本記事は、御子神翔吾氏の著書『SNS時代を勝ち抜く! 45秒でファンにさせる話し方』(合同フォレスト)の中から一部を抜粋・編集しています。
伝わるトークは「間」を使う
話し方を真似してもなぜ実績が出ないのか
皆さまの周りに、話が上手く、相手を引き込んでしまうようなテクニックで営業成績を上げている人はいませんか。そして、皆さまはその人の話し方を真似したり、まったく同じ話をしたりしても成約につながらなかった経験はありませんか。
私も実演販売士を始めたての時、先輩の話し方や話す題材を一言一句完璧にコピーして、販売に臨んでいた時期があります。しかし、先輩と同じような実績は出すことができませんでした。そう、トークが「死んで」いたのです。トークが死んでいる最大のポイントは「間」がないということに尽きます。
普段のトーク以外にも「間」が重要視されるものがあります。例えば、能楽の舞台では「間」が多用されますし、漫才でもボケとツッコミには間があります。間をうまく使うことで場が締まり、臨場感を生むことができます。能楽では、芸と芸の間の「何もしない間」を「せぬ隙ひま」と呼び、至芸(最高の芸)とされました。反対に、間がなく詰めて演じすぎる芸は、見苦しいとされたのです。芸を活かすも殺すも、「せぬ隙」の存在です。もし「せぬ隙」がなければ、趣もなく、現代まで語り継がれることもなかったでしょう。
「間抜け」という言葉があるように、間がないことは、よろしくないことだと、心得ましょう。「間」は芸能だけのものではなく、日常の話し方でも応用すべき技といえます。「間」を日常の話し方に応用すると、自分の話が相手に伝わる時間として働きます。また、相手は自問自答する時間を作れるので、話を正確に理解し納得することができます。
「間」と「沈黙」の違い
相手との関係で自然と生まれるのが「沈黙」で、こちらが意図的につくるのが「間」 す。ところが、沈黙が怖く、間もつくれないためについ、話の途中で「えー」や「あー」とノイズを発してしまうことがあります。その余分なノイズが全体のトークの流れを台無しにしています。こういったノイズが生まれてしまう原因は、考えながら話しているからです。あらかじめ自分の話す内容をまとめておくことで、ノイズを極力減らすことができます。話のプロであるアナウンサーでさえも、ノイズを発してしまうことはありますので完全になくそうと神経質になる必要はありません。
ノイズを減らすと、その分空いた時間には「沈黙」が生まれます。沈黙が訪れるとどうしても怖くなりますが、そこはじっとこらえて目線で訴えてください。こちらが意図的につくっているものだと相手が感じれば、その沈黙は「間」に変わります。
また、「間」をつくった後に何を話すか、いつどのように話すかにも注意を払ってください。「間」をつくることで相手の注目を集めている状態ですから、その後は本当に伝えたい言葉をベストなタイミングと話し方で話すべきなのです。
適切な「間」をつくるタイミングとは
間をつくることに慣れたら、今度は「意図的に」間をつくるように心がけてみてください。間をつくるタイミングは、「自分の伝えたい想い」「共感してほしい内容」「相手に聞かせたい情報」「重要な情報」の前です。3秒ほど大きく間を作ってみると、伝わり方が劇的に変わります。
一番伝えたい内容をそれまでと同じペースで話してしまうと、聞き流されてしまうか、聞いていたとしても印象に残りません。
実演販売の世界では「お客様の未来を想像させる」フレーズの前に「間」を作ります。お客様自身にその商品を使っている場面をイメージしてもらうことが重要です。その商品を使用した先の夢を思い描いてもらうことで、商品の購入にグッと近づきます。営業職や販売職の方は、ぜひこの点を意識してみてください。