最終更新日:2025/06/03
 
マンション経営におけるレバレッジとは?信用取引・FX取引と何が違う?
(画像=turgaygundogdu/Shutterstock.com)
本間 貴志
本間 貴志
ビジネス書・実用書専門の「アスラン編集スタジオ」の編集ライターを経てフリー。2015年より秋田県に移住、テレワークによる柔軟な働き方を実践中。

不動産投資の大きな魅力の一つに「レバレッジ」の活用があります。これは、金融機関からの借入れを利用して金額の大きな不動産を運用し、少ない自己資金で大きなリターンを狙う投資手法です。

投資効率を高める魅力がある一方で、借入コストに影響を与える金利は大きな転換点を迎えています。2025年1月に日本銀行が政策金利を17年ぶりの水準にまで引き上げることを決定。今後借入リスクを適切にコントロールできないと、大きな損失を招く可能性が高まりつつあります。

この記事では、不動産投資におけるレバレッジの基本的な仕組みとメリットと潜在的なリスクまで、分かりやすく解説していきます。変化する環境下でレバレッジとどう向き合うべきか、ご自身の投資戦略の参考にしてください。

目次

  1. 1.不動産投資におけるレバレッジとは?
    1. 1-1.不動産投資のレバレッジ効果
    2. 1-2.不動産投資と相性が良いレバレッジ
    3. 1-3.レバレッジを活用する場合はイールドギャップがプラスであることが重要
  2. 2.レバレッジを効かせた不動産投資のメリット
    1. 2-1.投資機会の拡大
    2. 2-2.投下自己資金に対する高いリターン(ROI)が追求できる
    3. 2-3.団体信用生命保険(団信)に加入できる
  3. 3.レバレッジ活用のリスクと管理方法
    1. 3-1.金利上昇リスク
    2. 3-2.金利上昇リスクの管理方法
    3. 3-3.空室リスク
    4. 3-4.空室リスクの管理方法
    5. 3-5.逆レバレッジのリスク
    6. 3-6.逆レバレッジのリスク管理方法
  4. 4.不動産投資におけるレバレッジの目安と適切な倍率は?
    1. 4-1.LTV(借入金比率)とは?レバレッジ度合いを示す指標の考え方
  5. 5.他の投資手法におけるレバレッジとの比較
    1. 5-1.不動産投資と他の金融商品のレバレッジの違い
  6. 6.レバレッジをあなたの資産形成の力に

1.不動産投資におけるレバレッジとは?

マンション経営におけるレバレッジとは?信用取引・FX取引と何が違う?
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レバレッジとは、英語で「Leverage」と表記され、「てこの原理」 のように小さな力で大きなものを動かす意味合いを持ちます。 不動産投資においては、自己資金だけでなく金融機関からの融資(借入れ)を組み合わせることで、手元の資金を大きく上回る規模の不動産を取得し、運用していく手法を指します。

このレバレッジを効果的に活用することで、たとえば自己資金500万円で5,000万円の物件を購入することが可能になります。購入した物件から得られる家賃収入によってローンの返済を行い、家賃収入がローン返済を上回る分は利益となります。また将来的な物件価値の上昇による売却益を狙ったりと、効率的な資産形成が期待できるのが最大の魅力です。

1-1.不動産投資のレバレッジ効果

不動産投資における「レバレッジ効果」について具体的に説明します。例えば、1,000万円の物件を自己資金のみで購入し、年間100万円の家賃収入があった場合、自己資金に対する利回りは10%です。

しかし、もし同じ1,000万円の物件を、自己資金100万円と金融機関からの融資900万円で購入したとしましょう。年間100万円の家賃収入からローンの返済(例えば年間50万円)を差し引いたとしても、残りの50万円が手元に残ります。この場合、自己資金100万円に対して50万円の利益が得られたことになり、自己資金に対する利回りは50%に跳ね上がります。

このように、少ない自己資金で大きな物件を動かし、その物件が生み出す収益が借入金利を上回る限り、自己資金に対する投資効率を劇的に高めることが可能になるのです。

※この具体例はレバレッジ効果をシンプルに理解していただくためのものです。実際の不動産投資では、ローン金利の他に、物件購入時の諸費用、修繕積立金や管理費、固定資産税などのランニングコストが発生します。実際に投資をご検討される際には、これらの費用も加味した上で、詳細なキャッシュフローシミュレーションを行うようにしましょう。

