慶應義塾大学経済学部附属経済研究所FinTEKセンターとInstitution for a Global Society 株式会社(以下、 IGS )は8日、ブロックチェーンを用いた個人情報の管理・活用のためのシステム開発に関する研究「STAR(Secure Transmission And Recording)プロジェクト」において、トークンエコノミーを用いた実証実験を開始すると発表した。

実証実験
(画像=月刊暗号資産)

この実証実験はSTARプロジェクトの第二段階目にあたるもので、8月より開始する予定だ。

この実証実験には三菱UFJ銀行、住友生命、SMBC日興証券、コクヨ、みずほリサーチ&テクノロジーズなど、11社の国内企業が参加するほか、2,000名以上の学生が参加する。

実証実験の内容としては、学生の個人情報を管理するプラットフォーム「STAR」内にトークンエコノミーを構築し、「STARコイン」を発行。従来の就活では直接的に評価されづらい「学生の成長に関する情報」(学修履歴、学内のゼミやサークル活動、学外の活動等)などを、STARコインを通じて独自の価値を付与する。

また、STARコインは学生が情報開示をした際に企業から発行され、学生はSTAR独自の学び のコンテンツなどに利用することが可能とのことだ。

この取り組みでは、学生の成長に貢献しながら企業と学生のより良いマッチングを促進することを目指すとしている。

本実証実験の参加企業の1つである三井住友信託銀行は記者会見で、同行のセミナーに参加した学生に対しSTARコインを付与し、その後、学生が同コインを利用することで参加することができるセミナーの開催を計画していると明かした。

他の企業においても様々な取り組みが検討されており、実証実験が終了するまでにSTARを用いた新たな試みが行われるものとみられる。なお、この実証実験は2022年7月までを予定している。

また今回、記者会見においてSTARプロジェクトで用いられているブロックチェーンはステラであることが判明した。

ステラを用いた理由として、IGSはそのブロックチェーンが技術的に信頼できる点を挙げたほか、トランザクション手数料などのコストが安価なこと、トークン作成が容易である点などを列挙した。

一方、今後コスト面や技術面で最適だと思われるブロックチェーンが出てきた際には、移植する可能性もゼロではないという。

STARプロジェクトは2020年8月より開始。「学生の個人情報を、学生自身の手に戻す」をテーマとしており、3年間の実証実験を計画している。(提供:月刊暗号資産