東京株式市場の新年度は、おおむね順調なスタートとなりました。
日経平均株価は4/1(木)~4/5(月)にかけて3日続伸。累計で910円超上昇し、終値で3/18(木)以来の3万円台を回復しました。
新年度でポジションが取りやすくなったことに加え、米国株も上昇基調となっていることから、投資環境は良好といえそうです。今後、2/16(火)の取引時間中に付けた高値30,714円を回復できるかが、気になるところです。
仮に日経平均株価が52週高値を更新し、上昇を続けていくのであれば、高値を更新する個別銘柄も増えていくと予想されます。そこで今回は、52週高値を更新し、チャート上で“保ち合い放れ”となり、当面上昇傾向が期待できそうな銘柄を探りました。
当ページの内容につきましては、SBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。ぜひ、ご視聴ください。
日本株投資戦略
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■執筆者のプロフィール
ラジオNIKKEI(月曜日)、中部経済新聞(水曜日)、ストックボイス(木曜日)、ダイヤモンドZAIなど、定期的寄稿も多数。
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高値更新から上昇継続が期待される「良い形」の銘柄を探る!?
チャート分析とは、株価の値動きをグラフ化し、投資判断の参考にすることです。
株式市場での経験則や投資家心理などから、近い将来に株価上昇が期待できるチャートの形状は確かに存在すると考えられています。
“保ち合い放れ”はそうした形状のひとつではないでしょうか。
投資家心理の強弱が対立する「もみ合い」の後、株価が一方向に傾きはじめると、一気に動きが加速するケースは良くあります。
そこで今回は、チャートを基に、当面上昇傾向が期待できそうな銘柄を探りました。
スクリーニング条件は以下の通りです。
(1)東証1部上場銘柄であること。
(2)4/2(金)~4/7(水)に52週高値を更新した銘柄であること。
(3)25日移動平均株価からのかい離率が0%以上5%未満の銘柄であること。
(4)SBI証券のチャート分析ツールで強気な評価の形状となっている銘柄であること。
上記の条件をすべて満たす銘柄をコード番号順に並べたものが、下記の図表となります。
これらの銘柄は、52週高値を更新し、チャート上で“保ち合い放れ”となっていることから、当面上昇傾向が期待できると考えます。
図表 高値更新から上昇継続が期待される銘柄
コード / 銘柄 / 株価(2021/4/7) / 52週高値株価(月日) / 25日移動平均かい離 / チャート形状
<2169> / CDS / 1,532 / 1,549(4/6) / 4.50% / 上昇基調?
<2809> / キユーピー / 2,630 / 2,725(4/6) / 4.70% / 強含み?
<2930> / 北の達人コーポレーション / 663 / 684(4/2) / 0.61% / 強含み?
<3196> / ホットランド / 1,325 / 1,340(4/5) / 4.13% / 上昇基調?
<4151> / 協和キリン / 3,250 / 3,395(4/5) / 0.80% / 上昇基調?
<6504> / 富士電機 / 4,870 / 4,870(4/7) / 4.57% / 上昇?
<7487> / 小津産業 / 2,069 / 2,097(4/5) / 4.10% / 強含み?
<7751> / キヤノン / 2,519.5 / 2,573(4/6) / 4.04% / 上昇基調?
<9612> / ラックランド / 2,547 / 2,578(4/6) / 3.63% / 上昇基調?
※Bloombergデータ、当社チャート分析ツールをもとにSBI証券が作成。
※「チャートの形状」は4/7(水)時点、SBI証券Webサイトのチャート分析ツールでの評価です。将来の株価が必ずしも、その評価通りに動くとは限りません。あくまでも参考としてご覧ください。
掲載銘柄の投資ポイント
ここでは図表に掲載したいくつかの銘柄について、投資ポイントを考えてみたいと思います。
CDS(2169) 企業の技術仕様書作成が主。社長交代を機に上昇が加速?