1-2.不動産投資と相性が良いレバレッジ

レバレッジを活用した投資手法は、不動産投資に限らず株式投資やFXなどにも存在します。しかし、不動産投資におけるレバレッジは、他の投資手法と比較して際立った特徴を持っています。その一つが、実物資産を担保にしており、長期的な融資を受けやすい点です。金融機関は、購入する不動産自体を担保として評価するため、多額の融資が比較的受けやすくなっています。

また、家賃収入という継続的かつ比較的安定したインカムゲインが得られる点も、レバレッジと不動産投資の相性を良くする要因です。毎月安定した家賃収入があれば、そこからローンの返済を行い、残りを利益として確保できます。長期にわたる安定的なキャッシュフローが見込めるため、短期間での資金回収を求められることなく、じっくりと資産を育成していくことが可能です。

1-3.レバレッジを活用する場合はイールドギャップがプラスであることが重要

不動産投資でレバレッジを活用する際のリスク判断で重要となるのが「イールドギャップ」です。イールドギャップとは、物件の利回り(投資利益率)と借入金利の差を示す指標です。

イールドギャップ = 物件の利回り − 借入金利

ここで使う「物件の利回り」は、年間家賃収入を物件価格で割った表面利回りで計算される場合もありますが、より正確に判断するには、固定資産税や管理費、修繕積立金などの諸経費を差し引いた実質利回りを使って計算するのが望ましいです。

例えば、物件の年間利回りが5%で、借入金利が2%の場合、イールドギャップは「5%−2%=3%」となります。この差額がプラスである限り、物件が借入にかかるコストを上回っていることを意味し、毎月のキャッシュフローもプラスになりやすいため、借入金を返済しつつ利益を確保できます。

ただし、イールドギャップがプラスだからといって、必ずしも毎月のキャッシュフローが潤沢であるとは限らない点には注意しましょう。 イールドギャップはあくまで「利回りと金利の差」を示す指標であり、融資期間の長さによって毎月のローン返済額は大きく変動します。例えば、利回りが高くても融資期間が短い場合は、毎月の返済負担が大きくなり、手元に残るキャッシュフローが少なくなる可能性があります。

そのため、イールドギャップの確認と合わせて、実際に毎月どのくらいのキャッシュフロー(現金)が手元に残るのかを詳細にシミュレーションするようにしましょう。

2.レバレッジを効かせた不動産投資のメリット

不動産投資におけるレバレッジとは?信用取引・FX取引と何が違う?
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レバレッジは、自己資金だけでは実現できないような大きなリターンや資産形成のスピードを高める可能性があることはお分かりいただけたでしょうか。ここではレバレッジを効かせることで得られる、具体的なメリットについて掘り下げて解説します。

2-1.投資機会の拡大

レバレッジを活用する最大の魅力は、自己資金をはるかに上回る規模の不動産に投資できる点にあります。例えば、自己資金が1,000万円の場合、現金のみでは1,000万円程度の物件が上限となりますが、金融機関から融資を受けることで、5,000万円や1億円といった大規模な不動産も選択肢に入ってきます。自己資金では手が届かない対象への投資機会を捉えることができるのです。

2-2.投下自己資金に対する高いリターン(ROI)が追求できる

レバレッジは、投入した自己資金に対する収益率(ROI:Return on Investment)を大きく高める効果が期待できます。前述したイールドギャップ(物件の利回りから借入金利を差し引いた差額)がプラスである場合、少額の自己資金で得られるリターンが飛躍的に向上し、投資効率を最大限に引き上げることが可能となります。

また、得られた収益を再投資に回すことで、雪だるま式に資産が増えていく複利効果を早期に享受でき、目標とする資産規模への到達を加速させることも期待できます。自己資金だけで次の投資資金を貯めるには時間を要しますが、レバレッジによって投資規模を拡大したり、複数の物件を運用したりすることで、より多くの家賃収入を得られ、結果的に資産形成のスピードを格段に速めることができるでしょう。

2-3.団体信用生命保険(団信)に加入できる

不動産投資でレバレッジを効かせるためにローンを利用する場合、多くの金融機関では「団体信用生命保険(団信)」への加入が必須となります。これは、ローン契約者に万が一のことがあった場合に、保険金でローン残債が完済される制度です。

