毎月、新たに発売されるビジネス書は約500冊。いったいどの本を読めばいいのか、迷ってしまう方も多くいるかと思われます。

本稿では、読書家が集まる本の要約サイト「flier(フライヤー)」にてアクセスの多かった書籍を、金融業界のユーザーに絞って毎月ランキング形式でご紹介しております。皆様の書籍選びの参考になれば幸いです。

コミュニケーション
(画像=PIXTA)

目次

  1. 金融業界ランキング
  2. 「なぜ」好かれるのか?
  3. 色褪せぬ「ラストバンカー」の人生訓
  4. 旧式の「頭の良さ」は不要の時代
  5. 本気で人生を変える時間術
  6. 「自分なんて……」と悩まなくなる
  7. 編集後記

金融業界ランキング

第1位:『なぜか好かれる人がやっている 100の習慣』(藤本梨恵子著、明日香出版社)
第2位:『仕事と人生』(西川善文著、講談社)
第3位:『考えることこそ教養である』(竹中平蔵著、クロスメディア・パブリッシング)
第4位:『本物の気づかい』(井上裕之著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)
第5位:『タイムマネジメント大全』(池田貴将著、大和書房)
第6位:『絶対忘れない勉強法』(堀田秀吾著、アスコム)
第7位:『「自己肯定感低めの人」のための本』(山根洋士著、アスコム)
第8位:『「いそがない人」が、いい人生を送る』(斎藤茂太著、三笠書房)
第9位:『世界一やさしい超勉強法101』(原マサヒコ著、ナカニシヒカル(イラスト)、飛鳥新社)
第10位:『いまこそ知りたいDX戦略』(石角友愛著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)

※本の要約サイト「flier(フライヤー)」の有料会員のうち、金融業界に所属するユーザーを対象にした、2021年6月の閲覧数ランキング

「なぜ」好かれるのか?

6月の第1位は『なぜか好かれる人がやっている 100の習慣』でした。銀行、保険、証券のいずれにおいても最も読まれています。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、リモートワークが増え、人と接する頻度は急減しました。コロナ禍の今こそ、顧客訪問や提案機会など対面で人と会えるワンチャンスを逃さず、着実に相手との距離を詰めたい――。そういったニーズの高まりを反映した結果かもしれません。

本書は、心理学やキャリアカウンセリングを習得し、講師として多方面で活躍する著者が、コミュニケーションにおける人間の心情変化を解説しています。例えば、無意識に自分に似た人に安心感や信頼感を抱く「類似性の法則」や、座る位置によって相手に与える印象の善し悪しなどを、心理学の理論に基づいて紹介しています。

表情や言葉遣い、距離感など、ちょっとした工夫によって相手と親しい間柄にぐっと近づけます。本書にちりばめられた好感度アップのコツ、活用しない手はありません。

なぜか好かれる人がやっている 100の習慣
なぜか好かれる人がやっている 100の習慣
藤本梨恵子
出版社:明日香出版社
発売日:2020年08月23日
ジャンル:スキルアップ・キャリア、自己啓発・マインド、リベラルアーツ

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色褪せぬ「ラストバンカー」の人生訓

第2位は稀代のバンカーと称えられた故・西川善文氏の『仕事と人生』です。実践的な人生訓を綴った「ラストバンカーの遺言」として、銀行員の方々を中心に人気を集めました。

西川氏は大学を卒業して住友銀行に入り、頭取まで上り詰め、退任後も民営化で発足した日本郵政の初代社長を務め、手腕を振るいました。1990年代にバブル崩壊後の不良債権処理で発揮したリーダーシップなど、頭取就任後の功績が注目されることの多い西川氏ですが、本書では新人行員時代からの軌跡を辿り、その時々の仕事ぶりを感じ取ることができます。

「やるべきことを断行する勇気を持つ」「自分でやるしかないと心に決める」といった精神論から、「お客に一方的にしゃべってはいけない」など具体的なコミュニケーションスキルに至るまで、ラストバンカーとしての神髄が惜しみなく披露されています。

遺訓の数々はいずれも端的な言葉ながら、修羅場を潜り抜けてきた同氏特有の凄みと説得力を帯び、あらゆるビジネスパーソンに響き続けることでしょう。

仕事と人生
仕事と人生
西川善文
出版社:講談社
発売日:2021年03月17日
ジャンル:スキルアップ・キャリア、自己啓発・マインド、生産性・時間管理、リーダーシップ・マネジメント、経営戦略

