3月上旬、日銀(日本銀行)株が4日連続のストップ高となり、マーケットの話題となった。ご存じ、日銀は日本の中央銀行で、紙幣を発行する「発券銀行」、国のお金を管理する「政府の銀行」、市中の銀行から預金を受け入れ、銀行に貸し出す「銀行の銀行」としての役割がある。実はこの日銀、中小型株が多数上場しているジャスダック市場に上場しており、個人投資家でも売買が可能だという。日銀株について、調べてみた。(ZUU online-magazine編集長 三枝裕介)
日銀株が5日間で2倍高を達成。過去には4年で41倍高も
過去、数カ月間に渡って横ばいを続けていた日銀(8301)が、3月に入り、急遽、出来高を伴って上昇を開始した。2月末の終値は2万8,000円。3月1日には値幅制限一杯となる前日比5,000円高の3万3,000円のストップ高をつけると、翌日からも買いが殺到し、3月5日には5万8,000円まで急伸。わずか5日間で2倍高を達成した。ちなみに日銀株は、1980年代のバブル期に4年間で41倍高を演じた経験がある。
3月に入って日銀株が動意付いた背景には、ETF(上場投信)買いによる運用益拡大の思惑があるようだ。2012年以降、株式市場が一定以上下落した場合に、日銀はせっせとETFを購入し、相場を下支えしてきた。黒田東彦日銀総裁のコメント(1月27日の参院予算委員会)によると、昨今の株高により、「12兆円~13兆円程度の含み益がある」とのこと。また、最終利益にあたる2020年度上期の当期剰余金が9,288億円と過去最高水準を記録したことから、投資家の日銀株への思惑が台頭したようだ。なお、同時期、スイスの中央銀行であるスイス国立銀行も外貨建て資産の含み益を好感し、株価が急騰している。