自民党の金融調査会デジタルマネー推進プロジェクトチームで座長を務める村井英樹衆議院議員は、日本銀行が研究を行なっている中央銀行発行デジタル通貨(CBDC/デジタル円)について、2022年後半を目処に構想を明確化すると言及した。5日、村井議員がロイターのインタビューで語った。

構想
(画像=月刊暗号資産)

ロイターによると、村井議員は2022年後半の時点で、即座に発行するかどうかの判断をするわけではないと説明しつつ、「欧米などのCBDCと相互運用性を高めることで、中国に標準技術を握られないようにすることも必要だ」と述べた

既報の通り、CBDCの開発においては中国が世界において一歩リードしている。

中国は2022年の北京冬季オリンピックまでに、デジタル人民元の発行を目指していると言われており、現在、急ピッチで開発が進められている。すでに同国内の大都市で大規模な実証実験が行われている段階だ。

村井議員は中国のデジタル人民元について、同通貨が利便性の高いものになり、海外からの旅行客が使用し、商取引や貿易でメインの決済通貨になると、円と人民元の関係が変わってきてしまうという危険性を指摘。「資本政策など通貨の国際化にはデジタル以外の要素も当然影響してくるが、デジタル人民元に利用が大きく流れていってしまうと危ない」とも付け加えた。

昨年末、日本では上述の金融調査会デジタルマネー推進プロジェクトチームが、他国の状況を考慮して「日本もCBDCに対する取り組みを加速する必要がある」という提言をまとめた。

今年3月、日本銀行は中央銀行発行デジタル通貨に関する連絡協議会を立ち上げ、4月から概念実証(PoC /Proof of Concept)を開始すると発表した。

またその時、「現時点でCBDCを発行する計画はない」と強調していたが、今回の村井議員の発言はCBDC発行に前向きな方向を示した形となる。

さらに村井議員は、今後、日本の財政が持続可能でいられるかは日本円への信認が維持されているかどうかにかかっていると説明。仮にデジタル人民元の存在価値が大きくなれば日本円の地位が脅かされ、日本経済が混乱することもあり得ると持論を展開し「CBDCを導入するにしても円の信認に悪影響を与えないようにしないといけない」と語った。(提供:月刊暗号資産