【経営者インタビュー】”時代を変える” NEXT経営者 〜知られざるオーナー社長の経営ノウハウ〜
(画像提供=株式会社インゲージ)

電話、メール、LINE、Twitter、チャット……企業と顧客との接点となるツールが増殖し、問い合わせ履歴を適切に管理することがますます難しくなっている。そのような顧客対応の課題を解決するツールが、株式会社インゲージの「Re:lation(リレーション)」だ。「ITをカンタンにすることで世の中に貢献したい」と語る代表取締役 和田 哲也 氏に、サービスの特徴や開発にかける思いを伺った。

和田哲也(株式会社インゲージ代表取締役)
和田哲也(株式会社インゲージ代表取締役)
コナミ(株)・ノーリツ鋼機(株)の大手二社で計21年間勤務。その間、ゲーム開発プロジェクト
リーダーや開発部長、アメリカ子会社の取締役を務める。アメリカでは約10年間勤務。駐在最初の18ヶ月は顧客との対話のために毎週どこかの州に出張を重ねる。帰国後(株)ラクスにて日本発アメリカ向けB2Bクラウドサービスを成功させた後、2014年に(株)インゲージを起業。

サイレントカスタマーを発生させないお手伝いを

――「Re:lation」はどんなツールでしょうか?

和田 ひと言でいえば、「一人ひとりのお客様と向き合えるコミュニケーションツール」です。

企業やショップの窓口に問い合わせをした時に、「対応が遅い」「なかなか問題が解決しない」などと不快な思いをしたことのある人は多いと思います。不快な経験をした顧客の9割以上は、クレームも何も言わずに、その会社の商品・サービスの利用をやめます。そのような顧客を「サイレントカスタマー」といいます。

「その会社に自分が理解されていない」と感じたことが、顧客が離れていく原因です。したがって企業がサイレントカスタマーの発生を防止し、顧客をつなぎとめるためには、ひとりひとりの顧客との丁寧なコミュニケーションが重要なのです。

昔はそれが当たり前にできていましたが、ネット時代ではなかなか難しくなっています。そこで、ネット時代に合った迅速・的確な問い合わせ対応を行うためのツールが「Re:lation」です。

――具体的にはどのような特徴がありますか?

和田 たくさんの機能があるのですが、大きな特徴としては、マルチチャネル対応であること。メールはもちろんTwitter、LINE公式アカウント、チャット、電話、ウェブサイトに設置したチャットや問い合わせメールなど、多様なチャネルからの問い合わせを一元管理できます。

また、複数のメンバーで問い合わせメッセージを共有でき、案件ごとにわかりやすく管理できます。問い合わせの管理がスムーズになり対応の遅れや漏れ、二重返信などのミスを防げます。新人教育や対応状況の分析にも有効で、対応業務の品質向上が図れます。

自社開発の自然言語処理AIエンジンを使ったAIレコメンド機能も備えています。複数のテンプレートの中からAIが最適なテンプレートを選んで推薦してくれるので、誰でもスピーディーに回答できます。

既存のCRMツールやSFA(営業支援)ツール、コールセンター向けCTIシステム、EC向けツール、チャットツールなど、外部ツールとの連携にも柔軟に対応しています。

【経営者インタビュー】”時代を変える” NEXT経営者 〜知られざるオーナー社長の経営ノウハウ〜
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顧客情報がどんどん蓄積されるコミュニケーション型のCRM

――「Re:lation」の導入実績は?

和田 リリースから6年で3,300社を超える企業・団体に導入していただいています。導入社数はこの1年で急激に伸びました。ECサイトが約半数を占めますが、メーカーや営業会社、金融・保険会社、弁護士・税理士事務所、大学・教育機関など幅広い業種で使われています。

たとえば某美容系ECサイトのコールセンターではRe:lationの導入によって、どの担当者が顧客に対応する時も、過去の履歴を確認しながら、きめ細やかな問い合わせができるようになりました。と同時に、スタッフ1人あたりの作業時間を月4.3時間削減できたそうです。

――CRM(顧客関係管理)ツールというジャンルのなかで「Re:lation」が選ばれる理由は?