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旧式の「頭の良さ」は不要の時代

第3位にランクインした『考えることこそ教養である』は、「これからの時代、『頭がいい』は弱点になる」と警鐘を鳴らしています。ここで言う「頭がいい」とは「ハードディスクのように情報を大量に積み上げて覚えているような、詰め込み型の知識の多さを指しています。

しかし、絶対的な正解がない、複雑で変化が速い現代で求められるのはむしろ、情報や知識をいかに使い、つなぎ合わせるかというCPU(中央処理装置)のような思考だと言います。

知識を詰め込むばかりの旧式の学習から脱却し、自分の頭で考える力が一層必要とされる昨今、是非一読をおすすめしたい一冊です。

考えることこそ教養である
考えることこそ教養である
竹中平蔵
出版社:クロスメディア・パブリッシング
発売日:2021年03月11日
ジャンル:自己啓発・マインド

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本気で人生を変える時間術

ここからは、第4位以下から注目の書籍をピックアップしていきたいと思います。

第5位の『タイムマネジメント大全』は、特に保険関連の企業にお勤めの人によく読まれる結果となりました。

「本気で人生を変えたいなら、まずは時間の使い方を変えなければならない」と気迫あふれる言葉で、読み手の本気度をうかがっています。

細やかな数字管理を求められ、時には1分、1秒の違いが損得を大きく左右しさえする金融業界では、常に緊張感をまとい、気の抜けない業務が多いことでしょう。そうした環境下、副題にある「24時間すべてを自分のために使う」といったことは実現困難と感じられるかもしれません。

ただ、本書が奨励しているのは、仕事・食事・睡眠・ゲームなど自分が1日に使っている時間を記録し、無駄がないか「見える化」することから始めようといった、実践的で無理のない内容ばかりです。

「ルーティンを決める」「集中力を鍛える」など本書に沿って日常を省みれば、時間を有効活用できる余地がきっと見つかるはずです。

タイムマネジメント大全
タイムマネジメント大全
大和書房
出版社:東洋経済新報社
発売日:2021年03月25日
ジャンル:自己啓発・マインド、生産性・時間管理

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「自分なんて……」と悩まなくなる

最後に取り上げるのは第7位の『「自己肯定感低めの人」のための本』です。

他人のSNSの投稿を見て凹んだり、投稿したいネタがあるのにためらってしまったりした経験がある人は少なくないのではないでしょうか。「自分なんて……」とつい卑屈になってしまったことのある人には是非おすすめしたい一冊です。

本書によれば、そうした卑屈さの原因は、ついやってしまいがちな心のクセにあるといいます。そのクセは「メンタルノイズ」と呼ばれ、14タイプに分類されています。

自己を振り返り、つい取りがちなネガティブな言動を自覚するとともに、メンタルノイズと照らし合わせることで、原因をノイズに帰すことができ、心は幾分ラクになると説きます。

「ダメ出しノイズ=自分は重要でないほうがいい」「完璧主義ノイズ=完璧でないといけない」など種々のメンタルノイズ。知らず知らずのうちに自分の中に生じていたノイズに気付くことは、不必要に自己嫌悪に陥るのを防ぎ、健全な精神衛生を保つのに有効です。

「自己肯定感低めの人」のための本
「自己肯定感低めの人」のための本
山根洋士
出版社:アスコム
発売日:2020年10月02日
ジャンル:自己啓発・マインド

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編集後記

今回の月間ランキングでは、第1位の『なぜか好かれる人がやっている 100の習慣』や第4位の『本物の気づかい』など、良好な人間関係を築くために必要なスキルに関する書籍が目立ちました。リモートワークやオンライン会議が増え、コミュニケーションの不足や不安を反映した結果と言えるかもしれません。また、第2位の故・西川善文氏の遺訓の書も、金融業界ならではの納得のランクインでした。

7月はどのようなランキングになるのか、引き続き注視してまいります。

本の要約サイト「flier(フライヤー)」は、「書店に並ぶ本の数が多すぎて、何を読めば良いか分からない」「立ち読みをしたり、書評を読んだりしただけでは、どんな内容の本なのか十分につかめない」というビジネスパーソンの悩みに答え、ビジネス書の新刊や話題のベストセラー、名著の要約を1冊10分で読める形で提供しているサービスです。通勤時や休憩時間といったスキマ時間を有効活用し、効率良くビジネスのヒントやスキル、教養を身につけたいビジネスパーソンに利用されているほか、社員教育の一環として法人契約する企業も増えています。

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