馬に乗って行う団体球技競技「ポロ(Polo)」は、古くから富を象徴するスポーツとして、上流階級の人々に親しまれてきました。英王室のメンバーもこよなく愛するポロの魅力についてご紹介しましょう。

古代最古のチームスポーツ「ポロ」の歴史

金融
(画像= Samuel René Halifax/stock.adobe.com)

ポロの発祥は、2,000年以上前に遊牧民の戦士がプレーした試合とされています。記録に残っているトーナメントは、紀元前600年に行われたトルコ人とペルシャ人の試合です。

ポロという名前は、チベット語でボールや球技を意味する「Pholo」に由来します。ポロは現在、英国、米国、アルゼンチン、ニュージーランド、中国など、世界50ヵ国以上で定番スポーツとして親しまれています。

ポロの基本ルール

2組のチーム(各4人)が相手ゴールにシュートを決めるという点は、サッカーやバスケットボールと同じですが、ポロはすべての選手が馬に乗ってゲームを進めるという点が特徴です。

また、ポロは馬に乗って動き回るためフィールドが縦約274メートル、横約183メートルと広大です。試合は7分間のラウンドを1チャッカとして、4チャッカ戦い、多くゴールを決めたチームが勝者になります。2チャッカ終了後のハーフタイムを経て、後半の2チャッカが行われます。

ポロが富裕層に愛される理由

乗馬や競馬同様、ポロは維持にコストがかかる「馬」がメインのスポーツです。そのため、ある程度の経済力がないと定期的にはプレーできません。しかしそれだけが、富裕層ライフスタイルとして定着している所以ではありません。

人と馬が一体となって広大なフィールドでボールを追う、非常に激しいスポーツであるため、心身ともに鍛えられるほか、父親や息子、娘はプレーヤーとして、子どもは乗馬の練習など、家族全員で関わることができます。

また観戦では、プレーヤーの家族がフィールドの外で、ピクニック気分でランチやティータイムを共にするなど、家族同士が交流を深める社交場でもあります。

このような理由から、ポロは単なるスポーツの枠組みを超え、「家族の伝統スポーツ」として多くの富裕層に愛されているのです。

スポーツとして楽しむほか、プロのポロチームのパトロンになるという楽しみ方もあります。プロスポーツのように特定のチームに資金面などで後援するのとは違い、トーナメントの賞金を獲得する目的で、大会ごとにプロチームを雇う富裕層が多いようです。相場は週末あたり1チーム約15万ドル(約1,600万円)で、これ以外に馬のための費用が3万5,000ドル以上かかるといわれます。

英王室の伝統スポーツ

ジョージ5世(1865~1936年)からエディンバラ公爵フィリップ王配、チャールズ皇太子、ウィリアム王子とハリー王子まで、ウィンザー家(1917年以降の英国の王室メンバー)の男性は全員ポロのプレー経験があります。

近年では、イングランド南東部バークシャーのポロクラブで開催されたチャリティーマッチで、ウィリアム王子とハリー王子が試合に参加する様子がメディアで報じられました。

ラルフローレンのポロシャツの由縁

高級ブランドのカジュアルラインとして世界で人気のポロ・ラルフローレンは1968年、米国の若き起業家だったラルフローレン卿が、当時の富と成功の象徴であるアメリカンドリームへの願望として立ち上げたものです。イギリスの伝統的なスタイルをアメリカンテイストにアレンジし、成功をおさめました。

ブランド名として冠されたポロは、英国貴族文化へのあこがれが込められているとされています。その胸元に印象的なポロプレーヤーのマークが刻まれたポロシャツが発表されたのは1972年のこと。以来、ポロのスポーティさとライフスタイルのイメージを世界中に広めています。

このようにポロと富は非常に縁深く、世代を超えて上流階級に愛されるスポーツとして、今後も末永く受け継がれていくでしょう。

文・Allan
国際コンサル企業などの翻訳業務を経て、ファイナンシャルライターに転身。現在は欧州を基盤に、多数の大手金融メディアで執筆活動中。国際経済から投資、資産運用、FinTech、ビジネス、行動経済学まで、広範囲に渡る「お金の情報」にアンテナを張っている