注文住宅の種類とは?それぞれの特徴と注意点を解説
(画像=Dariusz Jarzabek/stock.adobe.com)

理想の住宅を求めるのであれば、間取りや壁紙の色、外壁の仕様などが自由に選べる注文住宅に勝るものはないでしょう。注文住宅には選択可能な範囲によって、「フルオーダー」と「セミオーダー」の2種類があります。それぞれのメリットとデメリットを解説するので、家づくりの参考にしてください。

目次

  1. 注文住宅の種類とそれぞれの特徴とは?
    1. フルオーダーは施主が全て自由に決められる住宅
    2. セミオーダーはパターンの組み合わせでつくる住宅
  2. フルオーダーのメリットとデメリット
    1. メリット1:後悔しない家づくりが可能
    2. メリット2:土地の特徴を活かせる
    3. デメリット1:時間がかかる
    4. デメリット2:施主に知識が求められる
    5. デメリット3:予算が高くなる
  3. セミオーダーのメリットとデメリット
    1. メリット1:費用を抑えやすい
    2. メリット2:比較的短い期間で完成する
    3. メリット3:「ゼロから考える」苦労がない
    4. メリット4:長期間住みやすく、売却もしやすい
    5. デメリット1:設計の自由度が下がる
  4. フルオーダーのほうが安くなることもある
  5. 家づくりにどこまでこだわるか

注文住宅の種類とそれぞれの特徴とは?

注文住宅の種類には大きく分けてフルオーダーとセミオーダーの2つがあります。そこで、まずはそれぞれの特徴を見ていきましょう。

フルオーダーは施主が全て自由に決められる住宅

全ての仕様を施主(住宅の所有者になる人)が決められる注文方式です。間取りはもちろん、使用する材料や設備、デザインなど細部にわたって指定できます。まっさらな土地の上に施主の自由な発想を乗せていくようなイメージです。

街中を眺めたり中古住宅を探したりしていると、変わった形の住宅や極端に大きな豪邸を見かけることがありますが、そのような建物の多くはフルオーダーの注文住宅です。

フルオーダーは建築設計事務所や工務店に依頼するのが一般的です。大手ハウスメーカーの中にも取り扱っているところがあります。

セミオーダーはパターンの組み合わせでつくる住宅

材料や構造など決められたパターンの中から仕様を選ぶ注文方式です。間取りは基本のプランが用意されており、希望に応じて変更を加えます。こちらは、選択肢を組み合わせて住宅をつくっていくようなイメージです。

大手ハウスメーカーに依頼する場合、フルオーダーであることをうたっていない場合は基本的にセミオーダーである可能性が高いでしょう。

フルオーダーのメリットとデメリット

フルオーダーは予算や時間をかけて理想の住宅にこだわる人に向いています。それでは続いて、どのようなメリットとデメリットがあるかを確認していきましょう。

メリット1:後悔しない家づくりが可能

フルオーダーの最大のメリットは、施主の意向に限りなく沿ったプランを考えられることです。実現できるかどうかは法律面や技術面、予算の制約がありますが、建築士や建築業者に相談できるという意味では、後悔しない家づくりが可能です。

多くの人は、理想の住宅のイメージを持っているのではないでしょうか。「リビングは吹き抜けで明るく」「主寝室は10畳以上」「家事がしやすい動線」などさまざまな条件があると思います。

これらの要望をできる限り叶えられるのがフルオーダー注文住宅の魅力です。特殊な設備や好みの材料を施主が調達する「施主支給」をしやすいなどの融通が利きやすい点も特徴です。

メリット2:土地の特徴を活かせる

土地の特徴を最大限に活かせることもフルオーダーのメリットです。理想の住宅を建てるために最適な土地を手に入れられるとは限りません。特に都心部では、予算内で見つかる土地が狭小だったり、形が独特だったりすることがあります。

セミオーダーの場合、基本プランの間取りの建設が可能な土地形状でなければ注文を受け付けてもらえない可能性があります。フルオーダーであれば、土地に合わせた設計が可能です。

例えば三角形の土地に三角形の建物を建てたり、四方八方が建物に囲まれた土地でも採光を工夫して理想の住環境に近づけたりすることができます。予算面では一般的にフルオーダーのほうが高くなりがちですが、間取りや仕様によっては価格を抑えることも可能です。

施主にとって不要な部分を最初から排除できるため、シンプルなつくりを好む人にとってはコストパフォーマンスの高い住宅になるでしょう。

デメリット1:時間がかかる

設計に手間と時間がかかります。フルオーダーは家族の要望を洗い出し、建築士やハウスメーカーの営業などの担当者に余すことなく伝えることから始まります。打ち合わせやプランニングの時間が必要になるため、家づくりを始めたら忙しくなるでしょう。

全体のスケジュールも長めです。要望を伝えてからがプランや見積もりをつくるまでにもある程度の時間は必要です。最初の打ち合わせから完成まで10ヵ月以上は見ておくとよいでしょう。土地探しから始めると1年以上かかることも少なくありません。

