庁 損益通算

2-5.要素5:マンションの構造

マンションの構造で利回りが変わります。大型マンションと小中規模マンションを比較した場合、大型物件はコストがかかり、実質利回りが下がる傾向があります。大型物件は収容人数も施設の規模も大きくなり、

  • エレベーター管理費
  • セキュリティ代
  • 共用部分の電気代
  • 清掃代

などの経費負担が大きくなるためです。また、ゴージャスなエントランスがある建物は、住居として利用できる部分が少ない割に固定資産税評価額が高くなる場合があります。そのような物件は、税金も高くなるため、実質利回りが悪くなってしまいます。

2-6.要素6:所有方法

権利関係が元で、利回りに影響が出る場合があります。区分所有や共有地、借地の上にあるマンション経営の場合、大きな修繕がある時に権利問題で揉めるケースがあります。

このような場合、本来なら管理組合主導でスムーズに行えるはずの大規模修繕などが先延ばしになる、修繕積立金の回収がアンバランスであるなどの理由で、経費が重くのしかかる可能性があるので一時的に利回りが悪くなります。

なるべく権利関係がスッキリした物件から選びましょう。

2-7.要素7:充実した設備

建物と部屋の設備が充実していると入居率が上がり、高い利回りをキープできます。良い設備とは、例えば、

  • オートロック
  • 宅配ボックス
  • お風呂の追い炊き機能
  • インターネット完備
  • エアコン完備

など、入居する人の立場で考えたときにあると嬉しい機能です。他と比較したときに、「オートロックがついているからこっちにしよう」など、人は住み心地が良さそうな部屋を選ぶ傾向があります。

区分所有で建物全体の設備を変更することが出来なくても、部屋に設置してあげられる設備を追加すれば、入居者に好かれる部屋となるため、入居率と定着率が良くなり、長期の利回りが良くなります。

3.利回りの良いマンション経営が出来る3大条件

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本章では、利回りの良いマンション経営ができる3大条件をまとめています。

条件1:満室経営か空室の少ない建物であること

区分所有でも一棟でも、満室経営に近い、空室がなるべく少ない建物・物件から選びます。

特に、区分所有マンションで気になる物件に出会った時、表面利回りが高くても、その建物全体に入居者が少ない場合は、なぜ入居者が少ないのかを良く調べてみましょう。

気になっている一室の状態が良くても、建物自体に何かしらの問題がある場合は、空室リスクが高まり、将来的に利回りが悪くなる可能性があります。一棟で購入予定の場合は、選択肢の中から入居率100%に近い物件から順番に選ぶようにします。

条件2:建物の設備が良いこと

建物の設備が充実している物件を選びましょう。時代に合った最新設備が取り入れられている建物は入居率が高く、安定した利回りを維持できます。例えば、

  • 非接触型キー(スマホ・スイカなど)
  • 宅配ボックス設置
  • 録画機能付オートロック
  • スマート家電
  • 監視カメラ
  • バリアフリー
  • アレルギー対応建材
  • 空気清浄機能
  • 浴室乾燥機
  • ウォシュレット便座
  • 追い炊き機能
  • ケーブルテレビ完備
  • Wifi完備

などです。全て採用しなくても、その時代と物件に不可欠なものを採用するだけで、入居者の住み心地が格段に良くなり、長期の入居が期待できるため、利回りが安定します。

これらの設備の中で、建物に付属していなくても、室内に個別に設置できるものは設置したほうが、さらに入居率と定着率が上がります。

条件3:新しい物件であること

1章の利回り計算にて実質利回りに触れましたが、実質利回り計算は、マンション経営でかかった修繕費や管理費などのコストも影響します。

新築や築年数が浅い物件は全体的に問題も少なく、修繕費自体が発生しにくいため、マンション経営スタートから10年くらいまでの期間は、購入当初に予定していた利回りを維持できます。

中古物件の場合、新築や築浅と比較すれば購入費がおさえられるためマンション経営スタートのハードルは下がりますが、建物は10年を超えたあたりから大規模修繕が必要になってくることから場合によっては購入してすぐに多額の修繕費が発生するケースがあり、注意が必要です。

新築物件であれば、購入時のコストはかかりますが、想定した利回りを維持しやすくなります。

◆コラム◆利回りと経営の安定には新築・都心物件が最適

マンション経営をする上で重要な「利回り」ですが、利回りの相場を踏まえたうえで、少しでも利回りの良いものと巡り合えれば、順調なマンション経営をスタートできます。

市場にあふれる不動産データの中から、理想的な利回りに近い物件を探し当てるのは、はじめてのマンション経営をはじめる方にはとても難しいことです。

また、良い物件はすぐに売れてしまうため、時間や資金力以外にも、膨大な知識、判断力や決断力がないと、「これだ!」という優良物件を手に入れることは難しいでしょう。

CENTURY21レイシャスでは、マンション経営の経験者も、これからマンション経営をスタートさせる方でも安心して前に進めるように、万全のサポートをします。CENTURY21レイシャスでは基本的に、本記事3章でまとめている「利回りの良いマンション経営が出来る3大条件」を全て揃えた物件のみしか扱いません。

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【参照:CENTURY21レイシャス

4.まとめ

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いかがでしたでしょうか。マンション経営の利回りについて

  1. マンション経営の利回りとは
  2. マンション経営の利回りを決める8大要素
  3. 利回りの良いマンション経営が出来る3大条件

をまとめました。マンション経営の利回りには2種類あること、利回りが決まる要素は多いものの主要な3つの条件が揃っていれば、マンション経営はうまく行く可能性が高いことをご理解いただけたと思います。

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