ESG投資やSDGsについてはある程度知っているけれど、「わかるようでわからない」「理屈はわかるけれど腑に落ちない」と感じている人も多いのではないでしょうか。そんな人におすすめしたいのが、ESG投資やSDGs関連の本でテーマを深掘りすることです。

ESG投資やSDGsを「自分ごと」に落とし込むのに役立つ本を5冊ご紹介します。

ESG投資・SDGsおすすめ本1:『2030年の世界地図帳 新しい経済とSDGs、未来への展望』

未来思考の投資家なら読んでおきたい、ESG投資・SDGsを深掘りできるおすすめ本5冊
(画像=Chinnapong/stock.adobe.com)

著者:落合陽一  出版社:SBクリエイティブ
Amazonのレビュー数555個、評価4ツ星(最終検索日:2021年4月12日)

未来思考の投資家なら読んでおきたい、ESG投資・SDGsを深掘りできるおすすめ本5冊
画像〈引用〉:SBクリエイティブ

メディアアーティストとして若い世代を中心に支持され、2025年に開催される大阪万博のプロデューサーの1人として知られる落合陽一氏の著作。SDGsに関連する本の大半は当然ながら、SDGsを解説することに終始することが多いです。これらの本と『2030年の世界地図帳』の違いは、SDGsを手がかりにこれからの世界の変化を見通すというコンセプトにあります。

面白いのは、今ではSDGsのけん引役である落合氏自身が、はじめてSDGsのことを知った後も「なかなか自分ごととして腑に落とすことができませんでした」と話していることです。この原因について落合氏は「主題となるテーマと各国の問題の結びつきのわかりにくさ」と解説しています。

まさにこの本は、この落合氏が以前抱えていた違和感を形にしたものといえるでしょう。SDGsの考え方を教えてくれると共に、テクノロジーの進化によって「世界が具体的にどう変わっていくか」「持続可能な社会を阻害する要因をどのように解決できるか」を教えてくれます。

ESG投資・SDGsおすすめ本2:『ESGはやわかり』

著者:小平龍四郎
Amazonのレビュー数9個、評価4ツ星(最終検索日:2021年4月12日)

未来思考の投資家なら読んでおきたい、ESG投資・SDGsを深掘りできるおすすめ本5冊
画像〈引用〉:日本経済出版

この本は「ESGはやわかり」というタイトルから、ESG投資の入門書のような印象を受けます。たしかに第1章ではESGの黎明期から世界の潮流になるまでの流れが丁寧に解説されています。

しかし、2章以降はESG投資のかなり深いところまで深掘りしている内容です。例えば、以下のような実際の投資のときに役立つコンテンツが網羅されています。

  • ビジネスの持続可能性を検証するポイント
  • 5つの株価指数でESGのリターンを点検
  • ショート(空売り)戦略としてのESG
  • 国内外の大企業のESG戦略(日立、エーザイ、ソニー、ナイキ、アップルなど)
  • ESGを重視するナスダックの動き など

「5つの株価指数でESGのリターンを点検」の項では、ESGに関連する5つのESG株価指数(※)と市場平均のリターンを比較(2017年4月〜2020年3月)。すべての株価指数が市場平均を上回っていることからESG投資が投資成果を得るのに有効という事実を証明しています。

※5つの株価指数:①MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数、②MSCI日本株女性活躍指数、③FTSE BlossomJapanIndex④S&P/JPXカーボン・エフィシェント指数、⑤S&Pグローバル・カーボン・エフィシェント大中型株指数(除く日本)

また、「ショート(空売り)戦略としてのESG」の項では、ESG投資というと一般的に長期投資のイメージが強いですが、実際にはそんな単純なものではなく空売り戦略もありうることについて解説しています。

さらにこの本の後半では、金融都市としての東京の可能性やESG投資とともに注目されているインパクト投資にまでテーマを広げていきます。その意味ではESG投資をきっかけに、さまざまな投資の選択や金融の将来にまで視点を広げられる本といえます。

ESG投資・SDGsおすすめ本3:『SDGs思考 2030年のその先へ17の目標を超えて目指す世界』

著者:田瀬和夫、SDGパートナーズ
Amazonのレビュー数46個、評価4ツ星(最終検索日:2021年4月12日)

未来思考の投資家なら読んでおきたい、ESG投資・SDGsを深掘りできるおすすめ本5冊
画像〈引用〉:インプレス

SDGsの考え方を「経営戦略や企業活動にどのように落とし込んでいくか」を具体的かつ詳細に解説する本です。まさにSDGsを深掘りするためにうってつけの本といえるでしょう。

