2021年3月9日から新規発行開始された「ヒルトン・オナーズ アメリカン・エキスプレス・カード」。北米以外では初となるアメックスとヒルトンの提携カードにはどのような特典があるのか?その魅力に迫ってみた。

1,ヒルトン・オナーズ アメリカン・エキスプレス・カードの基本スペックと審査基準

ヒルトン・アメックスの4つのメリット ホテル特典充実のカードの魅力は?
(画像=ヒルトン・オナーズ・アメリカン・エキスプレス・カード公式サイトより)

「ヒルトン・オナーズ アメリカン・エキスプレス・カード」(以下、「ヒルトン・アメックス」)では、ヒルトン・ポートフォリオ(ヒルトン系の各ホテルブランド)内ホテルで、朝食無料サービスや客室アップグレードなど、ヒルトンユーザーにメリットの大きい特典の数々が提供される。

まずは、このカードの基本スペックから見ていこう。

国際ブランド アメリカン・エキスプレス
年会費 1万6,500円(税込)
家族カード1枚目無料、
2枚目以降6,600円(税込)
ポイントサービス ヒルトン・オナーズ・ボーナスポイント
通常ポイント還元率 約0.7〜0.9%
ポイント交換対象 ホテル宿泊代金に充当
JCBギフトカード
JAL/ANAマイルなど
空港ラウンジサービス 国内28空港+ハワイ・ホノルル
付帯保険 海外旅行傷害保険(利用付帯)
国内旅行傷害保険(利用付帯)
ショッピング・プロテクション
追加カード 家族カード
ETCカード
プラスEXカード
電子マネー 【Apple Pay経由】
QUICPay
(※アメリカン・エキスプレスのホームページを参照し筆者作成)

審査基準・審査難易度……年収300万円以上が目安

パートやアルバイトの人は申し込み自体できないが、年金受給者は申し込みが可能だ。審査における年収条件は、新しいカードのため口コミ情報がなく不明だが、アメックス発行の他のカードから推測して年収300万円以上で審査通過の可能性があると考えていいだろう。

ステータス性……他社ゴールドカード相当

アメックス発行のカードはもともとステータス性が高く、またこのカードの年会費を考えると他社ゴールドカード相当といっていいだろう。ゴールドといってもステータス性に差があるが、比較的高い方と考えてよい。

「ヒルトン・オナーズ(Hilton HONERS)」のロゴ入りの青を基調とした落ちついたカードフェイスもステータスを感じさせる印象だ。

ヒルトン・オナーズ アメリカン・エキスプレス・プレミアム・カードとの違い

「ヒルトン・アメックス」には、その上位に「ヒルトン・アメックス・プレミアム(ヒルトン・オナーズ アメリカン・エキスプレス・プレミアム・カード)」というカードも存在する。参考までに2つのスペックを比較してみよう。

ヒルトン・オナーズ アメリカン・
エキスプレス・カード
ヒルトン・オナーズ アメリカン・
エキスプレス・プレミアム・カード
年会費年会費 1万6,500円 6万6,000円
家族カード税込年会費 1万円無料
2枚目以降6,600円
3枚目まで無料
4枚目以降1万3,200円
ヒルトン・
オナーズ会員資格
ヒルトン・オナーズ・
ゴールドステータス
ヒルトン・オナーズ・
ゴールドステータス
※年間200万円以上利用で
ダイヤモンドステータス適用
ヒルトン・オナーズ・
ボーナスポイント
通常のクレジット利用:
100円につき2ポイント
ヒルトンでの利用:
100円につき3ポイント
通常のクレジット利用:
100円につき3ポイント
ヒルトンでの利用:
100円につき7ポイント
ウィークエンド
無料宿泊特典
更新時に毎年1泊プレゼント
※プログラム期間中に
合計150万円以上の利用が条件
更新時に毎年1泊プレゼント
※利用条件なし
毎年最大2泊までプレゼント
※ プログラム期間中に
合計300万円以上の利用の場合
ヒルトン・プレミアム・
JAPAN(HPCJ)特典
年会費1万円(税込)
※通常年会費2万5,000円(税込)
初年度年会費無料
2年目以降、年会費1万円(税込)
※通常年会費2万5,000円(税込)
空港ラウンジサービス 国内28ヵ所+海外1ヵ所
同伴者1名まで無料
手荷物無料宅配サービス スーツケース1個無料
旅行傷害保険 海外最高3,000万円(利用付帯)
国内最高2,000万円(利用付帯)
海外最高1億円(利用付帯)
国内最高5,000万円(利用付帯)
その他の付帯保険 年間200万円限度の
ショッピング・プロテクション
最高4万円の海外航空便遅延費用
年間10万円限度のキャンセル・プロテクション
年間500万円限度のショッピング・プロテクション
年間15万円限度のリターン・プロテクション
年間3万円限度のスマートフォン・プロテクション
(※アメリカン・エキスプレスのホームページを参照し筆者作成)

