FXの自動売買とは？どのように利用するのがおすすめかを解説

「FX取引をしてみたいけれどチャートの見方に自信がない」「相場を見る時間を作るのも難しそう」といった理由で、FX取引になかなか踏み切れない人も多いだろう。そうした知識や時間不足でFX取引を始めるかどうか迷っている人は、「自動売買」の利用を検討してみてはいかがだろうか。

この記事では、自動売買の仕組みからメリット・デメリットまでを解説する。

FXの自動売買とは

FXには、大きく分けて2つの売買方法がある。「自動売買」と「裁量取引」だ。それぞれの特徴をまとめると以下のようになる。

自動売買は、システムが自動的にデータを分析して注文を出すため、初心者でも利用しやすいのが特徴だ。一方、裁量取引は、データを自分で分析し売買タイミングを決定する必要がある。もちろん注文入力作業も自らで行わなければならない。ある程度FX取引に慣れた人におすすめの取引と言えるだろう。

自動売買の特徴をつかんだところで自動売買ツールについて以下で解説していこう。

自動売買ツールの種類

自動売買ツールには、以下の4つの型がある。それぞれ詳しく紹介するので、自分に合ったものを選ぶとよいだろう。

・リピート型
・選択型
・設定型
・MT4

●リピート型

リピート型は、事前に決めておいた値幅の中で売買を繰り返すものだ。値幅の中で売買の指定価格を決めて、指定価格になったら買い（もしくは売り）、値動きしたら指定価格で売る（もしくは買う）を継続して行う。

裁量取引の場合、大きな利益を狙うために、大きな値動きがあったときに注文を出すという手法をとる人もいるだろう。しかし、リピート型の取引の場合は、小さい値動きで売買を繰り返し、少しずつ利益を積み重ねることになる。「売買タイミングを決める時間がない」「少しずつFX取引を始めていきたい」という人向きの取引方法と言える。

●選択型

選択型は、FX会社が考えた売買戦略の中から自分の考えに合ったものを選択し自動で取引を行ってもらう手法だ。中には、「自動売買をしてみたいけれどFXに全く触れたことがないから値幅や売買価格を決めると言われても……」という人もいるだろう。選択型なら、プロが選んだ戦略をそのまま使えるため、値幅や価格に迷うことはない。

●設定型

設定型は、自分で立てた売買戦略を入力しておくことで、その設定に従って自動的に取引をしてくれるものだ。「FX会社が提示する戦略から選択するのは物足りない」「相場を見ながら注文を出す時間はないが自分の考えで取引を行いたい」という人に向いている。ただし相場のトレンドが変わるたびに戦略の見直しと取引ツールへの入力が必要となる点には注意が必要だ。

●MT4

MT4は、上級投資家に評判の高いFX取引ツールだ。チャートと分析ツールの種類が豊富な点が人気の理由だ。自分の使いたいチャートや分析ツールを簡単に表示でき、自動売買も自分が画面を見やすいようにカスタマイズできる点がメリットと言えるだろう。

しかしMT4を導入しているFX会社は限られている。利用したい場合は、導入している会社を選ばなければならないので、注意しよう。チャートや分析ツールの種類は非常に多いので、自分に必要なツールがよくわからない初心者が使いこなすのは少々難しい部分もあるだろう。

代表的な自動売買ツールは？

続いて、代表的な自動売買ツールについて紹介していこう。

●FXブロードネットのトラッキングトレード

FXブロードネットの「トラッキングトレード」は、リピート型の自動売買システムだ。自分で決めた値幅の中で売買価格を設定しておくと、自動的に取引が繰り返される。値幅や売買価格の設定は、自分で行わなければならないが、値動きの流れさえ把握できていれば詳細なチャート分析などは必要ない。

●FXプライム byGMOのちょいトレFX

FXプライム byGMOの「ちょいトレFX」は、「自分で売買戦略を立てて、それに従い取引条件を設定する方法」「プロが作成した戦略を選んで利用する方法」の2通りから選ぶことができる。つまり「選択型」と「設定型」のどちらかを選べるということだ。FX取引に慣れないうちは選択型で取引を行い、慣れてきたら設定型に変更することも可能だ。

条件を設定した後の運用と修正も気軽に行えるため、相場を見ながらいろいろ試したい人におすすめだ。

●インヴァスト証券のトライオートFX

インヴァスト証券の「トライオートFX」も「選択型」と「設定型」からどちらかを選べる自動売買システムだ。選択型では、過去のチャートを見ながら選べるので、運用成績がいい戦略を効率よく選ぶこともできる。

