Tポイントや楽天ポイントなど、国内のポイント発行額は2019年度に2兆円を突破した。ポイントを貯めてみたものの、使い道に困っていたり期限切れになっていたりしていないだろうか。消費ではない新しいポイントの使い道が「ポイント投資」だ。
1.ポイント投資とは?ポイント投資とポイント運用の違い
ポイント投資には「投資型」と「運用型」の2種類がある。この2つの本質は大きく異なるのでそれぞれの特徴と違いをおさえておこう。
ポイント投資とポイント運用の違い
「ポイント投資型」はポイントを現金化して株や投資信託の投資資金にできるサービスだ。手持ちのポイントを現金に換算して証券口座に移すことで、金融商品の代金に充てられる。換算レートはポイントによって異なるが、一般的に1ポイント=1円であるケースが多い。現金で投資を始めるよりハードルが低く、運用で得た利益はリアルな資産となる。
一方「ポイント運用型」は、ポイントを投資信託やETF(上場投資信託)などの値動きに連動させることでポイント残高が増減するサービスだ。対象とする金融商品が値上がりすればポイント残高が増え、値下がりすれば減る。運用中のポイントはいつでも引き出して使うことができる。ポイント運用では現金のやり取りは発生しない。
ポイント投資のメリット
ポイント投資のメリットをあげると以下だ。
・配当や株主優待が受けられる
・手軽に投資経験が積める
・生産的なポイントの使い道になる
ポイント運用がいわば「疑似通貨を使った投資体験」であるのに対し、ポイント投資は「ポイントを原資とした本物の金融投資」と言える。実際に株や投資信託を購入しているので、配当や株主優待も受けられるのが大きなメリットだ。ポイント運用型では配当や優待は受けられない。
ポイント投資は手軽に投資の経験が積めるという点も大きい。初心者にとって実際に金融商品を購入するという行為は思いのほかハードルが高い。投資信託協会が2019年に行った調査によると、NISA口座開設者のうち4人に1人は何も購入していない状態なのだそうだ。ポイントを使うことから投資をスタートすることで、損失への不安をやわらげ、投資経験を積むきっかけとなる。
ポイント投資は貯まったポイントの利用先で困っている人の助け舟にもなる。最近ではコンビニやネットショッピング、交通や宿泊、電子マネーのチャージなどポイントを貯めやすい環境にある。使い道も多数用意されているが、特に欲しいものがない場合はいつの間にか使わないまま期限を過ぎてしまうこともあるだろう。
ポイント投資なら100円から利用可能で、積立にすれば自動的に毎月振り分けられる。無理に消費活動に利用しなくても、資産運用という生産的な使い方もできるのだ。
2.ポイント投資ができるネット証券3選
ポイント投資ができる主なネット証券は以下の3社だ。各社の特徴をまとめた。
使用ポイント | 対象商品 | 特徴 | |
楽天証券 | 楽天ポイント | 国内株式(現物) 投資信託 バイナリーオプション |
NISA・つみたてNISA可能 500円以上の投資で 楽天ポイント付与率アップ |
SBI ネオモバイル証券 |
Tポイント | 国内株式(現物) FX カバードワラント |
単元未満株 手数料月額定額220円 スマホ完結 |
LINE証券 | LINEポイント | 国内株式(現物) ETF |
平日21時まで取引可能 スマホ完結 |
楽天証券……NISAでもポイント投資できる!グループ連携で付与率アップも
楽天証券では楽天ポイントを使って国内現物株式、投資信託に投資できる。投資信託は100円から1円単位、株式は各銘柄の最小買付単位から買える。2020年9月には対象銘柄にバイナリーオプションも追加された。バイナリーオプションとは、通貨ペアの為替レートが一定時間後に目標レートを上回るか下回るかを予測する取引だ。
楽天ポイントは楽天ユーザーであれば比較的ポイントが貯めやすい。楽天が運営サービスである場合はもちろん、あらゆる買い物を楽天カードで支払うことで1%還元 (100円につき1ポイント)が受けられる。さらに、ポイント投資で投資信託を保有している間は楽天市場でのポイント付与率がアップする。
楽天証券では非課税で運用ができるNISA口座でポイント投資ができるのが魅力だ。株式ならNISA口座、投資信託ならNISA口座・つみたてNISA口座で、ポイントで商品を購入できる。現金との組み合わせも可能だ。
SBIネオモバイル証券(旧ライブスター証券)……Tポイントで少額投資可能、株取引手数料は月額220円
SBIネオモバイル証券(旧ライブスター証券)は通称「ネオモバ」と呼ばれるスマートフォン専用の証券サービス会社だ。メジャーな共通ポイントであるTポイントで国内株式やFX(外国為替証拠金取引)に投資できる。さらに「ネオW」と呼ばれるカバードワラントの購入にも使える。
SBIネオモバイル証券(旧ライブスター証券)の場合、国内株式のS株(単元未満株)が買えることが特徴的だ。1株500円以内で買える株もある。定期買付サービスを利用すれば毎月少額ずつポイントで投資が可能だ。
SBIネオモバイル証券(旧ライブスター証券)の手数料は取引ごとではなく定額制だ。月額220円(税込)で、約定代金合計50万円までは株式取引手数料無料だ。約定代金合計50万円超~300万円以下なら1,100円(税込)である。
LINE証券……使い慣れたSNSアプリで金融投資、スピーディで簡単な操作
普段よく使っているLINEで手軽に投資ができれば便利だ。LINE証券はスマートフォンから簡単に口座開設が可能である。分からないことがあればLINEのトークから質問できる。投資対象は国内株式とETFだ。平日21時まで即時注文・即時約定可能と取引時間も長い。
LINEポイントを貯める方法は以下の3つだ。
・電子マネーLINE Payで買い物をする
・LINEショッピングで買い物をする
・「LINEポイントクラブ」で広告をチェックするなどのタスクをクリアしてポイントをもらう
LINE証券は証券口座へポイントを移すのもスマートフォンで簡単にできる。入金したいポイント数を入力し「支払う」をタップすれば完了だ。必要な金額分ポイントが貯まっていなくても現金との併用ができる。
3.ポイント投資における注意点
ポイント投資を行うにあたっては注意したいこともある。原資がポイントとはいえ立派な金融投資なので、証券口座の開設が必要だ。本人確認書類やマイナンバーなどの必要書類を用意しなくてはならない。
利益や損失が出たら確定申告が必要なこともある。また、株取引手数料や投資信託の信託報酬は通常の投資と同様に発生する。
ポイントサービスではさまざまな特典やキャンペーンを展開している。無理にポイントを貯めようとして余計な買い物が増えてしまうような本末転倒なことは避けるようにしたい。
執筆・篠田わかな(ファイナンシャルプランナー)
外資系経営コンサルティング会社にて製造・物流・小売部門のコンサルタントとして業務/システム改革プロジェクトに参画。退職後独学でFP技能士の資格を取得。開業して個人事業主となり、マネー・ビジネス分野の執筆、企業からの請負業務を手がける。
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