デメリット2:施主に知識が求められる

施主にも基本的な建築の知識が求められます。もちろん業者が教えてはくれますが、そのアドバイスを理解することを含め、「建築や内装のことがまるで分からない」状態では、スムーズな家づくりは難しいでしょう。

ただ、このような知識を獲得することも楽しめる、好奇心旺盛な方にとってはメリットといえるかもしれません。

デメリット3:予算が高くなる

前述の通り、予算は多めにとる必要があります。設計の人件費など、セミオーダーで合理化されている部分が、フルオーダーではゼロからつくり出すことになるからです。同じような住宅を建てるのであれば、セミオーダーのほうが低価格になります。

セミオーダーのメリットとデメリット

セミオーダーは手間や時間、費用をあまりかけたくものの、建売住宅に気に入った物件がないという方に向いています。ただ、当たり前ですがセミオーダーにもメリットとデメリットがあります。

メリット1:費用を抑えやすい

セミオーダーのメリットの一つは、フルオーダーと比べて費用を抑えやすいことです。事前にある程度の仕様が決まっているため、設計やプランニングの人件費・外注費があまりかからないこと、材料をまとめて発注できるのでコストを抑えられることなどがその理由です。

メリット2:比較的短い期間で完成する

同様の理由で、セミオーダー住宅は比較的短い期間で完成します。最初の打ち合わせから完成まで6~9ヵ月、大きな変更がなければ4ヵ月程度の場合もあります。

メリット3:「ゼロから考える」苦労がない

間取りや仕様にあまり悩まずにすむというのもメリットです。基本のプランが与えられているため、そこにこだわりたい部分をぶつけていくことで設計ができ上がっていきます。

理想の住宅の条件はあっても、いざ具体的にイメージしてみると、どんな機能や仕様があるのかよく分からないという人は多いのではないでしょうか。セミオーダーはハウスメーカーの提案を受けることで、「ゼロから考える」苦労がなくなります。

メリット4:長期間住みやすく、売却もしやすい

デザインや機能が一般的という点は長い目で見ればメリットになるでしょう。購入時点の考えで個性的なフルオーダー住宅をつくると、趣味や好み、家族構成が変わったときに違和感を覚えるかもしれません。

引っ越しが必要になったときに売却しようとしても、なかなか買い手がつかない可能性もあります。一般的にセミオーダーの基本プランは多くの人に好かれるよう設計されているので、長期間住みやすく、売却もしやすいといえます。

もちろんハウスメーカーによって得意とする住宅の特徴はさまざまなので、セミオーダーだからといって必ずしも没個性的になるわけでありません。セミオーダーは、フルオーダーと建売住宅の中間的な立ち位置といえます。

デメリット1:設計の自由度が下がる

フルオーダーに比べるとセミオーダーの設計の自由度は下がります。特に機能や構造は基本的に変えることができません。外断熱の住宅がよければ外断熱を実施しているハウスメーカーを、内断熱がよければ内断熱を実施しているハウスメーカーを選ぶ必要があります。

住宅についての理想を叶えられるかどうか、契約前によく確認しておかなければなりません。

フルオーダーのほうが安くなることもある

同じ建物であればセミオーダーのほうが安いことは先述のとおりですが、場合によってはフルオーダーのほうが手に入りやすいこともあります。たとえば都心のように土地が手に入りにくい地域の場合です。セミオーダーは大まかな規格が決まっているため、それに合った土地を探す必要があります。

仮に6,000万円の整形地(正方形に近い形の土地)と4,000万円の不整形地(間口が狭い、多角形などの変わった形の土地)があったとします。

セミオーダーだと整形地のほうに2,000万円で住宅を建てられたとしても、不整形地のほうには対応できない場合があります。一方、フルオーダーの場合、3,000万円で不整形地に同程度の床面積の建物を建てられるとしたら、前者は土地と建物で合計8,000万円、後者は7,000万円と、フルオーダーのほうが安くなります。

<フルオーダーのほうが安くなる例(床面積は同じ)>

土地 住宅 合計
整形地+セミオーダー 6,000万円 2,000万円 8,000万円
不整形地+フルオーダー 4,000万円 3,000万円 7,000万円

ただ、長期的な資産価値などさまざまな条件を勘案すると、一概に「価格が安いほうが良い」とはいえませんが、限られた予算の中で理想の住宅を見つけるという意味では、フルオーダーのほうが柔軟に考えられます。

家づくりにどこまでこだわるか

フルオーダーのメリットは理想に限りなく近い住宅を手に入れられること、セミオーダーのメリットは価格が抑えられやすく、納期も短くなりやすいことです。理想の住宅は何かを考えた上で、基本プランに近いものがあればセミオーダー、家づくりにとことんこだわりたいのであればフルオーダーといった使い分けが考えられます。

まずは住宅への「夢」をイメージすることから始め、それから自分にはフルオーダーとセミオーダーのどちらが合うかを検討してみてください。

(提供:タツマガ

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