●アイネット証券のループ・イフダン

アイネット証券の「ループ・イフダン」は、リピート型の自動売買システムだ。設定した価格に達すると自動的に取引が行われるため、利益を積み重ねることができる。

アイネット証券が2020年の口座開設者に行った調査によると、ループ・イフダンの利用者のうち約66％がFX初心者だったという。また約43％が0～10万円という少額の投資からスタートしている。初心者に優しいシステムと言えるだろう。

●マネースクエアのトラリピ

マネースクエアの「トラリピ」は、リピート型の自動売買システムだ。自動売買条件を設定する価格が上がるか下がるかではなく、これからレートが上下する可能性のある範囲を予想するので、予想範囲で相場が動いている場合は、詳細な価格にまで気を配る必要はない。忙しい人やFXにあまり詳しくない人におすすめのシステムだ。

●外為オンラインのiサイクル2取引

外為オンラインの「iサイクル2取引」もリピート型だ。「売りか買いかの選択」「変動幅」「対象通貨ペア」を指定すれば、取引が開始できる。後は、自動的に取引を繰り返してくれるため、相場をずっと見ている必要はなく、FX初心者向けのツールと言える。デモ口座で取引の練習もできるため、気になる人は試してみるとよいだろう。

自動売買のメリット

自動売買を検討する前に、利用するメリットをしっかりと把握しておこう。特に自分が取引に求めている点を満たしているのかをチェックする必要がある。

●24時間自分の代わりにトレード

FX取引で利益を得るためには、タイミングを逃さず注文を出す必要がある。とはいえ仕事やプライベートで忙しいときは、なかなか相場を見る時間も取れないだろう。その点、自動取引は事前に指定した条件に達すれば、自動的に注文が発注される。24時間自動的に注文を出してもらえるため、パソコンやスマートフォンに張り付いてチャートをチェックする必要はない。

●感情に左右されない

「もうちょっと待てば、もっと値動きしてさらに利益が手に入るかも……」。投資をしている人ならば一度はこう考えたことがあるのではないだろうか。しかし、当然そうした予想が外れることもある。特にレバレッジを効かせて取引を行うFXの場合、値動きの予想が外れ、売買タイミングを逃してしまうと大きな損失を抱える可能性がある点に注意しなければならない。

しかし自動売買を利用していれば、自分の考えは関係なく指定した条件に合致すれば注文が出される。「売買を迷ったばかりに損が出てしまった」という事態を防ぐことができる。

●分析などの手間が不要

通常、FX取引を行う際はチャートなどを分析し予想を立ててから注文を出す必要がある。チャートを読みこなすには、それなりの手間や時間が必要だが、自動売買の中には、プロが立てた戦略を選び、そのまま取引に活用できるものもある。このようなツールを利用すればチャート分析や勉強にかかる手間を短縮できる点もメリットだろう。

自動売買のデメリット

売買タイミングを毎回決める必要がないなど、自動売買はよいことばかりのようにも見えるが、デメリットもある。主な4つのデメリットを確認しておこう。

●投資資金に余裕が必要

自動取引では、損失を小さく抑えるために自動的に損切りやロスカットが行われる場合がある。相場の変動が激しいときなどは損切りやロスカットが行われる確率が高くなり、資金が減ってしまう可能性も否めない。自動売買の利用を検討する際は、投資資金に余裕があるかもチェックしたほうがよいだろう。

●手数料が高くなりがち

多くのFX会社では、取引手数料を0円としている。しかし自動売買ツールを利用する場合は手数料が徴収される傾向にある。例えば、あるFX会社では自動売買で約定すると1ロット当たり新規手数料200円、決済手数料200円が徴収される。取引を繰り返すとそれだけ手数料負担も大きくなる点はデメリットだろう。

●相場の急変に対応できない

自動売買は、あらかじめ決めておいた条件に達すると取引が行われる。相場の動きが緩やかな場合は問題ないが、相場が急変したときは、その動きについていけないため、うまく取引できず損失が発生する可能性もある。自動売買を利用する際は、相場の急変リスクがあることも留意しておいたほうがよいだろう。

●詐欺まがいの商品もあるので注意が必要

「高額のFX自動売買システムを売りつけられ、購入したけど利益が全く出ない」という詐欺もあるようだ。宣伝文句に惑わされず、しっかりと検討してから導入しよう。できれば信頼できるFX会社が提供する自動売買システムの利用をおすすめする。

信頼できるFX会社で自動売買ツールを使おう

FXの自動売買システムを利用すれば相場に張り付く必要もなくなり、自動的に売買を行ってくれる。ただし「リピート型」や「選択型」など自動売買システムはFX各社で異なるため、導入する際は自分に合った型を選ぶことが重要だ。

高額のお金を払って自動売買システムを導入したものの、全く利益が出ないといった詐欺まがいの話もあるので、注意しておいたほうがよいだろう。詐欺業者に搾取されないためにも、実績かつ信頼のできるFX会社のシステムを検討することをおすすめする。