2021年は、電気自動車(EV)の販売を本格化させる自動車メーカーが多いため、メディアやネットにEV情報があふれています。近いうちに電気自動車を買う予定がある方は「どれを選べばよいか迷う」と思う方も多いのではないでしょうか。
ここでは取捨選択しやすいよう、国内・海外の自動車メーカーのEV動向や主な車種をご紹介します。
国産車の電気自動車(EV)を買うならどの車種?
2021年春時点で国産の電気自動車(EV)を購入するなら、日産、ホンダ、マツダなどの選択があります。
日産:電気自動車で歴史を積み重ねてきた安心感
日産は企業全体で見ると、経営不振にあえいでいます。しかし電気自動車の分野でいえば、国内自動車メーカーをリードする存在といえます。
・実用性で選ぶなら「リーフ」、高級感で選ぶなら「アリア」
今のタイミングで日産の電気自動車を購入すると考えたとき、2つの選択肢があります。1つ目は、歴史のあるEV車種「日産 リーフ」の購入。もう1つは2021年半ばに発売開始になる予定の新たなEV車種「日産 アリア」の選択です。
選ぶ際の指標としては、実用性重視の人はリーフ、ワンランク上の外観や車内空間を重視する人はアリアがおすすめです。
・「日産 リーフ」は2020年で50万台を突破した電気自動車
1つ目の選択肢である「リーフ」は2020年12月で10周年を迎えた電気自動車です。グローバルでの累計販売台数は同年9月、50万台超に達しています。なお、リーフがフルモデルチェンジされたのは2017年10月。その後、2020年2月に機能面のマイナーチェンジが実施されています。
リーフが人気の理由は、普段使いに便利なコンパクトタイプであることに加え、3つの要素「先進機能」「航続距離」「価格設定」のバランスのよさにあります。
・購入時期を少し待って「アリア」を選択するという手も
2つ目の選択肢である「アリア」は、SUV(多目的スポーツ車)の電気自動車です。一番の特徴は航続距離の長さです。アリアでは2タイプの大容量バッテリーを選べますが、より大きい90kWhのバッテリーなら最長610kmまで連続走行できます。
また「アリア」では、2駆と4駆を用意していますが、4駆では新開発技術を組み込むことでより緻密に前後のモーターを制御。滑りやすい路面でも安定した走行が実現可能になっています。
リーフ e+ Xタイプ バッテリー:62kWh | アリア 2WDタイプ バッテリー:90kWh | |
---|---|---|
航続距離 | 最長570km | 最長610km |
価格 | 約441万円 | 約500万円 実質購入価格 |
タイプ | コンパクトカー | SUV |
ホンダ:最近のトレンドと一線を画す独自のデザイン性
ホンダの電気自動車の車種は、2020年10月30日から販売開始の「HONDA e(ホンダ イー)」です。「HONDA e」の最大の特徴は、オリジナリティの高いデザイン性です。最近の車は、国産車も外車もフラットでシャープなフォルムが多いですが、対極的な丸みのあるかわいいデザインになっています。
価格設定は、ベース車種「Honda e」が451万円〜、上位車種「Honda e Advance」が495万円〜でリーフと競合する価格帯といえます。ただし、航続距離はリーフよりも262km短い最長308kmになっています(Honda eの場合)。
注意点は、2021年春の段階でHonda eは購入しづらいことです。なぜなら、現在のところ販売計画台数が年間1,000台で、申込台数が限定されたオーダー受付のみになっているためです。販売台数が限られている理由は、搭載するバッテリーの生産量が現時点では少ないためといわれます。
そのほかの主な国産車メーカーの動向
マツダは2021年1月に同社初の量産電気自動車となる「MX-30 EV MODEL」(451万円〜/航続最長距離281km)を発表・販売しています。国内外で人気のあるマツダのSUV「MXシリーズ」のEV版とのことでシェア獲得が期待されています。
トヨタは近距離移動用の小型EV以外は出していませんが、2020年11月、レクサスのEV版が135台限定販売されたなどの動きがあり、今後の動向が気になります。
外車の電気自動車(EV)を買うならどの車種?
