●リアモーターのパワーが約14倍!
正直、ひさびさに走って目からウロコが落ちたって感じだ。
それは、新型日産ノートe-POWER 4WD! ウワサには、いままでの乗用ハッチバック、トヨタ・ヤリスやホンダ・フィットのような補助的4WDじゃないとは聞いてたが、ここまですごかったとは。
大袈裟だがオマエはプチ電動GT−Rか? といいたいくらいの本気のスポーツ4WDの走りであり、ハンドリングなのである。
もちろんスペックを見た時点で、ある程度予想できていた。
四駆システムはいわゆるトヨタのE-Fourのような完全電動の分離型。リアアクスルに単独モーターを配し、制御でフロントと同期させるだけだ。
プロペラシャフトを使い、フロントからリアにパワーを分岐させる古典的なシステムではない。
しかも日産のe-POWERは、確かに1.5Lエンジンをフロントに横置きするが、トヨタハイブリッドのように直接タイヤを駆動させたりはしない。
エンジンパワーは100%発電に使い、生まれた電気を使ってフロントモーターを駆動させるシリーズハイブリッド。
日産的には「電気で走るEV」といいたいわけで、ある意味100%EVのリーフの弟分的ポジションにいる。
しかも新型は旧型のノートe-POWER 4WDと比べるとパワフルさがまったく異なる。
以前のリアモーターはわずか4.8psだったが、今回は約14倍の68psを発揮し、最大トルクも100Nm。
フロントモーターと合わせると184ps&380Nmというかなり強力なスペックなのだ。リチウムイオン電池搭載量はFFから変わってないとはいえ。
オマケに旧型は時速30kmまでしかリアモーターが作動しないが、今回は全速度域。
だから、ある程度スポーツ走行に振るとは思っていたが、ここまで走りが楽しいとは想像できなかったのだ。
●実は理想的な日産×三菱コラボ作品?
肝心の新型e-POWER 4WD、見た目はFFモデルと変わらない。グリル模様も基本同じだし、ライト類も同じ。リアエンブレムに「e-POWER 4WD」と付いているだけだ。
ただしリアから床下を見るとリアアクスル中央に大きいモーターが付いているのがわかる。ラゲッジルームも荷室アンダートレイ分モーターやコントローラにスペースが取られている。
ラゲッジ容量はFFが340Lのところを4WDは260Lと減っている。だが、リアシートのリクライニング機能は変わらなく、逆にシートを倒すとフルフラットになって使いやすい面もある。
なにより全体の速さと質感だ。発進からして加速がひと味力強い。
さすがに68ps&100Nmのアップは効いていて、4WD化した分、車重は120kg増えて1340kgになっているがそれにもめげず速い。
同時にボディが重い分、乗り心地はよりしっとりしている。
さらにいいのがコーナリングで、前輪と後輪に同時にトルクがかかっているからボディ全体がグッと踏ん張っているのが把握できる。
前後Gやコーナリング状況によって絶妙に前後トルク配分を変えているから曲がりやすい。
まさにステアリングを切ったとおり、アンダーステア感まったくナシで曲がるのだ。
意外な副産物がブレーキングのキモチ良さで、ブレーキング時はもちろん、アクセルオフの状態でも前後に自然に減速Gをかけることができるため、姿勢は安定する。
走る、曲がる、止まる、すべてがいい方向に働いているのだ。
聞けばこのリアモーターは、同じアライアンスを組む、三菱アウトランダーPHEV用がベースになっているという。
ここからは想像だが、三菱がランエボ、アウトランダーと培ってきた電動四駆システムのノウハウが詰まっているとみてもいいだろう。
だからここまで楽しい電動4WDハッチバックができたのだと。実際単なる生活四駆のレベルを超えている。
逆にその楽しさをうたわなかったのは、三菱の技術がベースにあったからかもしれない。
個人的には逆に、もっと「日産×三菱、夢のコラボ」「三菱がいたから生まれ変わった日産4WD」とアピールすればいいと思うが、そこに妙な遠慮、もしくはプライドが働いたのかも? とか。
単なる小沢の思い過ごしだったらいいんですけどね(笑)。
(提供:CAR and DRIVER)