和田 やはりメールだけでなく電話やSNSなどに幅広く対応し、ワンストップで顧客対応をサポートできる点です。顧客と普段のコミュニケーションを続けていくうちに、どんどん顧客情報が蓄積されていき、それを分析・活用もできます。「Re:lation」は、コミュニケーション型のCRMツールといえるのです。

ビジネスがスケールし顧客数が増えれば増えるほど、問い合わせ対応は指数関数的に難しくなっていきます。対応ミスを防いで対応効率・品質を向上させるために、顧客対応の専用ツールとしてRe:lationが求められているのだと思います。有償プランは月額12,800円からと、比較的リーズナブルな点もご満足いただけている理由かと思います。

企業におけるコミュニケーションを再発明したい

――和田社長の経歴や会社設立の経緯をかんたんにご説明ください。

和田 もともとはゲーム会社のコナミでゲーム開発に携わっていました。その当時に自分が感じていたミッションは「人々が熱狂するゲームを創り上げること」でした。その一方で、日々の業務で使う他社製のシステムが使いづらく見た目もイケてないものだったことに違和感を感じていました。その経験からものづくりの現場を支援する、使っていて楽しいITシステムをいつか自分の手で作りたいと思っていました。

またアメリカで働いていた時に、Amazonの急速な成長を目の当たりにしました。でも実際に商品を買ってみると、なかなか届かない。問い合わせしたのに対応も遅い。ビジネスの成長が顧客満足度を下げてしまう。この課題を解決するにはと感じたことがRe:lation開発の原点となりました。

日本に帰国後転職した企業での経験がある意味きっかけになり、2014年に当社を設立。その当時すでにメールは、コミュニケーション手段として使いにくいものになっていました。企業におけるコミュニケーションを再発明したいという思いでRe:lationを開発しました。

――企業のコミュニケーションツールは他社からもさまざまなものが登場していますが、他社にはない貴社の強みはどこにあるのでしょうか?

和田 物事の根っこにフォーカスしてものづくりをしていることです。お客様の声を聞くことは大事ですが、そこで得られる意見は表層的なものに過ぎません。根本的に課題を解決するには、顧客も気づいていない、根本的な課題から見つめ直すことが大事。開発に当たっては、そのような姿勢を常に心がけています。

私たちインゲージのモットーは「Make IT Easy」。ITをもっとカンタンにして世の中に貢献したいという思いを込めています。ITをカンタンにするには、根っこの部分にフォーカスしないといけないんです。

また、どうせITを仕事に使うなら、操作していて楽しいツールの方がいいですよね。どうすれば楽しいと感じるかは人それぞれで、正解はありません。だからこそ、さまざまな状況におけるお客様の使い方を探り、不満点や改善点を拾い上げ、そこで得た知見を開発にフィードバックして、継続的にブラッシュアップし続けています。そこをしっかりと愚直にやれることが当社の強みといえます。

ITで人と人とをつなげていきたい

――今後の方針をお聞かせください。

和田 一つの通過点として2年後のIPOを考えています。私たちが扱っているツールはビジネスツールですから、信頼性の高い、きちんとしたものでなくてはなりません。だからこそ、情報資産を保護する仕組みとしては、国内規格のプライバシーマークではなく、情報セキュリティマネジメントの国際規格であるISO27001(ISMS)の認証を取得しています。企業基盤を充実させ、よりきちんとした会社だと感じていただけるようになるためにも、上場企業の仲間入りを果たす必要があると考えています。

インゲージ(ingage)という社名は、ITでengagement(つながり、関わり)を作りたいという思いを込めて付けています。今後もITを使って人と人とをつなげ、人々の暮らしを本当によりよくしたい。そのためにRe:lationだけでなく、もっといろんなサービスを開発していきます。

会社名:株式会社インゲージ (INGAGE Inc.)
代表取締役:和田 哲也
主な事業内容:クラウドサービスの開発・提供
       ひとりひとりのお客様と向き合えるコミュニケーション
       プラットホーム「Re:lation(リレーション)」の開発と提供
設立:2014年1月11日
資本金:194,800,000円 (資本準備金を含む)
取得認証:ISO27001(ISMS) IS 639494 (ISO/IEC 27001:2013)
     経済産業省 情報処理支援機関 (第三号-19020019)
受賞:JNB第13回ニッポン新事業創出大賞アントレプレナー部門優秀賞受賞
   グッドデザイン賞
   総務省 テレワーク先駆者百選
   ASPIC IoT・AI・クラウドアワード「テレワーク特別賞」
   参加団体:一般社団法人 日本テレワーク協会
   一般社団法人 イーコマース事業協会
   一般社団法人 言語処理学会

(提供:THE OWNER