団信に加入していることで、契約者が死亡または高度障害状態となった場合でも、遺族には無借金の不動産資産が残ります。遺された家族には継続的な家賃収入や売却による資金化の選択肢があり、万が一の備えとなります。

また、最近では「がん団信」や「三大疾病付き団信」などの保障が充実したタイプも登場しており、不動産投資と同時に自身のライフリスクヘッジも図れる点は、安心感をもたらす大きなメリットと言えるでしょう。

3.レバレッジ活用のリスクと管理方法

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不動産投資におけるレバレッジ活用は大きなメリットがある一方で、リスクも比例して大きくなります。自己資金以上の借入れを行うからこそ発生する特有のリスクや、外部環境の変化によって投資が立ち行かなくなるリスクも存在します。ここでは、レバレッジを効かせた不動産投資で特に注意すべき代表的なリスクと、それらを回避・軽減するための具体的な管理方法について詳しく見ていきましょう。

3-1.金利上昇リスク

金融機関からの借入れを利用するレバレッジ戦略において、警戒すべき大きなリスクの一つが金利の上昇です。特に変動金利型ローンで融資を受けている場合、市場金利が上昇すると、毎月の返済額が直接的に増加し、キャッシュフローを大きく圧迫する要因となります。たとえば、金利が1%上昇するだけでも、借入額によっては年間数十万円〜数百万円返済額が増加する可能性があります。

特に、近年は日本銀行が2024年3月に約17年ぶりとなるマイナス金利政策を解除したのに続き、2025年1月には政策金利を0.50%へ追加で引き上げる決定がなされました。この0.50%という水準は、2008年10月以来の約17年ぶりの高水準となります。金利を取り巻く環境は大きな転換期を迎えており、この点はより一層注意しておく必要があります。

参考:日銀、0.5%に利上げへ 17年ぶり金利水準に

3-2.金利上昇リスクの管理方法

金利上昇リスクに対しては、以下のような対策を講じることが有効です。

3-2-1.固定金利ローンの検討

借入当初から完済まで金利が変わらない固定金利型ローンを選択することで、将来的な金利上昇リスクを完全に回避できます。ただし、変動金利に比べて当初の金利設定が高い傾向があるため、現在の金利動向を注視しつつ、自身の返済計画に合わせたメリット・デメリットを比較検討することが重要です。

3-2-2.金利上昇を見越したキャッシュフローの計算

変動金利を選択する場合でも、契約しているローンの金利上昇の上限や、実際に金利が2%、3%と上昇した場合の返済額を事前にシミュレーションしておくことが重要です。これにより、自身のキャッシュフローがどこまで耐えられるかを把握した上で、無理のない借入額や返済計画を立てることができます。特に、現在の金利環境下では、より厳しい金利上昇シナリオを想定したシミュレーションを行うことが望ましいでしょう。

3-2-3.繰り上げ返済の活用

将来的な金利上昇リスクに備え、キャッシュフローに余裕がある時に繰り上げ返済を行うことも有効な対策です。元本を減らすことで、その後の利息負担軽減に繋がり、金利上昇による返済額増加の影響を和らげることができます。

3-3.空室リスク

不動産投資の収益の根幹は家賃収入です。レバレッジを効かせている場合、借入金の返済は基本的にこの家賃収入から賄うことができますが、もし空室が発生し、長期にわたり入居者が見つからない状態が続くと、家賃収入が途絶え、ローンの返済を自己資金で穴埋めする必要が出てきます。特に、賃貸需要が低いエリアや、周辺に類似物件が多い競争の激しいエリアでは、空室期間が長期化する可能性が高まります。

3-4.空室リスクの管理方法

空室リスクを低減するためには、以下の点に注力しましょう。

3-4-1.物件の立地を最重視する

賃貸経営の成功は立地に大きく左右されます。駅からの距離が徒歩10分圏内にある、周辺施設が充実している、地域の人口が増加傾向など、賃貸需要が安定しているエリアの物件を慎重に選ぶことが基本的な空室対策です。

関連記事:新築マンションの物件選びのポイントは?中古マンションとの違いも解説

3-4-2.物件の魅力を維持・向上させる

築年数の経過や競合物件の登場により、物件の魅力は相対的に低下する可能性があります。定期的なメンテナンスはもちろん、必要に応じて内装や設備のリフォームを行うことで、入居希望者にとって魅力的な物件状態を保ち、安定した家賃収入を確保することに繋がります。

