再生可能エネルギー銘柄が追い風を受けています。個人投資家のSDGsやESG投資への関心が高まっていたところに、菅政権の「2050年温室ガス実質ゼロ」発表で注目される銘柄が多数登場しました。さらに環境重視を打ち出すバイデン政権の誕生で、勢いを増している感があります。本記事では、期待値が高い再生可能エネルギー銘柄を6つ紹介します。

SDGs銘柄1. レノバ <9519>

【SDGs投資】再生可能エネルギー銘柄(株式)6選 期待値が高いのはどの企業?
(画像=freebird7977/stock.adobe.com)

レノバ <9519> は、SDGs・再生可能エネルギー関連で注目度の高い銘柄の筆頭でしょう。2020年10月2日終値時点は1,122円だった株価は同年10~12月で急騰していき、2021年1月4日の終値は4,280円となり話題となりました。レノバの事業の特徴は「太陽光」「バイオマス」「風力」など多岐にわたる再生可能エネルギー分野の発電所を手がけていることです。

そのなかでも同社では、今後の成長エンジンを「洋上風力発電」に設定しています。(以下参照)

出典:レノバ「2021年3月期  第2四半期決算資料」
出典:レノバ「2021年3月期 第2四半期決算資料」

今後の好材料としては、苅田バイオマス(75.0MW)、徳島津田バイオマス(74.8MW)、軽米尊坊ソーラー(40.8MW)の3ヵ所が2021年以降に相次いで稼働することです。またレノバが手がける洋上風力発電は、政府が打ち出す「グリーン成長戦略」の柱であることも追い風となっています。一方で「割高なPERをどう考えるか」がこの銘柄に投資するか否かの分かれ目でしょう。

SDGs銘柄2. ウエストホールディングス <1407>

ウエストホールディングス <1407> もレノバと並んでSDGs・再生可能エネルギー関連の代表的な銘柄です。2020年1月6日終値で1,810円だった株価は2020年11月17日終値で4,060円と急伸しています。ウエストホールディングスの事業の特徴は、再生可能エネルギーのなかでも「産業用太陽光発電の請負事業」を展開している点です。

そのほか、自社で所有する太陽発電所の売電事業や、保守管理業務など複数のフロー&ストック事業を展開することで安定した財務を実現しているのが同社の強みです。2020年8月期の営業益は71億8,000万円を達成(前期比22%増)、直近3期と先4期の売上予測で見ても以下のように力強い伸びを示しています。(※)

出典:ウエストホールディングス「2020年8月期決算内容」
出典:ウエストホールディングス「2020年8月期決算内容」
※2021年8月期以降の売上は予測値です。

SDGs銘柄3. エヌ・ピー・シー <6255>

バイデン政権誕生の期待高がほぼ確実に変わった2020年11~12月半ばにかけて、一気に注目銘柄となったのが太陽光電池(パネル)製造装置のエヌ・ピー・シー <6255> です。同社の株価は2020年4~10月の間は400円前後を推移していました。あまり変動がありませんでしたが同年11月の1ヵ月でほぼ倍の株価をつけそれ以降注目される銘柄となっています。

バイデン政権誕生の期待で、エヌ・ピー・シーの株価が急上昇した理由は、同社が米国の太陽光関連企業のファーストソーラー社を取引先に持っていることが大きいでしょう。バイデン政権が誕生すれば「ファーストソーラー社の業績に好影響があるのでは?」という期待から株価に追い風が吹いたわけです。

ただし気になるのは、同社が「2021年8月期」の業績を前年比大幅減と予測していることです。実際に2002年8月期の第1四半期で見ても経常利益が前期比62.8%減という結果でした。実際に米国での業績が拡大しそれが成長につながるかを見極める必要はありそうです。

SDGs銘柄4. 岩谷産業 <8088>

岩谷産業 <8088> は、2021年1月時点で時価総額約4,000億超となる産業・家庭用ガスの国内大手として知られています。次の事業の柱として「水素関連ビジネス」を積極的に開拓。具体的には、水素ステーションの開設・運営を行っていて、2020年末の段階で国内50ヵ所のステーション開発を進めるとともに米国で20ヵ所のステーション開設を予定しています。