外車の電気自動車(EV)は、日本での発売・予約開始がこれから本格化するメーカーもあります。それだけに購入のタイミングがポイントです。
テスラ:主力4モデルに新モデル追加で選択肢が幅広い
テスラは、電気自動車の世界販売台数で圧倒的にリードしています。Statista が集計した2020年の自動車メーカー別、世界での電気自動車販売台数においてテスラは約50万台。2位のフォルクスワーゲンと30万台近い差があります。
・SUV、セダン、高級車など幅広いタイプを揃える
現在のテスラの主力車種には、SUVの「モデルX(1,169万円〜/最長航続距離580km)」、プレミアムセダンの「モデルS(1,169万円〜/同663km)」、セダンの「モデル3(429万円〜/同448km)」などがあります。複数のモデルから選べることは電気自動車専門メーカーだからこその魅力といえるでしょう。
上記に加えて、日本時間の3月15日にはコンパクトSUVの「モデルY」をグローバルで発表しています。現時点で日本のテスラ公式サイトでは受付開始になっていませんが、中価格帯のSUVとして人気を集めそうです。
・2023年秋頃に260万円の電気自動車の製造する構想も
補足すると、テスラは現時点では高級車のブランドイメージですが、数年後には中価格帯にも本格進出する可能性が高いです。BBC NEWSによると、テスラのCEO・イーロン・マスク氏は約260万円(2万5,000ドル)の電気自動車を「数年以内に」製造する構想を発表しています。
この発表が行われたのは2020年9月ですから、この構想通りに進めば製造開始は2023年秋頃となります。
フォルクスワーゲン:2020年からEV化を本格化。日本での販売はこれから
ここにきてEVシフトを鮮明にしているのがフォルクスワーゲンです。2021年3月16日の記者会見で同社社長のヘルベルト・ディース氏は、2035年には新車販売の大半を電気自動車にすると表明しています。その試金石となるEVが、IDシリーズです。
・ID.3(ハッチバック)とID.4(SUV)の2タイプを発表
フォルクスワーゲンは、同グループの電動車向けモジュラー車台の「MEB」をベースに第1弾EV「ID.3(ハッチバックタイプ)」、第2弾EV「ID.4(SUVタイプ)」を海外で投入しはじめています。
ID.3、ID.4どちらの車種も日本での発売時期は未定ですが、欧米や中国での予約や納車がはじまっているので、日本でも近い将来、購入できるようになる可能性が高いです。これまでフォルクスワーゲンを愛好してきて電気自動車に乗り換えたいと思っている人は、この発売を待ってからでも遅くないかもしれません。
・テスラよりも割安な価格帯に設定する戦略
フォルクスワーゲンのEV戦略は、先行するテスラの競合モデルよりも安い価格設定です。例えば中型SUVで比較すると、テスラの「モデルY」よりも「ID.4」の最終的な販売価格が約1万ドル安くなる予定です。
このテスラよりも割安な価格設定の戦略がはまれば、フォルクスワーゲンが電気自動車の世界市場で首位に立つシナリオもあり得ます。ただし、先にご紹介したようにテスラでも価格帯の安い車種を投入する計画もあり、今後、EVの価格競争が熾烈になりそうです。
メルセデス・ベンツは2021年からEV本格化、BMWはさらにEV投入を加速
ほかの外車メーカー勢も、電気自動車を次々に投入してテスラを追随しています。ここでは、日本でファンの多いベンツとBMWの動向をご紹介します。
・メルセデス・ベンツ:小型SUVは販売開始、中型SUVは2021年4月から予約開始
メルセデス・ベンツでは、電気自動車に特化したブランドである「Mercedes-EQ」を立ち上げ、電気自動車の先進機能を追求しながらも安全性や操縦性にこだわった開発を進めています。ベンツは2022年までに計6車種の電気自動車を発売するようです。
その一部をご紹介すると、ベンツ初の電気自動車である中型SUVタイプの「EQC(1,080万円~/最長航続距離400km)」を先行して市場投入。日本でもすでに販売開始になっています。
2021年4月からは小型SUVタイプの「EQA(600万円前後/同486km)」の先行注文を開始。さらには、旗艦EVともいわれる高級セダンタイプの「EQS」も近日中に市場投入される予定になっています。
・BMW:2021年以降の新車種としてはSAVタイプが先行投入
BMWでは車種名に「 i 」を冠した電気自動車ブランドを展開しています。すでにいくつかのEVの車種を投入しているBMWですが、さらに力を入れる模様で2020年〜2023年の間に発売する予定の25車種のうち半分以上は電気自動車と言われています。
2020年4月現在、BMWの新車種としてはSAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)の「iX3」が日本で販売開始、クロスオーバーの「iX」と4ドアクーペの「i4」が近日中に国内市場に投入される予定になっています。
ここでご紹介したのはあくまでも2021年3月26日時点の内容です。国産車、外車のどちらを選択するにしても、電気自動車のマーケット状況は短期間でかなり変わります。購入する際は、しっかり情報収集したうえで検討するのが無難です。(提供:Renergy Online )
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