3-5.逆レバレッジのリスク

逆レバレッジとは、物件の利回り(収益率)が、その物件を購入するために借り入れたローンの金利を下回ってしまう状態を指します。通常、不動産投資で利益を出すには、物件が生み出す収益が借入にかかるコストを上回る(イールドギャップがプラスである)必要があります。しかし、これが逆転しイールドギャップがマイナスになると、物件の収益だけでは借入金の返済(特に利息部分)を賄いきれなくなり、毎月のキャッシュフローが赤字になってしまいます。

例えば、物件利回りが3%で、借入金利が4%の場合、1%分の損失が毎月発生します。この間は自己資金を取り崩して返済を行う必要があり、長期化すると物件の売却を余儀なくされてしまいます。

3-6.逆レバレッジのリスク管理方法

逆レバレッジに陥らないためには、以下の対策が考えられます。

3-6-1.イールドギャップの継続的な確認

物件購入時だけでなく、投資期間中も定期的に物件の利回りや借入金利の変動をチェックし、イールドギャップがマイナスになっていないか、マイナスになる兆候はないかを確認することが重要です。

3-6-2.金利上昇リスクへの備え

逆レバレッジに陥る最大の要因の一つが金利上昇です。前述した金利上昇リスクに対する管理方法(固定金利の検討、シミュレーション、繰り上げ返済など)をしっかりと行うことが、逆レバレッジの発生を防ぐ上で非常に重要になります。

3-6-3.収益改善の検討

物件の賃料が相場より低い場合は賃料見直しを検討したり、稼働率を上げるための入居者募集戦略を見直したりするなど、物件の収益力を向上させる努力も逆レバレッジ対策に繋がります。また、可能であれば金融機関に金利交渉を打診するのも一つの手段です。

4.不動産投資におけるレバレッジの目安と適切な倍率は?

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レバレッジ活用のメリットとリスクを理解した上で、自身はどれくらい借入れをするのが適切なのかを知ることは重要です。この章では、自身の資産状況や投資目標に合わせた、無理のないレバレッジの目安と、その考え方について解説します。

4-1.LTV(借入金比率)とは?レバレッジ度合いを示す指標の考え方

不動産投資におけるレバレッジの度合いを示す指標として、一般的に使われるのが、LTV(Loan To Value)です。日本語では借入金比率や融資比率とも呼ばれ、物件の購入価格(総投資額)に対して、借入額が占める割合を示します。

LTV=借入額÷物件の購入価格

たとえば、5,000万円の物件を、自己資金1,000万円と借入金4,000万円で購入した場合、LTVは80%となります。

このLTVの数値は、自己資金が少ないほど借入額の割合が増え、高くなる傾向にあります。LTVは、金融機関が融資の可否や条件を判断する際に重視する指標です。LTVが高いほど、金融機関にとっては貸し倒れリスクが高いと見なされる傾向があるため、審査が厳しくなることも考えられます。

投資家にとっては、LTVが高い、つまりレバレッジが高いほど、成功した時のリターンは大きくなりますが、リスクが発生した際の損失も大きくなることを意味します。

LTVの適正水準は、個人の年収や資産状況に応じて変わるため、一概に決められるものではありません。しかし、一般的には物件価格の80%程度の融資を金融機関から受けることが多いと言われており、一つの参考となるでしょう。

しかし、これはあくまで目安であり、以下のような視点から自身の「適切な倍率」を判断することが重要です。

  • キャッシュフローの健全性: 金利上昇や空室が発生しても、毎月のローン返済や運営費を賄えるだけの十分なキャッシュフローを確保できるか。
  • 自己資金の余裕: 不測の事態(大規模修繕や一時的な空室期間など)に備えて、ある程度の自己資金を手元に残しておくことができるか。
  • 出口戦略との兼ね合い: 将来的な売却を視野に入れた際、残債とのバランスや市場価格の変動リスクを考慮したLTVになっているか。

単に「借りられるだけ借りる」のではなく、「無理なく返済を継続でき、かつ予期せぬリスクが発生した際にも対応できる」範囲でレバレッジを調整することを常に意識するようにしましょう。

5.他の投資手法におけるレバレッジとの比較

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不動産投資におけるレバレッジの活用は、株式投資やFXといった他の金融商品で行われるレバレッジとは異なる独自の特性を持っています。この違いを理解することは、不動産投資ならではの強みやリスクを把握し、投資戦略を立てる上で非常に重要です。ここでは、不動産投資のレバレッジが、他の代表的な投資手法とどのように違うのかを詳しく見ていきましょう。

