世の中には、顧客の資産を食いものにする信用できない銀行があります。その特徴は、「求めていない金融商品を強引に売りつける」というものです。資産形成をサポートするはずの金融機関によって資産が目減りする……そんな目に遭わないために、悪徳な金融機関の実態について知りましょう。

「金融商品を強引に売りつける」銀行に要注意

こんな銀行とは決別しよう 顧客の資産を食いものにする金融機関の手口
(画像=AndreyPopov/stock.adobe.com)

本稿は、銀行で取り扱うことを認められた金融商品を「顧客自ら興味を持ち、リスクを100%理解して購入すること」を否定するものではありません。問題は、顧客に対して下記のような行為を行う信用できない銀行です。

  • メリットのみを強調して顧客を丸め込む
  • 損失リスクの高い金融商品を強引に販売する
  • 元本が保証されるかのように勘違いさせる

過去またこれから先、銀行の営業や窓口でこのような行為に遭遇したら要注意です。このような銀行とは取引をしていても、損することはあっても得することはありません。すぐに縁を切りましょう。

信用できない銀行の「投資信託の営業」の実態

ここから先は、信用できない銀行が「どんな手口で金融商品を売りつけるか」その実態を見ていきましょう。1つ目は投資信託に関するトラブルです。

銀行を窓口に投資信託を買った個人客の46%がマイナスに

はじめに、一般的な銀行で投資信託を買っても、それなりのリスクがあることをご理解いただきたいと思います。

過去に金融庁が行った調査では、都銀や地銀の29行で投資信託を購入した個人客の運用状況は「46%がマイナス」というものでした。しかもこの調査は国内・海外の株価が上昇傾向にあった「損をしにくい環境」の2018年3月末に実施されたものです。

当然ながら、この結果から「マーケットが停滞したときには、損失を抱える人がさらに増えるのでは」との意見も聞かれました。

なお、銀行から投資信託を買った人が損失を抱えやすい理由は、「運用益がマイナスになりやすい投資信託(毎月分配型など)を勧めたこと」と「手数料が高すぎること」などが挙げられます

定期預金の金利の説明といわれ出向いたら勧誘されたケースも

さらに信用できない銀行が悪徳業者顔負けの強引な営業をすることが、国民生活センターの相談状況からうかがえます。

国民生活センターに寄せられている投資信託の営業に関する苦情数(相談件数)は下記のように推移しています(ただし銀行窓口以外の相談も含む)。直近の2020年度は減少傾向にあるものの、いまだ相当数の苦情があることがわかります。

年度相談件数
2017年785件
2018年952件
2019年869件
2020年433件

※2020年の相談件数は2020年12月31日現在。消費生活センター経由などは上記に含まれていません
※出処:独立行政法人 国民生活センター 「各種相談の件数や傾向(投資信託)」

国民生活センターでは、投資信託トラブルに関する最近の事例も併せて紹介しています。そのなかから、銀行が営業したトラブルなどを抜粋した内容が次のものです。

  • 金融機関から「定期預金の金利について説明したい」との電話連絡があった。出向いたら投資信託を勧誘された。
  • もともと契約していた投資信託を十分な説明なしで解約された。そして別の投資信託を契約させられた。解約したい旨を伝えたら「手数料が必要」と言われた。
  • 母(高齢者)が投資信託・運用型定期預金の契約をしていることが判明。本人は契約内容を把握していないため解約したい。
    ※国民生活センターの事例をもとに一部編集

信用できない銀行の「保険の営業」トラブル例

信用できない銀行が顧客に売りつけている金融商品の2つ目は「保険商品」です。こちらも実態を見ていきましょう。

保険の銀行窓販が解禁されて以来、「国民生活センターの苦情の常連」

銀行の窓口で保険販売(いわゆる「保険の銀行窓販」)が全面解禁されたのは、2007年のことです。それ以来、国民生活センターには保険の銀行窓販に関する苦情が相当数寄せられています。苦情件数はその年によって異なりますが、500件超、600件超という年が大半です。

国民生活センターによると、保険の銀行窓販に関するトラブルの傾向は「高齢者の割合が高いこと」です。同センターが集計したデータによると、相談を寄せた7割超を60歳以上が占めます。高齢者の割合が高い理由としては、資産に余力がある人が多いためなどが考えられます。

80代の顧客に20年満期の「外貨建て保険」を売りつける強引さ

保険の銀行窓販において最近、苦情が増えているのが「外貨建て保険商品」です。国民生活センターでは、「近年新たに外貨建て保険に関する相談もみられるようになりました」と注意喚起を促しています。

外貨建て保険とは、保険料を外貨に変えて運用するタイプの金融商品です。積立金などは将来的に日本円にして受け取るのが一般的ですが、円高局面だと元本割れしてしまうリスクがあります。

国民生活センターが公表している、金融機関が営業した外貨建て保険のトラブル例を見てみましょう。問題は、80代の女性が金融機関で口座を開設したことから始まります。後日この金融機関の職員が女性宅を訪問、執拗に外貨建て保険による資金運用を勧誘されたそうです。

この女性は運用に興味がなかったそうですが、繰り返しの勧誘に負け、計3社の生命保険を契約してしまいました。後日、届いた保険証書によって「満期まで20年の外貨建て生命保険であること」「解約に高額な手数料がかかること」を知りました。
※国民生活センターの事例をもとに一部編集

この一例を見ても、いかに銀行の現場で強引な営業が行われているかがわかります。

外貨建て保険は、新型コロナの感染拡大以降、世界的な低金利の影響を受けて運用が厳しい環境になっています。この影響を受けて、外貨建て保険自体の販売額は減少傾向と見られます。日本経済新聞では外貨建て保険の「20年度の販売額は減少した公算が大きい(2021年3月24日付)」と分析しています。

とはいえ、顧客を食いものにする悪徳な金融機関は、これに変わる金融商品を用意するにちがいありません。「求めていない金融商品を強引に売りつける」金融機関に注意しましょう。

経営環境の悪化で、さらに信用できない銀行が増える可能性も?

銀行側から見ると、強引な営業をしなければならない事情もあります。低金利が長期化しているため経営環境が厳しく「きれいごとはいってられない」との本音もあるでしょう。さらにコロナ禍が追い打ちをかけます。

日本経済新聞によると、上場している地方銀行78行・グループの直近(2020年4~12月期)の四半期決算は40行が赤字でした。つまり、約半分の上場している地方銀行が赤字に陥っているということです(参照:2021年2月12日付)。

一方、5大銀行グループは黒字決算ではあるものの、三菱UFJを除く4行(三井住友、みずほ、三井住友トラスト、りそな)が2021年3月期の連結純利益を前年比マイナスと予測しています(参照:2021年2月4日付)。

2020〜2021年前半は政府の資金繰り支援があるため、銀行への新型コロナの影響は限定的といわれています。しかし今後、支援策が弱まったタイミングで倒産件数が増えるとの予測もあり、企業に融資をしている銀行は大きなダメージをこうむる可能性もあります。

これから先、銀行には苦難の道が待ち受けているため、「顧客の資産を食い物にする」傾向がますます強まる可能性もあります。

これに対抗するため、私たちは取引する銀行を厳しく選別するしかありません。少なくとも、強引な営業を行う金融機関とは縁を切るべきでしょう。このような銀行とつきあっていたら、気を付けていてもいつかトラップに引っかかる危険があります。

(提供:Renergy Online



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