FX取引にはさまざまな注文方法がある。FXでリターンを最大化したいなら、注文方法の違いを知り、使い分けることが重要だ。自動で売買できる注文方法をフル活用すれば、本業で忙しく常に相場をチェックできなくても、高いリターンを得られる可能性もある。

この記事では、FX取引における注文方法について解説する。

FX取引における注文方法の重要性

FX,注文方法
(画像=PIXTA)

朝から晩まで相場をチェックしていられるなら、リアルタイムで売買するだけでも、チャンスを逃さずリターンを狙えるかもしれない。しかし、大半の人は本業やプライベートの予定があり、食事や睡眠の時間も必要なため、常に相場をチェックするのは現実的ではないだろう。

だからこそ、「常に相場を見ていなくても自動でリターンを狙うことができる」さまざまな注文方法が開発された。注文方法の種類や違い、活用法を知ることで、投資に割く時間を最小限に抑えつつ、チャンスを逃さずリターンを狙えるようになるだろう。

FX取引の前に理解しておきたい6つの注文方法

続いて、FX取引をするならぜひ知っておきたい基本の注文方法を6つ紹介する。

●成行(なりゆき)

リアルタイムのレートで注文を成立させる方法だ。1ドル=100円で成行注文をすると、原則として1ドル=100円で注文が成立する。

最も簡単で、今すぐ「売りたい/買いたい」という場合に適している。すぐにでも取引を成立させて損失の拡大を食い止めたい場合なども成行注文を行う。

ただし、レートを指定せずに注文するため、相場の変動が大きいときは「思っていたより高い/安い」価格で注文が成立してしまう可能性がある。その点には注意し、FX会社ごとの注文成立までの時間なども考慮して成行注文を行うようにしたい。

●指値(さしね)

「現行レートより安い価格で買いたい/高い価格で売りたい」という場合に、あらかじめレートを指定して注文する方法だ。

例えば、次のようなケースだ。現在1ドル=100円のとき、「1ドル=90円になったら買う」と注文を出しておく。1ドル=100円で購入したドルがあり、「1ドル=110円になったら売る」と注文を出しておくことも可能だ。いずれも条件を満たせば、自動で注文が成立する。

成行注文と違い、あらかじめ指定しておけば自動で注文が成立するのがメリットだ。一方で、指定した条件を満たさなければ、注文が成立せずチャンスを逃してしまう可能性もある。どのような条件を指定するかは、相場を踏まえてよく検討することが大切だ。

●逆指値(ぎゃくさしね)

「現行レートより高い価格で買いたい/安い価格で売りたい」というときに価格を指定して注文する方法だ。基本的に、投資では「安く買って高く売る」ことで利益を得る。指値注文は、この原則にのっとっている。一方、逆指値注文は、「不利なときに買い、不利なときに売る」注文方法だ。

例えば、次のようなケースに活用される。1ドル=100円でドルを購入した後、もし1ドル=90円になったとしたら、それ以上の損失拡大を防ぐため売却を考えるだろう。このようなときは、「1ドル=90円になったら売る」と逆指値注文をしておくことで、損切(そんぎり)ができる。

また、現在は1ドル=90円だが、1ドル=100円になったとしたら相場が急上昇しそうだという兆候があるとき、「1ドル=100円になったら買う」と逆指値注文を出しておくことで、上昇相場に乗れる可能性がある。ただし、兆候を見極めるのは難しく、やや上級者向けの方法と言えるだろう。

●IFD(イフダン)

IFD注文とは、「If done」の略で、新規注文(一次注文)と決済注文(二次注文)をセットで注文する方法を指す。

例えば、現在1ドル=100円のとき、「1ドル=90円になったら買い、1ドル110円になったら売る」という新規注文から決済して利益確定までの一連の流れをセットで注文できる。また、「1ドル=90円になったら買い、1ドル=80円になったら売る」というように、損切できるようにしておくのも1つの方法だ。

「指値注文や逆指値注文を2つ出しておけばいいのでは?」と思う人もいるかもしれない。しかし、指値注文や逆指値注文では、1つ目の注文が成立しなくても、2つ目の注文が成立してしまう可能性がある。

IFD注文の場合、1つ目の注文が成立しない限り2つ目の注文も成立しない。だからこそトレーダーにとって使い勝手のいい注文方法と言える。

ただし、IFD注文では、利益確定か損切かどちらかしか選ぶことができないので、注意しよう。

●OCO(オーシーオー)

OCO注文とは、「One Cancels the Other」の略で、「指値」と「逆指値」の2通りの注文を同時に出す方法を指す。OCO注文では、利益確定と損切をそれぞれ指定しておくことができる。

例えば、1ドル=100円でドルを買ったとき、「1ドル=110円、もしくは1ドル=90円になったら売る」という注文を出すことができる。これがOCO注文だ。レートが上がった場合と下がった場合のそれぞれを見越して、利益確定と損切の両方を同時に指定しておける。