見ての通り、「ヒルトン・アメックス・プレミアム」はよりポイントが貯まりやすく、さらにヒルトン関係の特典と付帯保険が大きく拡充されている。ただし、年会費が5万円ほども違うので、ヘビーユーザーといえるくらいにヒルトンの利用が多い人でないと、年会費の元は取れないだろう。

2,ヒルトン・オナーズ アメリカン・エキスプレス・カードの4つのメリット

このカードのメリットは何といってもヒルトン関連の特典だ。ここではそれを中心に4つのメリットを紹介しよう。

メリット1,ヒルトン・オナーズの上級会員資格「ヒルトン・オナーズ・ゴールドステータス」適用 客室アップグレードなどの優待が提供

通常、1年間に20回の滞在、または40泊、あるいは年間7万5,000ヒルトン・オナーズ・ポイント(後述)を獲得しないと付与できない「ヒルトン・オナーズ・ゴールドステータス」が無条件に適用される。

このステータスにより、さまざまな優待や特典を世界中のヒルトン・ポートフォリオ内のホテルやリゾートで利用できる。ヒルトン・ポートフォリオに含まれるホテルブランドは「ヒルトン」「ヒルトン・グランド・バケーション」「ヒルトン・ガーデン・イン」「ウォルドーフ・アストリア」「コンラッド」「キュリオ・コレクション」「ダブルツリー」など。

提供される特典・優待は以下の通りだ。

・エリートステータスボーナス
ヒルトン・ポートフォリオ内のホテルに宿泊することで得られる「ヒルトン・オナーズ・ベースポイント」に対して80%のボーナスポイントが自動的に加算。通常1米ドルの利用につき10ポイント(ベースポイント)が付与されるところ、8ポイント(ボーナスポイント)が加算され、1米ドルの利用につき18ポイントの付与となる。

・5泊目無料宿泊
5連泊以上の宿泊を全額ポイント利用で予約した場合、5泊ごとに5泊目が無料になる。

・ホテル特典
その他、次の特典が利用可能となる(一部対象外ホテルあり)。

・予約変更および返金可能な割引宿泊料の提供
・滞在中の客室内およびロビーでのWi-Fi無料
・レイトチェックアウト
・2人目宿泊無料
・デジタルチェックイン可能
・1滞在につきボトルウオーター2本無料

