30代は投資への興味が高まる世代です。この記事の冒頭では、そもそもなぜ30代になると投資の関心が強まるのか、どんな投資商品が30代に支持されているのかをリサーチ。その上で30代に人気の投資商品の特徴・メリット・デメリットを解説します。これから投資をはじめたい、若い世代の参考になる内容です。
30代になると投資に興味がある人が増える理由
カルチュア・コンビニエンス・クラブなどが行った「投資に関するアンケート調査」によると、「投資に興味がありますか」という問いに対して「興味がある、どちらかというとある」と答えた割合がもっとも高かった世代は30代でした。5割を大きく超えています。
そして「なぜお金を増やしたいと思いましたか」の問いに対して30代で多かった回答は、「いざという時に使えるお金を持っておくため」「老後の生活資金のため」がいずれも60%超と高い割合を占めています(複数回答可)。
これらの結果を一言に集約すれば、「将来不安」となるでしょう。ちなみに「老後の生活資金のため」にお金を増やしたいと回答する割合は、40代、50代と世代が高くなるにつれ増えます。その入り口が30代というわけです。
30代に人気の投資商品・制度のメリット・デメリット
同アンケートでは、「現在どのような投資をしているか」についても聞いています。30代に人気のある投資商品・制度は、「株式投資」「NISA」「投資信託」「保険商品(積立型)」「iDeCo(個人型確定拠出年金)」などでした。
それぞれの特徴・メリット・デメリットをまとめると次のようになります。
投資方法1:株式投資のメリット・デメリットは?
株式投資とは、証券取引所で売買されている上場株式に投資をすることです。国内の証券取引所には、大手企業が中心の東証1部、中堅企業が中心の東証2部、成長企業が中心のマザーズやJASDAQなどがあります。また最近では、ネット証券の普及で国内株式だけでなく、海外株式も手軽に売買できるようになりました。
・株式投資のメリット
株式投資は、用語を理解したりチャート・板情報を読んだりするための知識が必須です。一方で、これらの知識を一度学べば一生の財産になります。株式投資は歴史の長い投資です。そのため、大きなルール変更が起こる可能性が低く、身につけた知識をずっと使えるというわけです。
・株式投資のデメリット
株式投資は値動きの激しい世界です。専門知識なしに投資をすると元手を大きく減らすリスクがあります。また、投資先企業の経営不振や倒産、経済危機などで株価が暴落するリスクもあります。
投資方法2:投資信託のメリット・デメリットは?
投資信託も株式投資と並んで30代の支持率の高い投資商品です。その仕組みは、複数の投資家から集めた資金をファンドにまとめて、それを金融の専門家であるファンドマネージャーが運用するものです。
・投資信託のメリット
投資信託は、株式投資のように短期間で株価が数倍〜10倍以上になることはありません。一方で、数多くの銘柄に投資をしているため、分散投資によるリスク回避効果があります。
・投資信託のデメリット
投資信託は比較的リスクが低い投資商品と考えられますが(ただし銘柄による)、元本が保証されているわけではありません。とくに経済危機のときの基準価額(株式でいうところの株価)の変動リスクには要注意です。
投資方法3:NISA(少額投資非課税制度)のメリット・デメリットは?