5-1.不動産投資と他の金融商品のレバレッジの違い

まず、株式投資におけるレバレッジ手法の一つである信用取引について見てみましょう。証券会社に預けた保証金(自己資金)を元手に、その保証金の約3倍までの金額で株式の売買を行います。自己資金よりも大きい金額で運用できる点は同じですが、決済には期限があり、株価が思惑と反対方向に動いて含み損が拡大した場合、追加保証金(追証)が必要になったり、強制的に保有株が売却される仕組みとなっています。

次に、FX(外国為替証拠金取引)投資におけるレバレッジです。これは、預けた証拠金に対して、国内では最大25倍、海外業者では数百倍といった非常に高い倍率で為替取引を行うことが可能です。FX市場はほぼ24時間変動しており、株式の信用取引と同様に価格の急変動によって証拠金維持率が一定水準を下回ると、損失拡大を防ぐために保有ポジションが強制的に決済される「ロスカット」の仕組みがあります。このロスカットによって、預けた証拠金以上の損失(追証)が発生する可能性もゼロではありません。株式信用取引よりもレバレッジ率が非常に高く、その分リスクも大きくなります。

一方、不動産投資におけるレバレッジは、金融機関から長期(多くは10〜35年)のローンを組んで物件を購入するのが一般的で、家賃収入という比較的安定したキャッシュフローの中でじっくりと借入金返済を進めていくことができます。

また不動産自体が実物資産であるため、物価が上昇するインフレ局面においては、家賃収入や物件価格が上昇し、借入金の実質的な価値が相対的に目減りすることで、インフレヘッジの効果も期待できます。

さらに、物件という確固たる担保があるため、市場価格の短期的な変動によって急な追加担保を求められたり、強制的に物件を売却されたりするリスクは、株式の信用取引に比べて低いと言えます。(ただし、ローンの種類や契約内容、金融機関の方針によっては条件変更などを求められるケースはゼロではありません。)
これらの違いをまとめると、以下のようになります。

項目不動産投資のレバレッジ株式投資の信用取引FX投資のレバレッジ
主な目的長期的な資産形成、インカムゲイン(家賃収入)短期的な売買差益(キャピタルゲイン)獲得短期的な売買差益(キャピタルゲイン)獲得
レバレッジ率の目安自己資金の数倍〜十数倍程度になることも(ローン比率による)保証金の約3倍国内だと証拠金の最大25倍(海外は数百倍も)
保有期間長期(10〜35年のローンが一般的)短期(制度信用取引は最長6ヶ月など)短期〜中長期
主な収益源家賃収入(インカムゲイン)、売却益(キャピタルゲイン)株価の値上がり・値下がりによる売買差益(キャピタルゲイン)為替レートの変動による売買差益(キャピタルゲイン)、スワップポイント
主な返済/決済方法毎月の家賃収入からローン返済売買差益や自己資金での決済、期日内の反対売買為替差益や自己資金での決済、反対売買
担保/証拠金の種類購入した不動産が担保現金や株式などの保証金現金などの証拠金
追加資金要求(追証)基本的に発生しない(※例外あり)株価変動により発生する可能性が高い為替変動により発生する可能性が高い(ロスカットの可能性)
強制決済リスク低い高い高い
市場変動の影響比較的緩やか(賃料や物件価格の変動)個別銘柄の変動、市場全体の影響が大きい為替レートの短期的な急変動、世界情勢の影響が大きい
インフレヘッジ期待できる限定的限定的

6.レバレッジをあなたの資産形成の力に

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不動産投資における「レバレッジ」は、自己資金の数倍規模の物件への投資を可能にし、上手に活用することで、少ない資金から効率的に資産を拡大し、安定したキャッシュフローを生み出す強力な手法です。

不動産投資は、適切な知識をもとにした計画的な運用で、比較的安定した収益を生み出すことができるため、まさにレバレッジ活用との相性が良い投資先といえるでしょう。

今回紹介したメリットとリスク、そしてそれらを管理するための具体的なポイントを意識し、自身の資産状況や目標に合わせた最適なレバレッジを追求していくことで、より効果的な資産形成を目指していきましょう。

(提供:Dear Reicious Online



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