注文住宅を建てる際に「完全個室の子ども部屋をあえてつくらない」という考え方が広がっているようです。そんな流れのなか、子ども部屋をどうするか迷う人もいらっしゃるでしょう。ここでは、「子ども部屋をつくるメリット・デメリット」と、「子ども部屋をつくる場合、つくらない場合の注文住宅のポイント」などを解説します。
目次
子ども部屋を「あえてつくらない」ことで得られる効果とは?
以前は、子どもがある程度の年齢になったら「個室の子ども部屋が必要」という考え方が主流でした。しかし、最近では「完全個室の子ども部屋をあえてつくらない」という考え方も増えているようです。
子ども専用の席があれば「個室は必要ない」という考え方も
子ども部屋をつくらない家庭のなかには、手狭だったり家族の人数が多かったりなどの理由で「つくれない」というケースもあるでしょう。一方、あえてつくらない家庭の場合、ダイニングやリビングで子ども用の勉強スペースをつくり、そこで勉強させているそうです。
これらによる効果としては次の3つが考えられます。
- 親の目が行き届く
- 家族の一体感が感じやすい
- 家事を身近に感じることでお手伝いをしやすくなる
こうした効果があることから、従来主流であった「子ども部屋が必要」という考え方も徐々に見直され、より自由で柔軟な発想で間取りを考える家庭が増えているようです。
中学生で子ども部屋のない割合は男子約16%、女子約11%
参考までに、子ども部屋がない子の割合がどれくらいか、データで確認してみましょう。東京ガス都市生活研究所レポートによると、子ども部屋がない子の割合は次の通りです。
<個室の子ども部屋がない子の割合は?※>
男子 | 女子 | |
---|---|---|
小学1〜3年 | 42.1% | 40.6% |
小学4〜6年 | 32.5% | 17.3% |
中学生 | 16.1% | 10.9% |
高校生 | 7.7% | 5.7% |
(出所:東京ガス都市生活研究所「家で子どもが過ごす部屋~子どもの過ごし方と親子それぞれの意識」)
※「自分の部屋も専用スペースもない」「自分の部屋はないがリビングなどに自分の専用スペースがある」を合計した割合
注文住宅で子ども部屋をつくるメリット・デメリット
「子ども部屋が絶対必要」とはいえない時代においては、子ども部屋をつくるメリット・デメリットを整理した上で「本当に必要か」を検討しながら注文住宅づくりを進める必要があるといえるでしょう。
注文住宅で子ども部屋をつくるメリット
まず、子ども部屋をつくるメリットから見ていきましょう。
自主性が育まれやすい
自分専用のスペースがあることで、子どもは片付け・掃除・一人で起きるなどの習慣が定着しやすくなります。もちろん、子ども部屋を与えれば自動的に自主性が育まれるわけではありません。習慣がきちんと定着するまでは親のサポートが必要です。勉強に集中しやすい
個室の子ども部屋があると勉強に集中しやすいという考え方もあります。一方で、家族の視線があるほうが勉強のモチベーションが上がるとの意見も聞かれます。これについてはその子の性格・家族構成・年齢などによって判断が分かれるところです。
一例としては、上の子が中学受験・高校受験を控えていて下の子が幼児というご家庭なら、上の子専用の子ども部屋があったほうが勉強に集中しやすいといえます。
注文住宅で子ども部屋をつくるデメリット
続いて子ども部屋をつくることによるデメリットを見ていきましょう。
- 子ども部屋にこもってしまうことも
個室の子ども部屋があると、一人で過ごす時間が多くなりがちです。とくに一人で過ごすのが好きな子や思春期の子は、専用の空間を与えるとこもりっきりになる可能性もあります。
子ども部屋にこもるのを防ぎたいと考えるのであれば、ルールづくりも大切です。例としては、スマホやゲームを子ども部屋に持ち込まない、食事は必ずリビングでとるなどが考えられます。
- 子どもが家を出たら使わなくなる
大学進学や就職などで子どもが一人暮らしをはじめたときに、子ども部屋は利用者がいなくなることから、デッドスペースになってしまいます。
とくに子どもがある程度の年齢(例:中高生など)で注文住宅を購入する際には、近い将来家を出る可能性があることも考えなければなりません。わずか数年で使わなくなることも十分に考えられます。後になって、「リビングが広めの注文住宅にすればよかった」と思うことになるかもしれないので、より慎重な判断が求められます。
子ども部屋をつくる場合、つくらない場合の注文住宅のポイント
子ども部屋があったほうがよいと判断したとき、ないほうがよいと判断したとき、それぞれの注文住宅づくりのポイントをご紹介します。
注文住宅で「子ども部屋をつくる」ときのポイント
こちらを選択した場合は、子ども部屋をつくるデメリットを解消する設計が大切です。
まず「子ども部屋にこもってしまう」というデメリットを解消するために、家族と顔を会わせやすい設計にするのも効果的です。例えば、リビングを通らないと子ども部屋に入れない動線にするような考え方です。これにより、自然に家族と顔を合わせやすくなります。
もう一つのデメリットである「子どもが家を出たら使わない」を解消するために、子ども部屋の仕切りを後で変えられる「可変式(可動式)」にしておく方法も考えられます。リビングと子ども部屋の仕切りを可変式にしておくことで、子どもが独立した後にゆったりとしたリビングスペースを確保することができます。
このように注文住宅を建てるときには、将来を見据えた設計が大切です。
注文住宅で「子ども部屋をつくらない」ときのポイント
子ども部屋をつくらないという選択をした場合も、室内の一角に子ども専用のスペースをつくることは必要でしょう。
どの場所にどんな風に設けるかは、各家庭によって千差万別のスタイルがあると思いますが、一例として、リビング内に子どもが勉強するスペースを設けて、間仕切りをする、あるいは小上がり(段差をつける)にするなどの方法があります。
このようにリビングスペースとの差をつけることで、勉強する時間とくつろぐ時間のメリハリがつきやすくなります。また、キッチンと向かい合うカウンターを勉強のためのスペースにする考え方もあります。もしくはリビングとは別に、子どもが使う個室は設けるものの、親のワークスペースと共有にする方法もあります。
家族全員が納得できるよう丁寧な話し合いを
「個室の子ども部屋をつくるか否か」の家族会議は、親と子、夫婦の間でも意見がわかれることもあるでしょう。どうしても話し合いがつかない場合は、子ども部屋はつくるけれどドアを取り付けない(リビングからいつでも様子がわかる)調整方法もあります。
いずれにしても「子ども部屋をつくるか」「つくるとしたら、どのようにするか」は注文住宅を建てるときにとても大きな課題です。家族全員が納得できるよう、しっかりと話し合いましょう。
(提供:タツマガ)
【あなたにオススメ】
・ 新築と中古はどちらがお得?メリットやデメリットについて徹底解説
・注文住宅で失敗しないために。後悔しない家づくり(間取り)のポイント
・注文住宅の購入予算はどうやって決める?費用の内訳は?
・戸建てがほしいと思ったら!分譲住宅と注⽂住宅の違いとは
・注文住宅の内装はどう決める?自然とまとまるポイント4つ