新築と中古はどちらがお得?メリットやデメリットについて徹底解説
(画像=Paylessimages/stock.adobe.com)

住まいを購入するときにはいろいろな選択肢があり迷うことも多いかと思います。戸建てにするかマンションにするか、間取りはどうするか、どこに住むかなど。新築がいいのか中古がいいのかといったことも大きな選択肢のひとつになるでしょう。そこで今回は、「新築」と「中古」という選択肢についてメリットやデメリットを考えていきましょう。

目次

  1. 新築と中古はどちらがお得?
  2. 新築のメリット
    1. すべてが新しいという気持ちよさ
    2. 最新の設備を揃えられる
    3. 自由な設計とデザイン
    4. 耐震性が高い
    5. 旧耐震基準と新耐震基準の違い
    6. コスト面で中古より有利な点がある
    7. 保証が10年間ある
  3. 新築のデメリット
    1. 中古と比較して価格が高め
    2. 実際の物件を見ることができない場合がある
    3. 希望の場所で購入できるとは限らない
    4. 新築ならではの負担もある
  4. 中古のメリット
    1. 新築より安く手に入れられる
    2. 実際の物件を確認してから購入を決めることができる
    3. 希望の場所を選びやすい
    4. リフォームやリノベーションで新築同様にもできる
  5. 中古のデメリット
    1. 修繕費用がかかる
    2. 仲介手数料がかかる
    3. 耐震性に不安も
    4. 新築のような瑕疵担保責任の保証が義務化されていない
    5. 住宅ローン控除の控除上限額が新築の半分になる場合も
  6. 新築と中古の購入の流れの比較
  7. それぞれどんな人におすすめ?

新築と中古はどちらがお得?

新築と中古で「どちらがお得か」というのは、必ずしも金銭的なものだけでは測れない部分です。そこには個々人の価値観が大きく関わり、自分や家族に適した住まいを見いだしていくことが結果的にお得(最適な選択)につながっていくことなります。

以前は「マイホームは新築」という人が多かったようですが、近年では中古での購入者も増えているようです。次のグラフは2006年以降の新築と中古の購入者割合の推移を表したものです。

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(画像=新築と中古の購入者割合推移)

※小数点以下、四捨五入 出典:住宅金融支援機構2016年度及び2019年度フラット35利用者調査を参考に作成

2008年から2009年にかけてグラフの急な変化がありますが、これは2008年に起きたリーマンショックによる金融危機の影響かと思いますが、総じて中古の購入者も増えていることがわかります。2006年度では10人に1人に満たなかった中古の割合も、最近では4人に1人に近いところまでとなっています。

しかしながら、新築の購入割合も引き続き高い水準となっています。まだまだ住宅を購入するなら新築の人気(価値観)が高いことがわかります。一方で、中古の増加の背景のひとつには、あえて中古を購入してリフォームやリノベーションをする人気も高まっているようです。

新築のメリット

依然根強い人気の新築ですが、新築購入にはどのようなメリット・デメリットがあるでしょうか。まずはメリットを見ていきましょう。

すべてが新しいという気持ちよさ

多くの時間を過ごす住まいを手に入れ、他の誰も住んだことのない場所に住み始める気持ちよさ、ゼロから自分や家族の思い出が刻まれていくことは、何にも変えがたい新築の大きなメリットではないでしょうか。

ちなみに、品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)上の新築住宅とは「建物が完成してから1年未満で、まだ人が居住したことのない住宅」となっています。つまり1日でも人が住んだ住宅は新築とは呼べず中古住宅となります。

最新の設備を揃えられる

新築では最新の住宅設備が採用されていたり、オプションで選べたりします。昔は追加で購入していた床暖房やダウンライト、キッチンでは食洗器などは標準装備となっていることが少なくありません。戸建て住宅では高気密・高断熱などでより快適に過ごせる住まいもあります。

セキュリティ面でも、マンションではオートロックや防犯カメラなどが備わっていたり、宅配ボックスなどが設置されていて利便性が高くなっていたりします。

自由な設計とデザイン

注文住宅の場合は、ゼロから自由に外観や内観、間取りを決めることが可能です。家族のライフスタイルや価値観などをもとに、納得いくまで自分たちに合った住まいを追求することができます。また、外観や内観のデザインも洗練された個性あるものにすることもできます。他に2つとない住まいを手に入れることができるのも注文住宅の魅力です。

耐震性が高い

地震の多い日本では建物の耐震性は気になるところです。建物は建築基準法の耐震基準にもとづいて耐震設計がされています。建築基準法は過去に何度か見直しがされており、1981年6月にひとつの大きな改正がありました。