NISA(ニーサ)は効率的に資産を増やしたい30代に人気の制度です。NISA口座を開設すると、株式投資や投資信託で得た配当金・分配金・譲渡益などが(一定額・一定期間)非課税になります。
・NISAのメリット
NISAを利用すると、投資のリターンに対する税金が一定の非課税枠までかからないため、儲かったときに大きなメリットが得られます。一般NISAでは年120万円・5年間の非課税枠(最大600万円)、つみたてNISAでは年40万円・20年間の非課税枠(最大800万円)があります。
・NISAのデメリット
NISAには、損失が出たときに2つのデメリットが生じます。ひとつは損益通算ができない(同じ種類の投資商品の利益と損失を相殺できない)ことです。そして、もうひとつは損失を翌年以降に繰り越せないことです。
投資方法4:iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCo(イデコ)は確定拠出年金制度のうちのひとつです。この制度には個人型と企業型がありますが、個人型を「iDeCo」の愛称で呼んでいます。日本在住の20歳以上60歳未満の国民年金・厚生年金の加入者であれば利用できます。
・iDeCoのメリット
iDeCoは20代〜40代のビジネスで活躍する世代に人気で、前出のアンケートで見ると、これらの世代では約2割に利用されています。主なメリットには、「掛金が所得控除の対象になる」「運用益が非課税になる」「運用益に対して退職所得控除などが受けられる」があります。
・iDeCoのデメリット
上記のようにメリットの大きいiDeCoですが、原則として「加入者が60歳になるまで運用中の資産を引き出せない」デメリットがあります。
投資方法5:積立型の個人年金保険のメリット・デメリット
保険商品は、亡くなったときや入院したときの保障だけでなく、資産形成目的の商品もあります。そのなかには老齢年金(国の年金制度)のように、現役世代のうちに積み立てたお金を一定の年齢に達したときに年金として受け取れるものもあります。
・個人年金保険のメリット
個人年金保険(積立型の保険商品)は、30代の利用率が高い投資商品です。冒頭のアンケートでは約2割が加入しています。メリットには、「一定の条件を満たせば所得控除(個人年金保険料控除)の適用になる」「保険料の払い込み期間中に亡くなった場合、死亡給付金が支払われる」などがあります。
・個人年金保険のデメリット
個人年金保険には、短期間で解約をすると「支払い済み保険料より解約金が少なくなる」デメリットがあります。
金融商品のウィークポイントを補う「現物資産」の特徴
投資活動で重要な軸は、換金性・安全性・収益性といわれます。この3つが揃うことで「リスクの軽減」と「運用の効率化」がしやすくなるというのが基本的な考え方です。
例えば、前出の株式投資や投資信託は、3つの軸のうち「換金性」には優れていますが、「安全性」または「収益性」で見ると弱いケースもあります。これを解消するには、現物資産も交えて投資をしてくのが賢明でしょう。主な現物資産には次のようなものがあります。
現物投資1:不動産投資
30〜40代のビジネスパーソンに人気の不動産投資は、収益物件(マンションやアパートなど)を購入し、その家賃収入でリターンを得る方法です。将来的には収益物件を売却して、売却益を得ることも可能です。
不動産投資のメリットは、金融機関から融資を受けて収益物件を購入しやすいことです。一方で、空室が発生すると収益性が悪化するデメリットもあります。
現物投資2:太陽光発電投資
太陽光発電投資は、太陽光パネルなどの発電設備を購入し、発電した電力を売電してリターンを得る方法です。太陽光発電投資のメリットは「固定価格買取制度(FIT)」があることです。FITは20年間に渡って一定の売電価格を国が約束してくれるもので、これがあるおかげで長期的な収支が計算しやすいといえます。
現物投資3:そのほかの現物資産投資
そのほかの現物投資の種類には、金や銀、クラシックカー、美術品、高級腕時計などがあります。ただしこれらは所有していても、金利(利息)が発生しません。市場(取引)価格が上がったときだけ売却差益を得られます。
目指すは、バランスのよいポートフォリオを
ここでは、30代に人気の投資商品の特徴と、メリット・デメリットをメインに解説してきました。実際の投資で大切なことは、金融資産と現物資産の両方を組み合わせて運用することです。それにより、投資活動で重要な軸である、換金性・安全性・収益性が強化されやすくなります。
加えて、金融資産と現物資産それぞれで複数の投資商品を運用すると、よりリスクに強いポートフォリオ(資産構成)になります。だからといって、一気に数多くの投資商品を運用しはじめるのは難しいのが現実です。まずは一番気になる投資商品からスタートして、少しずつラインナップを増やしていきましょう。(提供:Renergy Online )
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