希少価値のあるスーパーカーやクラシックカーの取引価格が世界的に好調です。日本でも従来の車愛好者に加えて “超高級車”に投資する人が急増中。このようなマーケットの盛りあがりを背景に、2019年からSMBC信託銀行がリリースした「高級車信託」も投資家から注目されています。超高級車の今をレポートします。

超高級車のマーケットは1000億円規模と好調

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(画像= Photographee.eu/stock.adobe.com)

はじめに希少価値のある超高級車マーケットの動向から見ていきましょう。ピクテ投信投資顧問会社によると、ナイト・フランクの調査において、高級クラシックカーの取引価格が2017年までの10年間で300%超も上昇したそう。これは投資対象であり現物資産として人気を集めるアート、ワイン、宝飾品・時計の上昇率を上回ります。

また、超高級車メーカーの多いドイツ南部で保有されているクラシックカーにおいて、2017年までの十数年間でこちらも300%超の上昇。世界の富裕層の人気を集めるポルシェ911やBMW503などにいたっては、600%超の値上がり率を見せています。

クラシックカーやスーパーカーの好調な市場を支えるのは、現物資産に分散投資したい投資家や、ハイリターンを狙う投資家たちです。世界中で超高級車オークションが盛んに開催されており、マーケット規模は1000億円規模に達しているともいわれます。

日本でも超高級車市場は販売台数が5年で約3倍と勢いがある

超高級オークションでとくに人気を集めているのは、数十年から半世紀以上前の中古車ですが、国内では超高級車の新車も好調。JAIA(日本自動車輸入組合)によれば、国内の2018年の超高級車の販売台数は、5年前の約3倍に達するとのこと。人気のある高級車メーカーとしては、ポルシェ、フェラーリ、ランボルギーニ、マクラーレン、アストンマーティン、ロールス・ロイスなどがあります。

例えば、2018年に発表されたフェラーリの新型スポーツカー「ポルトフィーノ」も2530万円という高価格にもかかわらず、愛好者・投資家の興味を引きました。現在の超高級車市場は中古、新車どちらのマーケットも勢いがあります。

超高級車に投資するデメリットと、それを補う「高級車信託」とは

一方、超高級車投資には「保管やメンテナンスが難しい」というデメリットも。値上がりしている超高級車には、数十年から半世紀以上経っているものも多く、細心の注意が必要になってきます。ずさんな保管やメンテナンスで車体やエンジンを傷めてしまえば、資産価値が大きく下がってしまうでしょう。

また、オーナーに万が一のことがあれば、超高級車の知識がない家族が保管や売却をするのに苦労する可能性もあります。こういったデメリットにフォーカスしてサービス開発をしたのが、SMBC信託銀行の「高級車信託」です。このサービスでは、SMBC信託銀行がオーナーに代わって高級車を保管、適切なメンテナンスを施し、将来の承継サポートまで行うというもの。

もちろん、SMBC信託銀行に超高級車取り扱いのノウハウがあるわけではないため、超高級車の分野に強いパートナー企業が保管・メンテナンス・オークションでの売却などを担っています。

超高級車マーケットの不透明な面も理解しよう

好況の超高級車マーケットですが、今後の動向も気になるところ。超高級車は現物資産とはいえ、取引価格や流動性は実態経済に大きく左右される面もあります。アメリカと中国の貿易戦争をはじめとする問題に直面し、グローバル経済の先行きは不透明です。そんな状況のなか、超高級車マーケットが好調を維持し続けるのか、経済の影響を大きく受け反転するのか、投資家の間でも意見が分かれるところです。

過去に目を転じると、1980年代の日本のバブル期にはフェラーリの価格が数倍まで上昇し、バブル崩壊とともに反動が出たということもありました。こういった歴史に学べば、世界経済や超高級車市場の動向をしっかり分析しながら投資をしていくスタンスが、何より重要といえるでしょう。

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