ローン負担を軽減できる賃貸併用住宅の概要を解説
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住宅購入は予算との戦いです。家さがしにおいて、「あと500万円ローンを組めれば理想の家に住めるのに……」となってしまうケースもしばし見られます。もしそうしたローンの悩みを軽減し、理想とする家に住む方法があるとしたら興味はないでしょうか。それは「賃貸併用住宅」にすることによって実現することが可能です。そこでこの記事では、「賃貸併用住宅」について解説いたします。

目次

  1. 賃貸併用住宅とは
  2. 賃貸併用住宅を建てる2つのメリット
    1. メリット1:ローンの負担を軽減できる
    2. メリット2:二世帯住宅としても利用できる
  3. 賃貸併用住宅を賃貸経営の視点で考えるとどんな利点があるか
    1. コストが軽減できる
    2. 自主管理によって賃貸経営コストを下げられる
  4. 賃貸併用住宅は「住宅ローン」の利用で金利負担を軽減できる
    1. 総返済額などで大きな差が生まれる
    2. 居住部分の床面積が50%以上なら住宅ローンが利用できる
  5. ワンルーム家賃並みの負担で理想の住宅が手に入ることも

賃貸併用住宅とは

賃貸併用住宅とは、自分の住まいと賃貸用の部屋が一体化した建物のことをいいます。賃貸併用住宅に住んでいるということは、自宅建物の一部を賃貸に出している状況ともいえますし、賃貸用マンションのひと部屋に大家さんが住んでいる状況ともいえます。

それではどのような住宅が賃貸併用住宅なのでしょうか。具体例を見ていきましょう。

例えば、木造3階建ての住宅を建てるとします。2、3階を内階段でつなぎ3LDKの自宅として使い、1階はワンルームを2部屋とし賃貸に出す。あるいは鉄筋コンクリート造り地上5階、地下1階のマンションを建て、オーナーは最上階に住み、1階から4階の各居室を賃貸に出す。こうした住宅を賃貸併用住宅といいます。

この他にも2~3階建ての住宅を左右に並べたような、いわゆる長屋建て(連棟住宅、テラスハウスともいいます)の賃貸併用住宅もあります。長屋建ては、共同住宅が建てられないような間口の狭い土地にも複数世帯の賃貸物件が建てられる方法として、都心部などでよく見られます。

賃貸併用住宅は注文住宅として建てられることが多いのですが、まれに建売や中古で販売・仲介されることもあります。

賃貸併用住宅を建てる2つのメリット

それでは、賃貸併用住宅にはどのようなメリットがあるのでしょうか。具体的に解説いたします。

メリット1:ローンの負担を軽減できる

最大のメリットは、家賃収入によってローンの負担を軽減できることです。

例えば前述のような自宅3LDK+ワンルーム2部屋の賃貸併用住宅を建てるとして、土地と住宅建設費用でローンの合計6,000万円、月々の返済額が17万円とします。

2つあるワンルームの家賃がそれぞれ6万円だとすると、実質的な返済額は月々5万円です。ワンルームの家賃よりも少ない負担額で3LDKの住宅に住めることになります。

しかも土地も建物も自分の名義です。ローンの返済が終われば家賃収入はそのまま収益になります。年金代わりに生活費の足しにしても良いですし、リフォーム代など特定の資金として使うのも良いでしょう。

メリット2:二世帯住宅としても利用できる

賃貸部分を親や子など、もともと別居していた家族の住居として使うこともできます。先ほどの3階建ての例であれば、1階のワンルーム1部屋が空いたタイミングで高齢の親を呼び寄せ、住まわせてもいいでしょう。

二世帯住宅には以下のようなケースの住宅がありますが、

  1. 玄関も生活スペースも共有する(同居)
  2. 玄関は一つだが、風呂場や台所など生活スペースは別々
  3. 玄関も生活スペースも分けるが、内部で行き来できるようにする
  4. 建物は同じだが部屋は独立し行き来できない

1のケースの場合、生活スタイルや価値観の違いからストレスを感じることも多いことでしょう。しかし2や4の住宅なら、こうしたストレスが軽減されます。

特に4の「建物は同じだが部屋は独立し行き来できない」ケースは、同じ建物内でも独立した世帯なので、あえてコミュニケーションを取らない限り顔を合わせることはそれほど多くありません。それでいて、高齢の親に不測の事態があればすぐに駆けつけることができるので非常に便利です。

なお、無償で貸していると贈与税がかかるのでは?と考えるかもしれませんが、基本的にはあまり心配しなくていいでしょう。自己名義の住宅を無償や極端に低い家賃で貸していると、贈与税が課される可能性があります。ただし相続税基本通達9-10で「金額が少額」または「課税上弊害がない」場合は非課税とされています。