・ホテルグループごとの特典
さらに、ホテルブランドごとに次の特典も提供される。

ウォルドーフ・アストリア・
ホテルズ&リゾーツ
· 空室状況によりプリファードルーム
(良部屋)へアップグレード
· 1滞在につき1,000ボーナスポイント、または
滞在中毎日コンチネンタルブレックファストを
サービス(会員+同室宿泊の1名まで)
LXRホテルズ&リゾーツ
コンラッド・ホテルズ&リゾーツ
キュリオ・コレクションbyヒルトン
ヒルトン・ホテルズ&リゾーツ
ダブルツリーbyヒルトン
タペストリー・コレクションbyヒルトン
· 空室状況によりプリファードルーム
(良部屋)へアップグレード
· 1滞在につき1,000ボーナスポイント、
または滞在中毎日コンチネンタルブレックファストを
サービス(会員+同室宿泊の1名まで)
キャノピー・バイ・ヒルトン · 空室状況によりプリファードルーム
(良部屋)へアップグレード
· 1滞在につき500ボーナスポイント、
または滞在中毎日コンチネンタルブレックファストを
サービス(会員+同室宿泊の1名まで)
エンバシー・スイーツ・ホテルズ · 1滞在につき500ボーナスポイント、
またはお好みのスナックと飲み物
(1滞在につき2セット)
ヒルトン・ガーデン・イン · 1滞在につき750ボーナスポイント、
または滞在中毎日、注文により用意する
温かい朝食をサービス(会員+同室宿泊の1名まで)
ハンプトン・バイ・ヒルトン · 1滞在につき250ヒルトン・オナーズ・ボーナスポイント、
またはお好みのスナックとソフトドリンク
トゥルー・バイ・ヒルトン · 1滞在につき250ボーナスポイント、
またはお好みのスナックとボトルウオーター2本
ホームウッド・スイーツ・バイ・ヒルトン · 1滞在につき250ボーナスポイント、
または1滞在につきボトルウオーター2本とお菓子
ホーム2スイーツ・バイ・ヒルトン 1滞在につき100ボーナスポイント、
またはお好みのスナックとボトルウオーター
ヒルトン・グランド・バケーション 1滞在につき1,000ボーナスポイント
コンラッド・モルディブ・
ランガリ・アイランド
· ボトルワイン1本サービス
· チョコレート&フルーツサービス
· ハッピーアワー(ドリンク割引時間帯)提供
ウォルドーフ・アストリア・
モルディブ・イターフシ
· ワインとフルーツ盛り合わせサービス
· ワイン&カクテル無料サービス
· ビーチクラブでドリンク半額
サイ・ラグーン・モルディブ・
キュリオ・コレクション・
バイ・ヒルトン
· 部屋アップグレード
· スパークリングワイン&ドライフルーツ
&タイライスクラッカーサービス
· レイトチェックアウト
(※アメリカン・エキスプレスのホームページを参照し筆者作成)

以上、見て分かるようにヒルトン・ポートフォリオ内ホテルのユーザーにとって非常にお得な特典が満載されている。このカードは一般的なゴールドカードより6,000円ほど年会費が高いが、「2人目宿泊無料」の特典が適用された場合、1〜2回の利用で十分元が取れてしまいそうだ。

メリット2,カード独自の特典でさらにヒルトンがお得に! 毎年1回の無料宿泊も可能

「ヒルトン・オナーズ・ゴールドステータス」とは別に、このカード自体の特典もヒルトン系のホテルがお得になる仕組みが提供されている。

・ウィークエンド無料宿泊特典
年間で合計150万円以上のカード利用があった上で翌年度もカードを継続すると、ヒルトン・ポートフォリオ内ホテルで利用できる「ウィークエンド無料宿泊特典1泊分」がプレゼントされる。これは金・土・日のいずれかに利用可能で、スタンダードルームに空室がある場合に2名1室分として宿泊できる。なお、特典を利用できるのは本会員のみとなる。

・ヒルトン・プレミアムクラブ・ジャパン【HPCJ】年会費優待
「ヒルトン・プレミアムクラブ・ジャパン【HPCJ】」は国内17ホテルと韓国2ホテルを対象に割引を受けられる優待プログラム。このプログラムの適用により、宿泊が25%オフ、レストランが最大20%オフとなる。

通常のプログラム年会費は2万5,000円(税込)だが、本会員と家族カード会員は1万円の年会費で利用できる。また、年会費を支払うと国内対象ホテルで使える5,000円割引券が2枚プレゼントされる。