このときに定められた耐震基準を「新耐震基準」と呼び、それ以前の基準は「旧耐震基準」と呼ばれ区別されています。また2000年6月の建築基準法改正では、さらに木造住宅の耐震性に大きく関わる改正がありました。

新築であれば最新の耐震基準にもとづいて設計・施工が行われていることになり、より安心といえます。

旧耐震基準と新耐震基準の違い

旧耐震震度5程度の中規模の地震で大きな損傷を受けないこと
新耐震中地震では軽微なひび割れ程度の損傷にとどめ、震度6程度の大規模な地震で建物の倒壊や損傷を受けないこと

コスト面で中古より有利な点がある

建物や設備が新しいため、最初のうちは修繕などにかかるコストが中古と比べて比較的少なく済む点があります。また税金面でも中古より優遇される場合があります。

例えば、住宅を所有することでかかる固定資産税や購入時に登記をする際の登録免許税などは、その家屋に対して中古より軽減される場合があります。

保証が10年間ある

品確法にもとづいて、住宅の主要構造部分の瑕疵(かし)について売主が責任を負う「瑕疵担保責任」の保証が新築住宅には最低10年間ある点も安心のひとつになります。

新築のデメリット

次に新築のデメリットを見ていきます。

中古と比較して価格が高め

一般的には中古より新築のほうが価格は高めになります。新しい建物や設備であることもさることながら、新築の場合は広告などにかかる販売費や事業者の利益などのコストが価格に反映されているため、高くなりがちになります。

新築は買ったとたんに中古となり、1割〜2割程度価値が下がるというのは、それらコスト分が上乗せされているためといわれています。

実際の物件を見ることができない場合がある

購入決定する前に、完成済物件の新築であれば実際の物件を見ることもできますが、建築予定の注文住宅やマンションでは実際の物件を見ることができません。

モデルハウスやモデルルーム、建築パース(建物の外観や内観を立体的に絵にしたもの)、住宅模型などで建築予定の物件のイメージはできるかもしれません。しかし、実際に入居してみたら建物細部や日当たり、眺望といったものがイメージと違っていたりするリスクもあります。

希望の場所で購入できるとは限らない

新築物件は販売される場所や時期が限られるため、それらが必ずしも希望に合うものとは限りません。買いたい時期が限られている場合、希望するエリアで見つからないケースもあります。この場合は、そのときに売りに出ている物件から選択しなくてはならないかもしれません。

新築ならではの負担もある

新築の一戸建てでは水道を整備するための水道負担金や、新築マンションでは購入時に共用部などの大規模修繕に備えて、修繕積立基金がかかる場合があります。それぞれ数十万円程度のまとまったお金がかかる場合があり、購入時の負担が増えることになります。

中古のメリット

購入者が増えてきた中古ですが、そのメリット・デメリットにはどのようなものがあるでしょうか。先に見てきた新築のメリット・デメッリトの逆が中古のメリット・デメリットと言える部分もあります。まずはメリットを見ていきましょう。

新築より安く手に入れられる

一般的に新築より中古のほうが価格は安くなります。例えば、次の表は首都圏における新築マンションと中古マンションの取得費用の比較です。

平米当たりの単価で見ると、築20年程度の中古マンションであれば約4割安く購入していることがわかります。また逆にいえば、同じお金を出すのであれば中古のほうが広い物件を手に入れることができるともいえます。

新築マンション 中古マンション
平均価格 6,083万円 3,599万円
平均面積 65.76㎡※ 65.24㎡
平均平米単価 92.5万円 55.17万円
平均築年数 新築 21.99年

出典:新築 不動産経済研究所 2020年首都圏マンション市場動向(新築マンションの平均面積は平均価格を平均平米単価で割った数字で算出)中古 公益財団法人東日本不動産流通機構 首都圏不動産流通市場の動向(2020年)

中古が新築より安くなるのは、経年によりその建物の市場価値が減少するためでもあります。次のグラフは、国土交通省が作成した経年とともに住宅の市場価値の減少を表したものになります。築年数により新築より中古が何割程度安くなるか、ひとつの目安になるかと思います。

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(画像=中古住宅流通、リフォーム 市場の現状資料)

出典:国土交通省 中古住宅流通、リフォーム 市場の現状資料

なお、物件価格のうち土地代には消費税はかかりませんが、建物には消費税がかかります。ただし、中古物件の売主が個人の場合は建物に消費税はかかりません。消費税の有無も大きな差になってきます。