OCO注文では、その名の通り、1つの注文が成立すればもう1つの注文は自動でキャンセルされる。先述の例で言えば、1ドル=110円になって売却した場合、「1ドル=90円になったら売る」という注文は自動でキャンセルされるのだ。

●IFO(イフダンオーシーオー)

IFO注文とは、IFD注文とOCO注文の2つを組み合わせた注文方法だ。

例えば、現在1ドル=100円だとして、「1ドル=90円になったら買う」「その後、1ドル=100円になったら売る、1ドル=80円になったら売る」という注文をすべてセットで出しておける。こうすれば、新規注文から利益確定、もしくは損切を一連の流れで行うことができる。

IFO注文では、最初の注文が成立しない限り、後半の注文は成立しない。また、後半の注文では、一方が採用されれば、もう片方は自動でキャンセルされる。本業で常に相場を見ることができない忙しい人も、IFO注文を上手に活用すれば、FXで利益を上げられる可能性が高まるだろう。

ただし、IFD注文やOCO注文と比べて、かなり複雑な注文方法なので、使いこなせるようになるまでには一定の経験が必要だ。それぞれどのレートを指定するかの見極めも非常に重要となる。

そのほかの知っておきたい注文方法

基本の6つの注文方法以外にも、さまざまな注文方法が考案されている。続いて、トレール注文と自動売買ソフトについて解説する。

●トレール注文

トレールは「追跡する」という意味だ。レートの上昇とともに、決済の逆指値注文が一定幅で相場についていく注文方法を指す。

例えば、現在1ドル=100円で、1ドル90円になったら買いたいという場合、まず「1ドル=90円で買う」と指値注文を出す。そのうえで、トレール幅を5円に設定して逆指値注文を出す。そうすると、注文が成立した1ドル=90円から5円下がり、1ドル=85円になったとき、自動的に決済され損切ができる。

ここまでなら「1ドル=85円になったら売る」と逆指値注文を出したことと変わりない。トレール注文が力を発揮するのは、相場が上がったときだ。1ドル=90円で注文が成立した後、1ドル=100円に上昇したとする。このとき、決済が成立する水準が1ドル=95円に修正される。

つまり、相場の上昇にともない、常に5円幅で決済が成立するラインが上昇していくということだ。下落した場合、ラインが下降することはなく、決められたレートで決済注文が成立し、利益確定・損切ができる。

例えば、「1ドル=90円で買う」と指値注文を出し、「1ドル=85円になったら売る」と逆指値注文を出した場合を考えてみよう。しばらくして相場を見ると、一時期1ドル=110円にまで上がったが、現在は1ドル=90円に戻っており、「あのとき利益確定しておけば……」と後悔することになるだろう。

トレール注文なら、1ドル=110円になった時点で、決済が成立するラインが1ドル=105円となる。そのため、1ドル=105円になった時点で、自動で決済が成立する。相場を見ていなくても、相場の変動に合わせて利益を確定させられるのがトレール注文の魅力だ。

●自動売買ソフトの活用

FX取引では自動売買ソフトを活用するという選択肢もある。自動売買ソフトとは、システムが自動でトレードしてくれるソフトだ。「システムトレード」とも呼ばれ、略して「シストレ」とも呼ばれる。

自動売買ソフトでは、例えば「レートが1ドル=〇円になったら買う」「テクニカル分析の数値が一定値を超えたら買う」などあらかじめ設定しておける。

自動売買ソフトを活用すれば、24時間チャンスを逃さずトレードできる。また、感情に左右されず、あらかじめ自分で設定したルールにのっとって淡々とトレードを繰り返せるのも自動売買ソフトのメリットだ。本業で忙しい人や、投資に時間を割きたくない人にも適している。

自動売買のプログラムは、自分で開発してもいいし、開発者が販売しているプログラムを購入して使ってもいい。ただし、設定の難易度はプログラムにより異なるので、自分自身のこだわりや経験値、使いたい機能などをもとに選ぶようにしたい。

注文方法が正しく機能するかにも注目

相場変動によって、指定したレートと実際に注文が成立したレートにかい離が生じることがある。これをスリッページという。多くのFX会社では、許容できるズレの範囲をあらかじめ指定できる。そうすれば、許容できる範囲を超えたときは、自動で注文が不成立となる。

注文を成立させる力である「約定力(やくじょうりょく)」は、FX会社によって異なるといわれている。特に短期トレードを中心に利益を狙う場合、約定力によって結果は大きく左右される。そのため、FX会社を選ぶ際は、約定力も考慮して選ぶようにしたい。

注文方法を使いこなして適切なトレードを

さまざまな注文方法を使いこなすことができれば、時間を割かなくてもリターンを狙えるようになる。

成行注文しか経験がないという人は、指値注文・逆指値注文から取り組んでみてはいかがだろうか。経験を積む中で、どんな場面でどの注文方法を選ぶべきか、レートや値幅はどのように設定すればいいか、自分なりのノウハウが蓄積されていくだろう。