株価は人気投票。実体経済とかけ離れていても日経平均は上がるし、業績が悪い銘柄でも一斉に買い上げれば株価は上昇する。米国ではゲームストップ社の株を巡って、運用のプロであるヘッジファンドと個人投資家がぶつかり、ヘッジファンドが白旗を上げた。また、今年に入って、暗号資産(仮想通貨)のリップルに一斉購入を呼びかける情報が流れ、価格が乱高下した。ファンダメンタルズでは説明のつかない状況が頻繁に起こっている。

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セミプロ級の投資家たちが、先物市場で踏み上げられている

「株価は企業の将来を映す鏡」と言われるが、短期的な需給の前にはその限りではない。そう感じさせられる事象がこのところ増えている。

たとえば、最近の日経平均株価の上昇もそのひとつだ。2月15日、約30年6カ月ぶりに3万円台を奪回した日経平均は、ブレーキの壊れた暴走機関車のように走り続け、翌日の16日には一時3万714円まで駆け上がった。近年では、アルゴリズム取引などもあり、マーケットは一方向に動きやすくなっているが、この急騰劇の裏には、先物取引などでショート(売り)していた投資家の損失覚悟の買い戻しも少なからずあるはずだ。

コロナショックによる企業業績の落ち込みが回復基調にあるとはいえ、現在の株価と実体経済には大きな乖離がある。「いくら何でも上がり過ぎ」と見た投資家は、株価下落を予想して先物をショートすることで利益を狙うが、予想に反して上昇すると含み損を抱えてしまう。含み損が拡大すると、ついには損失覚悟のロスカットによる買い戻しを余儀なくされ、これが新たな買い需要となってさらに相場が上昇する。世界の中央銀行が大規模な金融緩和に踏み切り、加えて、新型コロナの給付金などで行き場を失ったマネーが株式市場に向かっている。買い需要は旺盛だ。

「これまで追証を入れて耐えていたのですが、さすがに日経平均が3万円を超えたところですべて買い戻しました。損失は8000万円を超えてしまいました」とは、資産数億円を運用する専業トレーダー。ちなみに、彼は兜町界隈でもスゴ腕投資家として知られている人物だ。そんな彼曰く、「最近は、相場を知り尽くしているセミプロ級のトレーダーが先物市場でやられている」という。