SDGsを企業活動に実装するとき、現実のビジネスの枠組みに強引にSDGsを組み込むケースも多いのではないでしょうか。あるいは、自社の事業とSDGsの関連を整理するマッピングで終わってしまっているケースも多いと思われます。

『SDGs思考』ではこの段階で終わってしまえば経営戦略として不十分であり、次の3つの思考が重要であることを説いています。

  • 時間的逆算思考:理想の状態から逆算してアクションプランを考え実行していく方法
  • 論理的逆算思考:問題の本質にフォーカスして、演繹的(理論・推論から結論を導き出すこと)に解決策を考える方法
  • リンゲージ思考:SDGsで掲げられた複数の目標の関連性を意識しつつ課題を解決していく方法

ESG投資・SDGsおすすめ本4:『ESG思考 激変資本主義1990-2020、経営者も投資家もここまで変わった』

著者:夫馬賢治
Amazonのレビュー数94個、評価 4.5ツ星(最終検索日:2021年4月12日)

未来思考の投資家なら読んでおきたい、ESG投資・SDGsを深掘りできるおすすめ本5冊
画像〈引用〉:講談社

『ESG思考』は「ESG投資は一時的なトレンドではないか」「ESGはきれいごとではないか」といった疑問を抱いている人におすすめです。

一般的にESGといえばE(環境)・S(社会)・G(ガバナンス)を重視した経営や投資のことを指します。本書ではさらにグローバル経済の潮流の変化において、経営や金融の主流にいた人が「オールド資本主義からニュー資本主義へと立場を転身させた」新しい考え方を「ESG思考と名付けた」としています。

「オールド資本主義」とは企業が環境・社会への影響を考慮すると利益が減るという考え方です。これに対して、「ニュー資本主義」は環境・社会への影響を考慮すると利益が増えるという考え方です。

1990年から2020年の間にESG思考が生まれ、「オールド資本主義からニュー資本主義へ認識転換が起こった」と夫馬氏は述べています。この認識転換がどのように起こったのか、認識転換が起こったことでグローバル企業の意識がどのように変わったかを見ていくことで「ESG投資はトレンドではなく、世界的な潮流である」と実感できることでしょう。

ESG投資・SDGsおすすめ本5:『サーキュラー・エコノミー 企業がやるべきSDGs実践の書』

著者:中石和良
Amazonのレビュー数52個、評価4.5ツ星(最終検索日:2021年4月12日)

未来思考の投資家なら読んでおきたい、ESG投資・SDGsを深掘りできるおすすめ本5冊
画像〈引用〉:ポプラ社

著者は、一般社団法人サーキュラーエコノミー・ジャパンの代表理事。この法人名である「サーキュラー・エコノミー」をテーマにしたのが本書です。

サーキュラー・エコノミーとは、「まずは、廃棄物と汚染を発生させない」仕組みです。従来のリサイクリング・エコノミーが「廃棄物を排出すること」を前提としているのに対し、サーキュラー・エコノミーは「廃棄物の発生を最小限に抑えられる経済システム」です。

ここまでの考え方をはじめて知った経営者や企業の担当者の多くが「サーキュラー・エコノミーは可能だろうか」と感じるかもしれません。しかし、著者によると次の3原則に基づいてビジネスを設計していけば可能とのことです。

  1. 廃棄物と汚染を生み出さないデザイン(設計)を行う
  2. 製品と原料を使い続ける
  3. 自然システムを再生する

そして本書の後半では、国内外の企業が実践するサーキュラー・エコノミー事例を紹介。具体的な商品開発や販売戦略に「SDGsをどう落とし込めばよいか」をイメージできる一冊になっています。

本だけでなくESG・SDGs関連機関のレポートなども役立つ

ESG・SDGsを深掘りするのに有効なツールは本だけではありません。ESG・SDGsに積極的に取り組む企業や関連機関が発行しているレポートも役立ちます。例えば、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の「ESG活動報告」、国連「SDGs報告」などです。

もちろん、テキストベースの情報源だけではなく、動画や音声コンテンツも有効です。幅広いESG・SDGs関連コンテンツに触れることで「どんな未来になるか」がときに鮮明にときにおぼろげに見えてきます。未来を感じて、未来のための行動をとるために、ESG・SDGsについてさらに幅広く深い知見を得ましょう。

(提供:Renergy Online



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