この金額が具体的にいくらぐらいなのかは明らかになっていませんが、贈与税(暦年課税)は1年間につき110万円まで非課税であることを考えると、よほど相場の高い物件を無償で貸したりしない限りは問題ないと考えられます。気になる人は建築会社などから税理士を紹介してもらうといいでしょう。

賃貸併用住宅を賃貸経営の視点で考えるとどんな利点があるか

賃貸併用住宅を手に入れるということは、「住宅(自宅)」と「賃貸住宅」の2種類の不動産オーナーになるということでもあります。

自宅とは別に賃貸住宅のみを購入することは、「不動産投資」や「賃貸経営」などと呼ばれ、最近では会社員や公務員の副業としても人気が高まっています。それでは、この「賃貸経営」と「賃貸併用住宅」は何が違うのでしょうか。

コストが軽減できる

賃貸経営の場合、自宅と賃貸物件を別々に購入します。それに対して、賃貸併用住宅は同じ土地、同じ物件を購入することになります。自宅と賃貸物件を別々に購入するよりも、土地に関するコストが抑えられやすく、測量費や地盤調査費、整備費などが1回分で済み、土地を最大限に有効活用できます。

一方、建築コストは若干割高になる可能性があります。一般的に賃貸専用のアパートを建設する際はコストダウンのために安い材料を使うことが多いのですが、自宅部分に良い素材を使うとそれに合わせて賃貸部分もグレードが上がることになります。ただし入居者からしてみると、他のアパートよりも高級感があるので、家賃に反映させてもいいでしょう。

自主管理によって賃貸経営コストを下げられる

管理の面では、工夫次第でコストを下げることができます。賃貸経営の場合、入居者の募集やクレーム対応など管理会社に任せる委託管理と、オーナーが自分で行う自主管理があります。

遠隔地に賃貸用アパートを持っている場合、現地での対応が必要になることがある自主管理は難しくなります。そのため、多くの不動産投資家が家賃の5%前後の管理料を払って外部に委託しています。

しかし同じ建物に住んでいれば、管理会社に委託しなくても管理は可能です。自主管理を行えば、コストの削減になります。

賃貸併用住宅は「住宅ローン」の利用で金利負担を軽減できる

通常、賃貸用アパート・マンションを建設する際には、「不動産投資ローン」や「アパートローン」などと呼ばれる専用のローンを利用します。しかし賃貸併用住宅は条件に当てはまれば住宅ローンが利用できます。

総返済額などで大きな差が生まれる

住宅ローンはアパートローンよりも金利が低いため、賃貸併用住宅で利用すると総返済額が少なくなるという大きなメリットがあります。

例えば返済金利に1%の差が出たとしたら、20年のローンを組んだ場合、1,000万円につき総返済額で100万円程度の差がつきます。これは決して無視できない金額だといえるでしょう。

またアパートローンの返済期間は20年程度と短いことが多いのですが、住宅ローンは35年の長期ローンも珍しくありません。1回あたりの返済額が減り、資金のやりくりが楽になります。

居住部分の床面積が50%以上なら住宅ローンが利用できる

それではどのような条件を満たせば住宅ローンを組むことができるのでしょうか。

賃貸併用住宅に住宅ローンを利用できる基準として最も重要になってくるのが、全体の床面積に対する居住部分の床面積の割合です。これは金融機関によって異なりますが、50%以上とするのが一般的です。

なお、政府が運営する長期固定ローンのフラット35は、賃貸併用物件は対象になっていません。事務所や二世帯住宅の場合は一定の条件のもと対象になります。したがって賃貸併用住宅で住宅ローンを利用した場合、住宅ローン控除の対象となるのは自宅部分のみとなります。対象部分の借入残高は全体の残高を床面積で按分して計算します。

ワンルーム家賃並みの負担で理想の住宅が手に入ることも

自宅建物の一部で賃貸経営をする賃貸併用住宅は、家賃収入によってローンの返済負担を補うことができます。場合によっては、1戸当たりの家賃よりも少ない負担で購入できる可能性もあります。 賃貸併用住宅は、住宅ローンの負担を軽くしたいという人はもちろんのこと、将来的に二世帯住宅として使いたい人や、ローン返済後は家賃収入を貯蓄にまわすことができることから、老後資金を蓄えたい人などが向いているといえるでしょう。

これらに1つでも当てはまるものがあったら、住宅購入の選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。

(提供:タツマガ

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