プログラム対象ホテルの一覧は次の通りだ。

ヒルトン
ニセコビレッジ
ヒルトン東京 コンラッド東京 ヒルトン
東京お台場
ヒルトン東京ベイ ヒルトン
小田原リゾート&スパ
ヒルトン成田 ヒルトン大阪
コンラッド大阪 ヒルトン名古屋 旧軽井沢KIKYO キュリオ・コレクション
byヒルトン
ヒルトン
福岡シーホーク
ヒルトン
沖縄北谷リゾート
ダブルツリー
byヒルトン那覇
ダブルツリー
byヒルトン那覇首里城
ヒルトン
沖縄瀬底リゾート
コンラッド・ソウル ヒルトン釜山
(※アメリカン・エキスプレスのホームページを参照し筆者作成)

ウィークエンド無料宿泊特典は、条件となる年間150万円のカード利用が容易に達成できる金額であり、普通に使っていれば確実に獲得可能だ。2名で1泊無料と考えるならこれだけでカード年会費の元が取れると考えてもいいだろう。

一方、「ヒルトン・プレミアムクラブ・ジャパン【HPCJ】年会費優待」は、対象ホテルの利用が多いならプログラム年会費を支払ってでもメリットは大きい。

メリット3,アメックスのトラベルサービスで旅が便利に 空港ラウンジサービスの他、手荷物無料宅配も

国内28空港とハワイ・ホノルルの空港で利用できる空港ラウンジサービスの他、空港などで利用できる各種トラベルサービスが充実している。次にまとめて紹介しよう。

サービス名 サービス内容
空港パーキング 以下の空港パーキングを
割引料金で利用できる
サンパーキング成田店:38%オフ
安い関空駐車場:20%オフ
VIPカーデリバリーサービス
(関西国際空港):20%オフ
空港クロークサービス 待ち時間などに荷物を2個まで
無料で預かってくれるサービス(中部国際空港)
手荷物無料宅配サービス 海外旅行からの帰国時、空港から自宅まで
会員1名につきスーツケース(またはゴルフバッグ)
1個を無料で配送
(成田国際空港・中部国際空港・関西国際空港)
大型手荷物宅配優待特典 海外旅行の際、大型手荷物宅配が
会員1名につき1,000円(税込)割引となる
(成田国際空港・中部国際空港)
海外用レンタル電話 海外用レンタル携帯電話をレンタル料半額、
通話料10%オフで利用できる
レンタカーの国内利用 国内の指定レンタカー会社を5%オフで利用できる
(オリックスレンタカー・トヨタレンタカー・日産レンタカー・
ニッポンレンタカー・タイムズ カー レンタル)
(※アメリカン・エキスプレスのホームページを参照し筆者作成)

このうちメリットが大きいのは手荷物無料宅配サービスだろう。大型手荷物優待もあるので、海外旅行が多く、かつ荷物の多い人には特にお得度が高い。

メリット4,最高3,000万円の旅行傷害保険 年間200万円限度のショッピング・プロテクションが付帯

「ヒルトン・アメックス」には海外・国内旅行傷害保険とショッピング・プロテクション(ショッピング保険)が付帯する。

・海外・国内旅行傷害保険……家族にも補償が適用
海外最高3,000万円・国内最高2,000万円の旅行傷害保険が付帯。いずれも旅行代金のカード払いを行った場合に付帯する利用付帯となる。なお、海外・国内とも家族カードを持たない家族にも補償が適用される。

海外旅行傷害保険(利用付帯)

保険金の種類 本会員・家族会員 会員の家族
傷害死亡・後遺障害 最高3,000円 最高1,000万円
傷害治療費用 最高100万円
疾病治療費用 最高100万円
賠償責任 最高3,000万円
携行品損害 1旅行中最高30万円
(免責金額3,000円・年間限度額100万円)
救援者費用 保険期間中最高200万円
(※アメリカン・エキスプレスのホームページを参照し筆者作成)

国内旅行傷害保険(利用付帯)

保険金の種類 本会員・家族会員 会員の家族
傷害死亡・後遺障害 最高2,000円 最高1,000万円
(※アメリカン・エキスプレスのホームページを参照し筆者作成)

・ショッピング・プロテクション(ショッピング保険)……年間最高200万円
このカードで購入した商品が購入日から90日以内に偶然の事故で損害を被った場合に、年間200万円まで補償される(免責金額1事故1万円)。

これらの付帯保険のうち、旅行傷害保険は年会費を考えるとそこまで良い条件とはいえない。ただし、家族にも補償が適用される点はメリットといっていいだろう。

特に海外旅行時には少々心もとない補償金額なので、旅行代金のカード払いの有無にかかわらず補償が適用される自動付帯の保険が付いたクレジットカードを他に持つか、保険商品に加入するなどして旅行中の万が一に備えたい。

3,ヒルトン・オナーズ アメリカン・エキスプレス・カードのポイント還元率は?