出典:岩谷産業「2021年3月期 中間決算説明会」
出典:岩谷産業「2021年3月期 中間決算説明会」

また、水素燃料電池船の開発も検討していて、2025年の大阪万博で運行を目指していることもトピックです。これが実現すれば水素燃料電池船分野のシェア拡大につながることが期待できるでしょう。岩谷産業の好材料としては、政府が2020年末にまとめた「グリーン成長戦略」で水素の消費量を2050年段階で2,000トン程度まで拡大することを打ち出していることが挙げられます。

これは国内の水素ビジネスをリードしている同社にとって、追い風になることは間違いありません。一方注意点としては、あくまでも産業・家庭用ガスが岩谷産業の売上・収益の大半を占めていることです。そのため投資を検討するときは、ガス事業の動向を注視する必要があります。 

SDGs銘柄5. ニチコン <6996>

ニチコン <6996> は、1950年創業の電子機器メーカー企業です。最近では、その技術力を活かしてさまざまな分野にも進出。そのうちの一つが「エネルギー・環境分野」です。ニチコンの具体的な製品として、小型リチウムイオン電池やEVに使われるフィルムコンデンサ、EV・PHV用急速充電器、蓄電システム(家庭用・公共用・産業用)などがあります。

これから拡大する再生可能エネルギーの普及に貢献する製品群を扱っていることは、優位な経営環境といえるでしょう。

出典:ニチコン「統合報告書2020」
出典:ニチコン「統合報告書2020」

特に家庭用蓄電システムの累計販売台数では、国内ナンバーワンのポジションです。一般住宅において太陽光発電やEV・PHV充電がさらに普及すれば、売上・利益拡大の材料となります。ニチコンに投資を検討するときのポイントとしては、好材料がそろっているものの2020年3月期は新型コロナウイルスの大きな影響を受け売上高2.6%減、営業利益は53.4%減となっていることです。

2021年3月期も第2四半期まで前期、前々期を下回る営業利益となっています。反転タイミングの見極めが重要となりそうです。

SDGs銘柄6. イーレックス <9517>

イーレックス <9517> は、再生可能エネルギーのなかでもパーム椰子(やし)殻や木質ペレットなどを主原料にする「バイオマス発電」をテーマにする企業です。同社が開発・運営するバイオマス発電所でつくられた電力を、特別高圧・高圧の電力を利用する企業などに向けて提供しています。これまでイーレックスの発電所は、佐伯発電所と土佐発電所が主体でした。

しかし2020年に大船渡と豊前の2つの発電所も運用開始となり利益に貢献しています。2021年に中城発電所(建設中)、2025年は坂出林田発電所が加わる予定で、実現すればトータルで約350MWの出力が見込まれます。

 出典:イーレックス公式サイト「発電事業」
出典:イーレックス公式サイト「発電事業」

今後の成長戦略として、バイオマス発電事業では世界最大級(300MW・新潟県を予定)の大型バイオ発電所の実現に向けて、2021年下期に環境調査を開始する予定です。また海外戦略としては、大型バイオマス発電向けの燃料をロシアやベトナムなどで開発製造する計画も打ち出しています。これらの国内・海外でのプロジェクトが実現するか否かも、イーレックスの長期的な株価に大きな影響を与えそうです。

そのほかのSDGs・再生可能エネルギー銘柄は?

ここでは、代表的なSDGs・再生可能エネルギー銘柄を紹介しました。このほか関連銘柄の一例としては、バイオマス発電のエフオン <9514> 、太陽光発電工事のサニックス <4651> 、太陽光発電による電力小売りのグリムス <3150> などがあります。再生可能エネルギー拡大は、グローバルな長期的な潮流です。その意味では一時的なトレンドで終わる可能性は低く、長期保有を重視する投資家向けの分野といえます。

しかし再生可能エネルギー銘柄のすべてが時価総額を増やしていくわけでありません。当然ながら財務内容や成長戦略を確認したうえでの投資することが大切です。

※本稿はここでご紹介した銘柄の購入を推奨するものではありません。投資は自己責任でお願いいたします。(提供:Renergy Online


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