実際の物件を確認してから購入を決めることができる

中古物件であれば実際に見ることが可能です。建物自体の確認だけでなく、何度か物件のある場所に足を運ぶことで、すでにある地域の雰囲気やゴミ出しなどの管理状態、時間をずらすことで日当たりなども確認できるでしょう。

希望の場所を選びやすい

中古物件の物件数は、新築と比べてとても豊富です。新築は建てられる土地が必要であるため、必然的に中古よりも供給量は少なくなります。中古のほうが希望の住みたい場所で物件を見つけやすいこともメリットだといえます。

リフォームやリノベーションで新築同様にもできる

新築よりも安い価格で中古物件を購入し、浮いた分のお金でリフォームやリノベーションで好みの間取りに変更したり、新築同様の状態にしたりすることもできます。ただし、マンションの場合はエントランスや廊下、インターネット設備などの共用部分は変更できないため、共用部分については許容できる中古マンションを選ぶ必要があります。

中古のデメリット

次に中古のデメリットを見ていきます。

修繕費用がかかる

建物や設備が古いため、新築に比べ修繕費用が多くかかる可能性があります。古い既存の設備は交換すればよいかもしれませんが、新しい設備によっては後から設置できない場合もありますし、マンションの共用部分については個人で勝手に変更することもできません。

仲介手数料がかかる

仲介会社を通す場合、中古の売買では仲介手数料がかかります。この手数料の上限は「物件価格×3%+6万円+消費税」となります。

新築には中古ではかからない費用として修繕積立基金などもありますが、この仲介手数料があることにより、新築よりも中古のほうが購入時にかかる諸費用が一般的に物件価格に対して多くなる傾向になります。

耐震性に不安も

築年数が古い物件の中には旧耐震基準で建築された物件もあるかと思います。もし1981年以前の中古物件の購入を検討している場合は旧耐震基準で建築された物件であるため注意が必要です。ただし、旧耐震基準で建築された物件でも、その後耐震補強工事を行っている場合もあります。

不動産の重要事項説明書の「建物の耐震診断の結果」という項目で、新耐震基準か旧耐震基準どちらで建築された物件か、または耐震診断を行っているかわかりますので確認しましょう。

新築のような瑕疵担保責任の保証が義務化されていない

不動産会社によっては独自の瑕疵保証を設定しているところもあるようですが、品確法といったような法律にもとづいたものではなく、あくまで企業努力によるものです。中古の購入に何らかの不具合が発生することに不安がある場合は、瑕疵保険の加入を検討するのもよいかもしれません。

瑕疵保険は専門の保険会社が審査して加入を認め、構造耐力上の主要な部分および雨水の侵入を防止する部分に不具合があった場合に保険金を支払う仕組みです。

住宅ローン控除の控除上限額が新築の半分になる場合も

住宅ローン控除は、住宅ローンを組んで住宅を購入した場合に、一定の条件を満たすことにより年末のローン残高の1%を所得税(一部、翌年の住民税)から、入居時期などに応じて最大13年間控除する制度です。

この控除額には上限があり一般住宅の場合は年40万円です。しかし、売主が個人の場合は消費税が適用されないことにより、上限額は半分の年20万円となることに注意が必要です、

新築と中古の購入の流れの比較

ここでは戸建て住宅を例にして、新築と中古の購入のおおまかな流れの違いを見ていきます。いずれの場合も、購入前に「暮らし方(ライフスタイル)」についてしっかり検討することが大切です。

新築 中古
建売り住宅にするか注文住宅にするか決める 購入の資金計画を立てる
どのような住宅を買うか/建てるか決める 欲しい物件の売主へ購入申し込みを行う
購入の資金計画を立てる ローンの事前審査をして売買契約の確認
物件を探す/建築依頼する 契約内容に同意したら契約締結し決済を行う
ローンを含めた購入手続きの準備をする 引き渡しを受ける
購入費用を支払う
引き渡しを受ける

それぞれどんな人におすすめ?

新築にするか中古にするかは個々の価値観(なにを大切にしたいか、どんな暮らしをしたいか)で変わってきます。とにかく「他の人が住んだことのない新しい住宅で、新しい生活を始めたい」と思う人は新築が良いでしょうし、住みたい場所を重視する人は物件を見つけやすい中古が良いかもしれません。

これまで見てきた新築と中古のメリットを、自分や家族にとってより優先したいと思えるか、またデメリットをどれだけ許容できるか確認しながら資金計画も含めじっくり検討してみてください。

(提供:タツマガ

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