世界各国ではSDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けて、さまざまな政策を打ち出しています。日本でも脱炭素社会を目指し、「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」という目標を政府が表明しました。

実はSDGsへの取り組みは国家や企業だけでなく、個人でも行うことが可能です。そのなかで家庭緑化はSDGsのゴール13「気候変動に具体的対策を」に貢献できる活動といえます。太陽光発電システムと家庭緑化を組み合わせて環境に優しい住宅を実現する方法を考えます

家庭緑化はSDGsのゴール13に貢献できる

個人でできるSDGs、家庭緑化のススメ
(画像=wladimir1804/stock.adobe.com)

家庭緑化はSDGsのゴール13に貢献できる身近な方法です。パリ協定では世界共通の目標として「産業革命前からの平均気温の上昇を2℃より十分下方に保持する」と掲げられ、さらに「1.5℃に抑える」目標が追加されています。

グローバルなイメージがあるSDGsですが、個人でもCO2削減につなげることができる方法の1つが家庭緑化です。屋上緑化においては植物が持つ空気清浄効果によってCO2排出量の削減が期待できます。同時に空気が浄化することで大気汚染の防止にも役立ちます。

また、ヒートアイランド現象の緩和にも効果があります。ヒートアイランドとは、都市部が周辺地域よりも高い温度になる現象をいいます。ビルや建物の多い地域で起こりやすい傾向があります。気温によっては熱中症を誘発する危険な現象です。

屋上緑化や壁面緑化を行うことによって太陽熱を植物が吸収し、室内温度の上昇を緩和することができます。このような緑化住宅が増えることによって、平均気温を少しでも下げることにつながれば理想的といえるでしょう。

緑化住宅のメリット

自宅を緑化住宅にするとさまざまなメリットがあります。1つは省エネルギーにつながることです。屋上を緑化すると屋根の断熱性が向上し、夏は冷房、冬は暖房効率が上がり、室内環境を快適にすることができます。エアコンの温度を調整することによって電気料金の節約にもなります。

2つめに緑化することによって住宅の保守に役立つメリットがあります。住宅は強い太陽光や激しい雨など自然環境によっても負荷を受け、劣化につながります。屋上や壁面を緑化すれば水や太陽光の紫外線を吸収して、住宅への負荷が軽減されます。

家庭菜園を行う場合は収穫した野菜や果物を料理に使うことができ、食費の節約にもつながります。無農薬なので健康にもよいでしょう。子どもがいる家庭では親子で植物や野菜を育てることによって、小さい年齢からSDGsの精神を養うことができます。

住宅を緑化する場合は補助金を利用することもできます。補助金制度は全国一律ではなく、実施している自治体が限定されています。一例として埼玉県・川口市では、「生け垣や屋上緑化等に対する補助制度」を実施しており、生け垣、植込地、フェンス緑化、屋上緑化、壁面緑化など幅広い部分に対応しています。

自治体によって補助対象や補助金の額が異なりますので、自宅のある市区町村のホームページで確認する必要があります。

では、家庭緑化にする方法を3つのカテゴリーに分けて考えてみましょう。

屋外緑化-趣味にもなる庭園緑化

ガーデニングが好きな人にとっては、庭園を緑化するのは趣味にもなり、楽しんでできるSDGs活動といえます。庭園緑化した住宅は周辺の街並みと溶け込み、美しい景観を演出します。周りの住民からも好感をもたれるでしょう。

前述した家庭菜園を行う場合は野菜や果物を確実に育てるために大きめのプランターを用意する必要があります。野菜を育てるためには通気性や深さが必要なので、25リットル程度のプランターを選んだほうが無難です。

野菜の育て方の基本は「土づくり」「日当たり」「水やりと肥料」といわれています。しっかりしたプランターで育てればトマト、きゅうり、ナスのほか、メロンやイチゴ、ゴーヤなども栽培することができます。

ツタが絡まる甲子園球場の外観でおなじみの壁面緑化も屋外緑化の1つです。住宅の壁面を緑で覆う緑化方法ですが、まだそれほど普及している方法とはいえません。

導入方法は、壁面にネットを設置し植物のツタを這わせて成長させることによって緑化します。省エネにつなげたい人や、外観をおしゃれにしたい人など導入の目的はさまざまです。

屋内緑化-バルコニーを使った緑化

家のなかに緑を配したいという人もいるでしょう。緑には癒しやリラックス効果、人の心を落ち着かせる効果があります。仕事などでストレスにさらされている人は、部屋に積極的に緑を取り入れることで精神的な落ち着きを得ることが期待できます。忙しくて管理が難しい場合は観葉植物をレンタルすることもできるので、検討するとよいでしょう。

緑化住宅にはしづらいマンションですが、バルコニーを利用した緑化は可能です。賃貸マンションの場合は室内で植物を育てるのは制約があるかもしれません。その点バルコニーであれば水やりも気がねなく行えるので、気軽に始めることができます。

一般的には鉢植えを置くタイプの緑化が多いと思われます。鉢植えであれば植栽がダメになった場合もすぐに交換することができます。

サンルームがある場合は、植物を育てるには良い環境になります。植物は光を好む性質があるため、天窓や大きな開口部があるサンルームは屋内緑化に適しています。天井が高いサンルームは観葉植物を置く以外にも、天井から吊るすタイプの植物などバラエティに富んだ緑化が可能です。

屋上緑化-太陽光と組み合わせて環境に優しい住宅を実現

環境に優しい住宅を実現するには、太陽光発電システムと家庭緑化を組み合わせる方法があります。屋上がある家であれば階段室(塔屋)の屋根に太陽光パネルを設置し、平地部分を緑化することが可能です。太陽光発電システムで生産した電気は自宅で使うほか、電力会社に売電することができます。

さらに家庭用蓄電池を導入すると、蓄電池に充電しておき太陽光が稼働していない時間帯の電気を賄うこともできます。逆に単価の低い深夜に充電しておき、太陽光発電が稼働している昼間の使用電力に充当することも可能です。それにより太陽光で生産した電気をより多く電力会社に売電することができ、結果的に節電になります。

また将来、電気自動車を購入したときに、蓄電池を利用すれば自宅で充電することができ、街ナカのEVスタンドまで行く手間が省けます。2030年代半ばには発売される新車はすべて電気自動車になると予想されていますので、いまから備えておけば安心です。

出典:ヤマト住建Webサイト
△太陽光集熱パネルと屋上庭園を組み合わせたイメージ
出典:ヤマト住建Webサイト

ただし、屋上緑化するには屋上を防水仕様にしたり、積載荷重を考えたプランの策定が必要になるため、新築住宅でないと難しいというデメリットがあります。

逆にこれから住宅を新築または建て替える予定があれば、緑化住宅にするよいチャンスになります。太陽光パネルの設置位置については、事業者に相談すれば屋上の形状に合わせた最善のプランを策定してくれるでしょう。太陽光パネルの設置位置が決れば残りのスペースで屋上庭園を展開することができます。

再生可能エネルギーの代表である太陽光エネルギーを使って電気を生産することで、SDGsのゴール7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」の推進にも貢献することができます。家庭緑化や電気自動車も含め、環境に優しい住宅に住むことは精神的な充実感にもつながるでしょう。

太陽光発電システムの導入と家庭緑化の実践は、個人でできるSDGs活動として、今後も多くの家庭で取り入れられることが期待されます。(提供:Renergy Online


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