テクノプロ・ホールディングス(6028)は、国内トップクラスの技術者を有する技術系人材サービスグループだ。ITを中心に機械・電気電子など、さまざまな業界へエンジニアを派遣している。コロナ禍の今期でも通期業績は最高益を更新する計画。今期好調の理由を、西尾保示社長に伺った。
約2万人のエンジニアが在籍
国内最大級の技術系人材企業
テクノプロ・ホールディングスは2月2日に2021年6月期第2四半期決算を発表。売上収益は前年同期比0.5%増、営業利益は同17.7%増で増収増益となった。通期の業績予想は最高益を更新見通しだ。同社は、2万人近いエンジニアを有する国内最大級の技術系人材サービスグループである。ITを中心に機械・電気電子・化学バイオ・建設など幅広い分野でエンジニアを派遣している。
「上期は想定より早くお客様のニーズが回復したため、上振れでの着地となりました。当社の売上は、技術者数と売上単価と稼働率で構成されます。コロナ禍において、人材採用を一時全て凍結、成長をストップしてでも従業員の雇用を守ることを最優先とし、事業運営の柱としたのは、既存技術者の稼働率向上です。稼働率を確保することで、利益の棄損を最小限に抑える努力をしました。また、管理部門や採用費等の経費削減が奏功したことも増益に効いたと考えます。売上に対する経費率は15.2%から12.9%へと改善しました。下期はコストコントロールをした上で、上期で凍結した人材採用については技術力を持つ経験者を中心に再開し、再成長への土台づくりを進めていきます。当社にとって、人材採用は一番大切な投資と考えております。マーケットニーズとタイミングをしっかり見極めた上で採用対象者も徐々に拡大しながら技術者増員を目指していきます。採用を再開したことで、広告費などの費用が先に発生しますので一時的に利益は下がりますが、長期的視点では増益に繋がります」(西尾保示社長)
コロナでもIT需要は拡大
充実した教育体制で対応
同社にとってコロナの影響は限定的で、景気変動への耐性もリーマンショックより強化されていたと聞く。「12年前のリーマンショックの際は全産業が落ち込みましたが、今回は市場でのITニーズが高まっています。世界的に見ても日本のDXへの遅れがはっきりとしてしまったので、政府がDXへ積極投資をしていく流れは変わらないでしょう。当社は、技術者の半数がITエンジニアです。ここ10年間で人材不足・少子高齢化が進み、当社の“人を集める能力”に対してお客様からの信頼が高まってきていると感じます。市場が求めるハイエンドな人材確保・育成と、経験の浅い人材も必要な教育をしてからプロジェクトに就くという両輪で、事業拡大を図ります」(同氏)
自社のDX化を推進
M&Aも積極活用へ
また、同社自体のDX化にも積極的だ。
「社内の適正のある技術者をピックアップしてDX関連人材への育成も考えています。技術習得に貪欲なエンジニアを満足させられる教育体制が充実していることが、市場から求められるハイレベル人材を増やすために必要です。ハイレベルな人材確保という面では、フリーランスの技術者にもリーチできるようなマッチングシステムも考えていきたいですね。良い案件があれば積極的なM&Aも選択肢の一つになるでしょう。コロナによって在宅が増え、今まで男性中心だったIT人材も女性やシニア、障がい者の方々にとっても働きやすくなり多様化も進むと考えます。多彩な人材を活用していけるような仕組みもこれまで以上に整えていきたいですね」(同氏)
株主還元は配当性向50%を基本方針とし、昨年度より11円増配を予定する。
「投資家から自社株買いをしないのかというご質問を受けることもありますが、タイミングを見つけて、次の事業への再成長に向けて始動し、チャンスがあればM&Aへの資金投入を優先したいと考えます」(同氏)
(提供=青潮出版株式会社)