企業の技術仕様書の作成などを行う“ドキュメンテーション事業”の他、3D-CADによる開発、自動車メーカー向けのシステム開発などを行っています。
主要顧客は三菱自動車など自動車産業や、情報家電産業などです。
2/12(金)に行われた決算発表では、2020年12月期の経常損益は37.7%減益の968百万円。同日発表された業績予想では21年12月期の経常損益は0.2%増益の970百万円としています。次回第1四半期決算発表は5/12(水)の予定です。
3月の株主総会で社長が交代。今後は、EVや5Gなど次世代テーマの新商品・新事業開発に注力していくようです。株価も3月頃から上昇傾向。2019年12月に1,791円の高値があります。
※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。期間2年(週足)で表示。
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
キユーピー(2809) マヨネーズ首位。巣ごもり需要で好決算。
巣ごもり需要でマヨネーズやドレッシングなど、家庭用調味料が好調に推移。4/5(月)に行われた決算発表は、20年12月~21年2月期の連結決算で、営業利益が前年同期比24%増の63億円でした。市場予想を上回る決算により、4/6(火)の株価は一時およそ2年ぶりの高値をつけました。
なお、株価は戻り売り圧力が強まりそうな水準です。
気になるのはマヨネーズの主要原料の1つ“鶏卵価格の上伸”です。鳥インフルエンザなどの影響で供給量の回復にはしばらく時間がかかる見通しである中、2020年の鶏卵の輸出額・輸出量は倍増しており、需給面での動向から目が離せません。
11月末現在100株以上の保有(6ヵ月以上継続保有が条件)で自社グループ商品詰合せ(マヨネーズ、ドレッシング等)1,000円相当、500株以上の保有で3,000円相当が贈呈される株主優待制度があります。
※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。期間3年(週足)で表示。
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
北の達人コーポレーション(2930) 売上累計180万個突破の“カイテキオリゴ”など自社オリジナルブランドを販売
主に健康食品・化粧品など、自社オリジナルブランド「北の快適工房」を運営し、インターネット販売を行っています。
針状に固めた美容成分を直接肌に刺す化粧品“ディープパッチシリーズ”の売上が好調。今後は男性化粧品市場の成長性に着目し、男性向け商品の開発にも注力していくとしています。
なお、3/31(水)にラジオ局を運営するエフエム・ノースウェーブを連結子会社にし、音声メディアを対象にしたデジタル音声広告の強化を行う方針です。
2021年2月期決算および次期の業績予想は4/14(水)に発表の予定です。2022年2月期について、市場は10数%の営業増益を予想。一方、株価は戻り売りの出やすい水準に入ってきました。
※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。期間2年(週足)で表示。
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
ホットランド(3196) たこ焼き「築地銀だこ」などを展開
たこ焼き「築地銀だこ」などを展開。香港や台湾など、アジアを中心に海外にも出店しています。
2020年は新型コロナウイルスの影響を大きく受けたものの、下期は販促キャンペーンの再開などで売上・利益ともに回復。
大手コンビニエンスストア向け商品が大幅に増加し、製販事業が好調でした。第3四半期までは累計で前年同期比63.8%の営業減益でしたが、第4四半期だけみると、同86%増と急速に盛り返しています。
前期に減損損失951百万円、店舗整理損失285百万円、固定資産売却損454百万円等を計上しており、今期以降へのリスクはその分低減しています。株価も決算発表のあった2/15(月)以降、ジリ高となっています。
※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。期間2年(週足)で表示。
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
協和キリン(4151) バイオ・抗体医薬に強み。近年利益率が上昇傾向で連続増配
キリンHD(2503)が53.4%の株式を保有する親会社です。バイオテクノロジー、抗体医薬に強みをもつ製薬会社です。売上高の50%が日本、50%が海外となっています。
足元は「グローバル3品」が欧米市場で好調。2020年12月期は売上高4.1%増、経常利益17.5%増でした。
なお、同社の売上高経常利益率は2015年まで5年間の年平均が12.5%でしたが、2020年までの5年間は同16.0%となり、体質強化がうかがえます。2017年からは連続増配も達成中です。
2025年までの年平均売上高成長率を10%超に高める方針。市場予想でも2025年までは経常利益が平均的に2桁ずつ伸びる予想です。
株価は長期上昇傾向にありますが、こうした市場の期待を反映している可能性がありそうです。
※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。期間2年(週足)で表示。
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
富士電機(6504) EV(電気自動車)普及加速でパワー半導体に期待
省エネ関連製品を多く手掛けています。
ソーラー、地熱発電、水力発電向けにパワコン、タービン、発電機等の拡販が期待できそうです。
特に期待されるのがパワー半導体です。
普及の加速が予想されるEV(電気自動車向け)において、電力制御の役割を担います。世界シェアは6.5%程度で、インフィニオン、オン・セミコンダクター、三菱電機、STマイクロエレクトロニクスに続く第5位になっています。
2/3(水)付のSBI証券・企業調査部作成によるレポートでは、営業利益について2021年3月期1.2%減、2022年3月期32.9%増、2023年3月期21.7%増と予想。目標株価は5,300円としています。
※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。期間3年(週足)で表示。
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
キヤノン(7751) 事務機器大手。市場との認識ギャップをどう埋めるか
事務機器で国内大手。複合機や商業印刷機、医療用機器、半導体・液晶製造用露光装置に展開しています。
半導体製造装置の減退や事務機器市場への新型コロナウイルスの影響など追い打ちがあり、株価は2017年11月から2020年10月までで63.6%も下落しました。
足元では業績が特に厳しく、営業利益は2019年12月期に49.1%減、2020年12月期に36.7%減となりました。2025年度に売上高4.5兆円、営業利益5,400億円をめざしています。
株価は上記の長期的下落幅に対し、3分の1程度を戻した水準とされます。市場コンセンサスでは2025年度の営業利益を2,094億円程度に置いており、中計との差は大きく、そのギャップをどう埋めるのかが、課題といえそうです。
※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。期間5年(週足)で表示。
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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鈴木英之
SBI証券 投資調査部
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