電気料金がお得になるという話を耳にしても、新電力会社がどんなものかわからないという方が多いのではないでしょうか。しかし、実際に新電力会社を選ぶことで電気料金がお得になる可能性はあるため、安くなる理由を知っておいて損はありません。
新電力会社が電気料金を安くできる理由と、これから選ぶならぜひ押さえておきたいエコ度の高い新電力会社を紹介します。
今話題の新電力会社とは
新電力会社とは2000年から始まった電力の小売自由化で生まれた、電力を販売する会社です。当初は大規模な工場やオフィスビル向けの高圧から自由化が始まり、徐々に中小規模工場や中小ビルへ拡大、2016年から一般家庭や商店向けの低圧でも自由化になりました。
それまで電力を販売していたのは、旧一般電気事業者と呼ばれる東京電力など全国に10社のみでしたが、自由化を機に新電力会社が急増し2021年3月時点で709社が政府に登録されています。
新電力会社の種類
新電力会社には旧一般電気事業者から電力を購入し販売を専門に行っている会社と、自社で発電と販売の両方を行っている会社があります。また発電を専門にしている新電力会社もあり、発電した電気を電力の卸売市場である日本卸電力取引所(JPEX)を通じて販売している会社もあります。
新電力会社が増えた理由
新電力会社が増えた理由は電力の市場規模にあります。低圧の一般家庭の電力市場は約8兆円規模で顧客数は約8,500万件、高圧以上の分野を合わせると18兆円の巨大市場です。
それまで東京電力などの旧一般電気事業者に独占されていた市場が開放されたため、多くの企業が参入しているのです。
なぜ新電力会社は安くできるのか
新電力会社が料金を安くできる理由の一つは、今までの電気料金が割高だったことが挙げられます。
自由化以前の電気料金は発電して利用者に届けるまでにかかる実費に、決められた利益を乗せる「総括原価方式」で決められていました。不当に高い利益を乗せないようにするためでしたが、一方で料金を下げる努力をしなくても一定の利益が確保できる構造を生み出していました。
しかし、自由化によって参入した新電力会社からすると、料金を下げる余地は大いにあり、さまざまな企業努力で低料金を実現しています。例えば、ライフスタイルや家族構成に合わせた細かな料金設定をしたり、携帯やインターネットなどと一括契約することで大きな割引を提供したりすることなどです。
利用者にとって新電力会社のプランや割引がマッチするのであれば、将来に渡って払い続ける電気料金を節約するチャンスになっています。
新電力会社はエコ度で選ぶと安心
電気料金がどれくらいお得になるかで新電力会社を選ぶのも良いですが、これからの時代はエコ度で選ぶと長く安心して電力供給を任せられます。
現在世界では地球温暖化による環境悪化を抑制するため、各国がCO2排出を減らすさまざまな取り組みをしています。そうした背景から、CO2排出を減らし再生可能エネルギーを活用する企業が評価を高め、将来も存続すると考えられています。
例えば、環境対策に力を入れている企業に投資する評価基準も登場し、再生可能エネルギーを積極的に採用する企業は資金を集めやすくなっています。
エコ度の低い会社は資金を集めにくい
逆に環境に配慮しない企業への投資資金は今後減少し、経営が厳しくなる可能性もあります。日本経済新聞は2020年4月7日の記事で、オランダの公的年金ABPなど海外の年金基金による、日本の旧一般電気事業者などに対する投資撤退を報じています。
電力以外にも、石油や石炭といった化石燃料の使用削減に積極的でないと判断された企業も同様で、CO2排出削減が企業成長のキーワードになりつつあります。これから新電力会社を選ぶならエコ度を基準にすることで、将来も安心して電気の供給を任せられると言えそうです。
エコ度を比較するポイント
エコ度の高い新電力会社かどうかを比較するポイントには次の3つがあります。
- 再生可能エネルギーの割合
- 二酸化炭素係数
- 電源構成
再生可能エネルギーの割合
まず新電力会社が供給する電力のエネルギー源のうち、どれくらいの割合を再生可能エネルギーが占めているかです。
再生可能エネルギーとは太陽光や風力、地熱、バイオマスなど自然界に存在するもの由来のエネルギーで、これらを使った発電はCO2を排出せず、地球温暖化を抑制できるのです。最も代表的なものに太陽光発電があります。
実際に再生可能エネルギーで作る電力の割合が多い新電力会社もあり、100%再生可能エネルギーで電力供給するプランを用意するところもあります。
二酸化炭素係数
エコ度を比較するポイントには二酸化炭素係数もあります。これは1kWhの電力を発電する際にどれくらいのCO2を排出したかを示す数値で、低いほど環境への影響を少なくしています。
環境省の温室効果ガス排出量算定報告公表制度によって、全ての電気事業者の二酸化炭素排出係数が確認できます。
電源構成
電源構成とは電力会社が供給する電力が、どのような方法で発電されているかの比率を示すものです。これにより太陽光や風力、水力など再生可能エネルギーが含まれているかどうか、もしくは化石燃料由来のエネルギーがどれだけ含まれているか構成比がわかるため、新電力会社のエコ度をはかる基準の一つになります。
電源構成は公表が義務化されていないため必ず確認できるものではありませんが、もし見られるようであればチェックしてみましょう。
エコ度の高い新電力会社比較
具体的にエコ度の高い新電力会社やプランにはどのようなものがあるか、代表例を紹介します。
グリーナでんき 再エネ比率100%
太陽光発電関連企業のネクストエナジー・アンド・リソースが創設したグリーナでんきでは、再生可能エネルギー比率100%のプランを提供しています。太陽光発電の他にバイオマスや地熱など、複数の再生可能エネルギーで電力を供給しています。
自然でんき 再エネ比率100%
ソフトバンクグループの運営するSBパワーが提供するプラン「自然でんき」も再生可能エネルギー比率100%で電力供給しています。基本料金が0円という価格設定や、スマホなどとの一括契約でお得感をアピールしています。
太陽のでんき
NTTスマイルエナジーが提供する太陽のでんきは、日中の電力を100%太陽光発電で供給しています。日本各地の家庭や空き地など約8,000施設から供給される太陽光の電気を、朝8時から午後4時まで供給するというものです。
ただし、午後4時から翌朝8時までの電力は、天然ガス発電を中心とした発電所の電力になっています。
東京電力エナジーパートナー 再エネ比率100%(アクアエナジー100プラン)
東京電力エナジーパートナーは旧一般電気事業者になりますが、アクアエナジー100というプランが水力で電力を100%供給し、CO2排出ゼロとエコ度が高くなっています。加入者には、発電施設のある地域の特産品をプレゼントするなど、ユニークな特典が用意されています。
エコ度を基準に新電力会社を検討してみよう
新電力会社は電力自由化によって生まれ、その巨大な市場に参入する会社数はすでに700社を超えています。さまざまなプランや割引サービスを用意し、利用者の条件によっては電気料金が安くなる可能性があります。
電気料金は長く支払い続けるため、たとえわずかでも削減できれば家計に大きなメリットをもたらすはずです。
また、これからの時代においては、契約した電力会社に長く存続してもらうためにも、エコ度の高い会社を選ぶことが大きな鍵となります。環境保護に貢献する意味でも、再生可能エネルギー比率の高い新電力会社を検討してみましょう。(提供:Renergy Online )
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