このカードはアメックスのポイントではなくヒルトンのポイントが貯まる。

貯まるポイントと還元率……0.7〜0.9%が目安

貯まるポイントは「ヒルトン・オナーズ・ボーナスポイント」で、クレジット払い100円ごとに2ポイントが付与。ヒルトン・ポートフォリオ内ホテルでは、100円の支払いにつき3ポイントが付与される。

還元率はポイントの利用対象によって異なるので定めにくいが、このカードを持つ人の多くはポイントを宿泊代金の支払いに充当するケースが多いだろう。その前提で試算すると、通常のクレジット利用分のポイント還元率は約0.7〜0.9%となる。一例としてコンラッド東京の宿泊料金に充当したケースを挙げてみよう。

・シティビューツインルーム2人1室 4月9日(金)から1泊
現金で支払った場合:3万4,000円 ポイントで支払った場合:9万5,000ポイント このケースでは1ポイント=約0.36円の価値と見なせるため、ポイント還元率は約0.72%となる 

・シティビューツインルーム2人1室 5月1日(土)から1泊
現金で支払った場合:4万2,000円 ポイントで支払った場合:9万5,000ポイント このケースでは1ポイント=約0.44円の価値と見なせるため、ポイント還元率は約0.88%となる

ホテルによって、また繁忙期か否かによってポイントを宿泊代金の支払いに充当する使う場合の価値は大きく違ってくるので、ここで試算した還元率はあくまで目安と考えてほしい。

ポイントは18ヵ月間アカウントの利用がない場合に失効してしまうが、ポイント残高の復元は可能。実質無期限といっていいだろう。

貯まるポイント ヒルトン・オナーズ・ボーナスポイント
ポイントの貯まり方 100円ごとに2ポイント
通常還元率 約0.7〜0.9%
有効期限 最終アカウント利用から18ヵ月(実質無期限)
(※アメリカン・エキスプレスのホームページを参照し筆者作成)

ポイント還元率をアップする2つの方法……8.5%還元も狙える

より多くのポイントを獲得する方法を2つ紹介しよう。

・方法1,入会特典として合計2万5,000ポイント獲得可能
入会特典として次のボーナスポイントが付与される。なお、これらは通常のクレジット利用ポイントとは別の付与となる。

・入会により2,000ポイント
・入会1ヵ月以内に1,000円以上のカード利用10回で3,000ポイント
・入会後3ヵ月以内に合計30万円以上のカード利用で1万ポイント
・入会後6ヵ月以内に合計75万円以上のカード利用でさらに1万ポイント

いずれも比較的達成しやすい条件なので、これらは確実に獲得しておきたい。

・方法2,ヒルトン・ポートフォリオ対象ホテルの利用
先に触れたように「ヒルトン・オナーズ・ゴールドステータス」資格により、ヒルトン・ポートフォリオ内ホテルの宿泊時に1米ドルの利用につき18ポイントが付与される。

そこで、5万円(2021年4月9日の為替レートで約457米ドル)の宿泊料を支払った場合で考えてみると、クレジット利用分の獲得ポイント1,500ポイント(100円につき3ポイント付与)と、ゴールドステータスによる獲得ポイント8,226ポイントを合計すると、9,726ポイントを獲得できる。

このポイントをホテル宿泊に利用する場合、先ほど算出した目安でいうと3,501〜4,279円相当の価値になるだろう。還元率換算では約7.0〜8.5%の超・超高還元だ。「ヒルトン・アメックス」を使う上でこれは頭に入れておきたい要点となる。

