100%再生可能エネルギーを利用して、事業活動を行うことを目指す「RE100」という企業連合が注目を集めています。今後30年間のうちに巨大地震が起こる確率が70~80%といわれる日本において、原子力発電を推進することは困難です。

自社のエネルギー対策で出遅れないためにもRE100加盟企業の取り組みから学び実践する必要があります。今回はRE100加盟企業のなかから、住宅業界が行っている取り組みについて紹介します。

RE100とは何か

【連載】出遅れるな。RE100加盟企業が行っている取り組み|住宅業界編
(画像=Rido/stock.adobe.com)

「RE100」のREとはRenewable Energyの略で再生可能エネルギーのことを指します。100は事業活動に利用するエネルギーがすべて再生可能エネルギーであるという意味です。RE100は2014年に、国際環境NGOのThe Climate Groupが主体となって開始された国際的企業連合体です。

2021年4月16日現在、世界のRE100加盟企業は300社を超えました。そのうち日本企業は54社(2021年5月現在)が加盟しており、全体の18%を占めます。日本企業の加盟社数は2019年10月時点では25社でしたので、1年半で倍増したことになります。

RE100への加盟について日本で窓口になっているのが、JCLP(JAPAN CRIMATE LEADERS’ PERTNERSHIP)です。JCLPでは、RE100への参加について目的・主旨・参加条件・入会手続き・参加企業事例の紹介などを日本語で行っています。

RE100加盟が企業にもたらすメリット

RE100に加盟すると企業にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。直接的なメリットとしては、将来起こりえる化石燃料高騰の影響を受けないことが挙げられます。石炭は有限であるため、将来は希少になり価格が高騰することが予想されます。

もし、火力発電に頼る現状の電力事情を受け入れるだけなら、燃料コストの増加は避けられません。自社の使用電力を再生可能エネルギー100%とすることで、化石燃料高騰のリスクを回避することができます。

もう1つ、間接的なメリットとしてはESG投資を呼び込めることが挙げられます。GSIA(世界持続可能投資連合/本部:シドニー)の調査による2018年度の世界のESG投資額は30兆6,830億米ドルに達し、2016年との比較で34%増加しています。今後世界の株式市場でESGへの取り組みが重要な投資指標となり、単に業績が良くてもESGへの取り組みが不十分であれば評価されない時代になるでしょう。RE100への加盟がESG優良企業としてのお墨付きになる可能性は大です。

ただし、RE100の加盟条件は、「グローバル又は国内で認知度・信頼度が高い」「主要な多国籍企業」「RE100の目的に寄与する、何らかの特徴と影響力を有する」「消費電力が50GWh以上(日本企業の場合)」(JCLPの見解)のうちいずれか1つ該当するという基準になっており、残念ながら中小企業が加盟するにはかなり高いハードルがあります。

しかし、中小企業とRE100がまったく無関係というわけではありません。RE100加盟の大企業が再生可能エネルギーへの取り組み方で取引先を選別する可能性があるからです。

RE100加盟企業は環境問題への意識が極めて高いため、パートナーとなる取引先にも高い意識を持ってほしいと願うのは当然のことです。大企業との安定した取引を継続するためにも、再生可能エネルギーへの取り組みを強化する必要があります。

住宅業界はどんな取り組みをしているか

では、住宅業界でRE100に加盟している企業のなかから、5社の取り組みを見てみましょう。

積水ハウス

積水ハウスグループは、2016年度に広範な事業領域で2050年に向けた「サステナビリティビジョン2050」を策定しました。目指す姿として「脱炭素社会へ先導」を掲げ、化石燃料に依存せずエネルギーの質が高い安全に暮らせる社会を目指すとしています。

