本記事は、御子神翔吾氏の著書『SNS時代を勝ち抜く! 45秒でファンにさせる話し方』(合同フォレスト)の中から一部を抜粋・編集しています。
相手を退屈させない話し方
なぜ話を聞いてもらえないのか
皆さまは次のような苦い経験はないでしょうか。
自分の評価が決まる重要な会議。プレゼンテーターとして、資料は完璧にまとめ、話す内容も整理してきた。この会議で企画が通れば、評価は上がり昇進も夢ではない。準備万端で話し始めた。初めのうちは参加者全員の視線が自分に向いているのを実感し、緊張しながらもやりがいを感じた。しかし5分も経たないうちに参加者の視線は資料に移ってしまい、誰一人自分を見ていない状態に。10分後には、ペンを回す人やスマホを見始める人が出てきて、明らかに集中力が切れているのが伝わってきた。15分もすると、居眠りをしている人まで出てきた。20分後、万全な準備をして迎えたはずの会議は失敗に終わった。
会議とまではいかなくても、5人、10人の小規模の打ち合わせでも「自分の話は飽きられているのかな」と感じたことがある方もいるのではないでしょうか。こういった場面に直面すると「企画が悪かったのかな」や「資料が細かすぎたかな」と考えがちですが、じつはプレゼンテーター自身の話し方に問題がある場合が多いのです。自分の話し方を省みず、企画や資料を分かりやすくしても一向にファンはつくれません。自分の話を聞いてもらうためにも話し方の工夫が必要です。
話を聞いてもらうために重要な3つのポイント
会議や打ち合わせなど自分が話す際に意識してほしいのが、「ボディランゲージ」「声のトーン」「話すペース」の3つです。この3点を意識するだけで聞いてもらえて、かつ、ファンにさせる話し方をすることができます。
①ボディランゲージ
一流のプレゼンテーターほどボディランゲージを行います。まず「真実を語る」イメージを与えたい場合には、両腕を広げる、というやり方です。この動きは心理学的に人を信じさせるポーズと言えます。
また権威性を示すパターンとしては指をつき出すというのが使われます。最近ではアメリカのトランプ前大統領のアクションでお馴染みになりました。大統領など権力者がよく使います。
他にも、額の真ん中に宛てた人差し指をさっと上に動かすというテクニックもあります。これは何かを指し示すイメージを与えるため、数値的なこと、信頼できるデータを基にした話、例えば「最新の統計データによりますと……」というような場面で使えます。
②声のトーン
高い声と低い声では受け取る側のイメージが変わります。高い声は親しみやすく明るい印象を与え、低い声は安心感があって信頼できるイメージを与えます。話し始める時は明るい声で親しみやすさを与え、重要な話題ではトーンを落として信頼感を与えるといったように、場面に合わせて声のトーンを切り替えることが重要です。
③話すペース
一般的に人が聞き取りやすい文章量は、1分間に280~300文字程度といわれています。NHKのアナウンサーが話すペースが1分間に約300文字なので、それを目安にするといいということを皆さまも聞いたことがあるかもしれません。
しかし現代は速いペースで話すことが求められます。なぜならば現在、影響力のあるテレビのバラエティー番組やYouTube、TikTokなどの動画プラットフォームは、すべて速度の速い話し方をしているからです。そのため1分間に350~400字のペースを意識するとよいでしょう。
話すペースを身に付けるには、紹介する商品やサービスの台本を作成し、何度も声に出して読んでいきます。1回読むのにかかる時間を測定し、全体の文字数から1分間に300~400字で話せるようになるまで繰り返します。1つの題材で話す速度を身に付けることができると、日常の話し方も変わっていきます。
話に緩急をつけて飽きさせない
飽きられるトークには、話全体に「緩急がない」のです。映画をイメージしてみると分かりやすいと思います。映画の前半は、主人公の生い立ちや物語の背景といった物語のイメージを持たせる導入部分なので場面変化は少なくなっています。
しかし、クライマックスに向かって徐々に場面変化が多くなり「次はどんな展開になるんだろう」とハラハラ・ドキドキさせるシーンが多くなります。そして、クライマックスまでさらに速いテンポで展開し、クライマックスでは感動するような演出で人々を沸かせます。
このように、自分が話す時にも、話の山と谷を考え、山頂に向けてテンポアップしていきます。自分の話の構成を考えたら、映画のチャプターのように大きく分け、そのチャプターごとに緩急をつけて話していくことで、人を惹きつける話し方をすることができます。