一般社団法人日本暗号資産取引業協会(JVCEA)は5日、2021年5月における国内暗号資産(仮想通貨)取引所26社の統計データを公表した。
統計データによると、国内における暗号資産の現物取引高は過去最高となる5兆1,584億7,700万円を記録した。証拠金取引高は5兆2,548億7,900万円であった。
取引高上位の暗号資産はビットコイン(BTC)で、イーサリアム(ETH)、リップル(XRP)、クアンタム(QTUM)、ビットコインキャッシュ(BCH)が続いた。
5月の暗号資産市場は、米電気自動車テスラがビットコイン決済を中止すると発表したことや、中国のさらなる規制強化があらわになってきたことで価格が大きく変動した。年初より好調であった市場に陰りが見えた時期であったことから、利益確定売りなどが相次いだものとみられる。
暗号資産市場は軟調な状況ではあるが、世界的に暗号資産に対する取り組みは活発化している。それは日本も同様だ。
今年2月には、楽天傘下の暗号資産取引所である楽天ウォレットが、手数料なしで楽天キャッシュの残高を暗号資産で補充できるサービスを発表。大きな影響力を持つ楽天が暗号資産利用の促進を図る姿勢は、他企業にも影響を与えると言える。
また4月には、ゲーム会社のネクソンが約110億円分のビットコインを購入し話題となった。東証1部上場企業が暗号資産へ投資を行った初の事例だ。
これらの動きを見ると、徐々に暗号資産に対する見方に変化が表れていることがわかる。
ただし、日本は暗号資産の導入において近隣諸国にまだ遅れをとっている。
今年2月に統計プラットフォームStatistaが調査したデータによると、日本の居住者が暗号資産を使用または所有しているのはわずか4%であるのに対し、中国は7%、インドは9%、ベトナムは21%となっている。74ヶ国を対象に行われたこの調査で、日本は最下位となった。
しかし、デジタル社会への移行を目指す日本において、さらなる市場を拡大させる可能性は十分に考えられるだろう。(提供:月刊暗号資産)