ヒルトン・オナーズ会員は宿泊支払いの他、レンタカー利用やレストラン利用、旅行商品の購入などでもポイントを獲得できるが、ポイント付与対象となっているサービスの多くは日本では利用できない。クレジット利用ポイントとの二重取りを狙うのは、ヒルトン・ポートフォリオ内ホテルの利用が主となるだろう。

ポイントの使い道……ホテル以外でも使えるが還元率は高くない

貯まったポイントは先に説明したようにホテルの宿泊代金に充当できる。その際、全額をポイントで支払う他、ポイント充当と現金払いを組み合わせることも可能だ。また、ホテル内のレストランやスパトリートメントなどのサービスの支払いにも充当できる。

その他、ポイントはJALとANAを含む世界の主要航空会社のマイルへの交換の他、「インターナショナル・ヒルトン・オナーズ・ショッピングモール」での商品購入にも利用できる。同モールではギフト券の購入も可能だ。参考までにいくつかの交換対象を紹介しょう。

交換対象 必要ポイント 交換対象単位
JALマイル 1万ポイント 1,000マイル
ANAマイル
JCBギフトカード 1万1,270ポイント 1,000円分
QUOカード 1万1,500ポイント
全国百貨店共通商品券 1万1,820ポイント
図書カードNEXT 2万2,225ポイント 3,000円分
JCBプレモカード 3万5,665ポイント 5,000円分
沖縄美ら海水族館 3万3,725ポイント ペア入館チケット
富士サファリパーク 4万790ポイント ペアチケット
なだ万 10万8,455ポイント ランチペア
(※アメリカン・エキスプレスのホームページを参照し筆者作成)

このようにポイントはホテル以外での利用も可能なわけだが、いずれも還元率換算するとホテルでの利用と比べて価値が目減りする。そこで、基本的にはヒルトン・ポートフォリオ内のホテルでの利用を心掛けた方が良さそうだ。

4,ヒルトン・オナーズ アメリカン・エキスプレス・カードの2つのデメリット

ハイスペックな「アメックス・プラチナ」のデメリットを挙げるとすれば次の2点となる。

デメリット1, ホテル利用が少ない場合はメリットが薄い

ここまで見てきて分かるように、このカードのベストな使い方はヒルトン・ポートフォリオ内のホテルでの利用と日常的なクレジット利用で貯めたポイントを、同ホテルグループで利用する形となる。

そのため、何らかの理由でそれらのホテルの利用頻度が減ってしまうと、年会費の割にそこまでメリットのないカードになる。

デメリット2,国際ブランドとしての加盟店シェアが小さい

アメックスの自社発行カードのステータス性は非常に高いといっていいが、国際ブランドとしての使い勝手に少々難があり、加盟店シェアが比較的少ないために店舗で使えないケースもある。

日本ではJCBとのパートナーシップにより使える店舗も多いが、海外旅行時には加盟店数シェアの大きいVISAブランドやMasterCardブランドのカードと併用したいところだ。

5,ヒルトン・オナーズ アメリカン・エキスプレス・カードはどんな人におすすめ?

ヒルトン・ポートフォリオ内ホテルをよく利用する人なら、ポイントをヒルトンで貯めてヒルトンで使うお得な使い方ができるので、お間違いなくおすすめのカードだ。

もちろん、「ヒルトン・オナーズ・ゴールドステータス」適用によるさまざまな優待も大きなメリットとなってくれる。

なお、メリットの項目に挙げてはいるが、旅行傷害保険の金額がやや少ないので、海外旅行時などは他のクレジットカードの付帯保険を併用したり、別途保険商品を購入したりするなどの対処を取れるだけの知識があることも条件の一つとなるだろう。

執筆・モリソウイチロウ(ライター)
「ZUU online」をはじめ、さまざまな金融・経済専門サイトに寄稿。特にクレジットカード分野では専門サイトでの執筆経験もあり。雑誌、書籍、テレビ、ラジオ、企業広報サイトなどに編集・ライターとして関わってきた経験を持つ。

MONEY TIMES

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