住宅会社としての実績は2009年に環境配慮型住宅「グリーンファースト」、2013年にネット・ゼロ・エネルギー・ハウス「グリーンファーストゼロ」をそれぞれ発売しました。2050年のチャレンジ目標として、住宅について材料購入から生産、販売、居住、解体までのライフサイクル全体において再生可能エネルギーの利用を含めてCO2排出量ゼロを目指します。

大和ハウス工業

大和ハウス工業は、環境長期ビジョン「Challenge ZERO 2055」を掲げ、脱炭素社会の実現に向け徹底した省エネ対策を実施しています。2055年を究極のゴールとして、売上高あたり温室効果ガス排出量で2015年比70%削減、再エネ利用率100%は2040年に達成することを目指しています。

また、住宅販売においては、ZEH(年間の一次消費エネルギー量をおおむねゼロ以下にする住宅)の販売を拡大しています。戸建住宅だけでなく、賃貸住宅・分譲マンションでも国が推進するZEHの集合住宅版「ZEH-M」を取り入れるなどZEHへの積極的な姿勢が目立ちます。

大東建託

大東建託は、2040年までに事業活動の消費電力を100%再生可能エネルギーにする目標を掲げています。賃貸住宅が主力の同社は、賃貸住宅で太陽光発電設備を拡大することによって再生可能エネルギー普及促進に貢献しています。

同社はRE100だけでなく2020年9月からEP100(事業のエネルギー効率を倍増させることを目標とする国際的構想)にも加盟し、エネルギー効率のさらなる向上を目指しています。同社グループは、SBT(温室効果ガス削減目標の達成に向けた国際イニシアティブ)、RE100とEP100の3者の取り組みを連携させながら脱炭素社会を目指します。

旭化成ホームズ

旭化成ホームズは、年間約3万4,000MWhの消費電力を2038年までに太陽光発電による再生可能エネルギーで賄うことを目指しています。同社はこれまでも太陽光発電を積極的に推進してきました。そのために限られた面積の屋根にできるだけ多くの太陽光パネルを搭載する技術も開発しました。

なかでも注目すべきは住宅ブランド「へーベルハウス」「へーベルメゾン」に搭載した太陽光発電から生まれる余剰電力を独自の電力供給サービス「へーベル電気」によって買い取るサービスです。へーベル電気が買い取った電力は旭化成ホームズが購入し、自社施設で使用して有効に活用します。まさに理想的なサイクルを構築しているといってよいでしょう。

LIXIL

住宅設備機器最大手のLIXILは、「環境ビジョン2050」を掲げ、2050年までに事業プロセスと製品・サービスを通じてCO2排出量ゼロを目指します。同社は住宅設備機器メーカーだけあって「水の持続可能性」についても重点を置いています。

事業プロセスにおいては、再生可能エネルギーの活用や省エネルギー設備の導入、工場の排熱を利用したエネルギー効率の向上などを実施しています。製品・サービスでは少量の水で快適に使える「エコフルシャワー」や、再配達の防止でCO2削減につなげる「スマート宅配ポスト」などを販売しています。

参考:各社公式サイト

真似したい取り組みはどれ?

紹介した住宅会社の施策のなかでとくに取り入れたいのが旭化成ホームズの取り組みです。自社ビルに太陽光発電を導入し、自社の使用電力を賄うだけでなく、余った電力を電力会社に売電することで副収入にもなります。

エネルギー問題というとCO2削減による社会貢献のみに目がいきがちですが、節電や売電という経済的なメリットも大きいのです。社会貢献とコスト削減を両立できる旭化成ホームズの仕組みを応用することは検討に値します。まだ太陽光発電を導入していないのであれば導入のよいチャンスです。

国際的にESGやSDGsに取り組む重要性はますます高まっています。再生可能エネルギーへの取り組みはRE100加盟の大企業だけでなく、中小企業にとっても避けて通れない時代になりました。自社ビルを持っている企業や、マンションを経営するオーナーは環境対策で出遅れないためにも、太陽光発電の導入を早めに準備することが求められます。

(提供:Renergy Online



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