国内暗号資産(仮想通貨)取引所ディーカレットを運営する株式会社ディーカレットは16日、日本における民間デジタル通貨の開発を目指す「デジタル通貨フォーラム」で行われた議論の内容について報告会を開催した。今回は、最近行われた第3回から第5回の全体会の概要と、各業種の分科会の活動状況が公表された。
デジタル通貨フォーラムは、ディーカレットを事務局とし、2020年11年に設立された。国内の大手銀行や、小売、運輸、情報通信など広範な分野にわたる60社以上の企業、有識者、オブザーバーとして金融庁や財務省などの省庁も参加している。
参加企業には、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、ゆうちょ銀行、NTTグループ、東日本旅客鉄道、阪急阪神ホールディングス、KDDI、ANA グループ、SBIホールディングス、関西電力、京セラ、住友生命保険、セコム株式会社、SOMPOホールディングス、中部電力株式会社、電通、東京海上日動火災保険、野村ホールディングス、日立製作所 、ファミリーマート、ローソンなど名だたる企業が名を連ねる。
そして、上述の企業を業界ごとに分けた、「電力取引分科会」「小売り・流通分科会」「地域通貨分科会、ウォレットセキュリティ分科会」「電子マネー分科会」「セキュリティトークン決済実務・制度検討分科会」「加盟店精算分科会」の7つの分科会で、デジタル通貨についての課題や協議を進めている。
今回の第3~5回全体会では、各分科会の活動状況について情報の共有が図られた。またデジタル通貨プラットフォームの共通領域と付加領域におけるDVP決済(証券資金同時受け渡し)のシナリオ案、デジタル通貨が目指す世界のビジョンも共有したという。
さらに、テクノロジー分野においては技術者によるミーティングを実施したことを公表。デジタル通貨プラットフォームのサンドボックス環境の案内も開始したという。デジタル通貨フォーラムでは民間発行デジタル通貨の実現に向け、事業の視点やテクノロジーの視点など、様々な観点から積極的かつ活発な議論を進めていることを明かした。
報告会では、分科会の活動における進捗状況についても報告された。中でもセキュリティトークン決済実務・制度検討分科会は、デジタル通貨を用いた DVP決済の実現がセキュリティトークン市場の拡大に不可欠な要素であると考えていることを明かした。
今後、業界の様々なステークホルダーを参加企業に迎え、特定の企業やブロックチェーン、プラットフォームに依拠することなく法制度および技術的観点から、セキュリティトークンとデジタル通貨のDVP決済の実現に向けた検討を行っていると報告した。
また、デジタル通貨フォーラムは早くて年内にも各分科会でデジタル通貨のPoC(概念実証)を行なっていくという。
同フォーラムは、「社会全体でのデジタル通貨の実利用を目指しており、広く参加者を募っておりますので、ご関心お持ちの企業様はお問い合わせいただきますと幸いです」と、さらなる参加企業を呼びかけ、民間発行のデジタル通貨の取り組みを拡大していく方針を示している。(提供:月刊暗号資産)